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深川麻衣「正解がないことが面白い」女優という選択をしてからの5年間

ドワンゴジェイピー

深川麻衣「正解がないことが面白い」女優という選択をしてからの5年間

数々の俳優、女優を輩出し映画に寄り添ってきた芸能プロダクション・テンカラットの25周年企画となる映画『おもいで写眞』が1月29日に全国公開する。


主演は深川麻衣。『パンとバスと2度目のハツコイ』で第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞し、その後も『愛がなんだ』『空母いぶき』『水曜日が消えた』や、NHK連続テレビ小説『まんぷく』、ドラマ『日本ボロ宿紀行』『まだ結婚できない男』など話題作に立て続けに出演する彼女が、100人の遺影写真を撮る音更結子を演じる。

今回のインタビューでは、映画『おもいで写眞』の魅力や、女優として5年目を迎える現在の心境を深川に聞いた。


──まずは、“遺影カメラマン”役という今作のオファーを受けた時の率直な感想をお聞かせください。

遺影写真は、今までの映画でありそうでなかった題材なんじゃないかなと思いました。今回は初めてのカメラマン役で、さらに元メイクアップアーティスト。劇中では手話をするシーンもあったので準備することが多かったです。結子はプロカメラマンではないけど、過去にカメラを触っていた経験もある人物なので、カメラがしっくり手に馴染んで見えるように練習しました。両目を開けて撮影する演出だったんですが、構えると片目をつぶっちゃうんですよ。難しかったですね。特に意識したのは掛け声です。たくさん人を撮り慣れている方はリズムの作り方とか距離の取り方がすごく上手いんですよね。結子は人を撮る経験があまりなかったと思うので、最初に人を撮る時のぎこちなさをどうやって出していこうかなと考えていました。


──結子を演じるうえで、どんなことを意識しましたか。

脚本を読んで、結子はずっと怒ってるなと思いました(苦笑)。人に対して本当にストレートで、八方美人とは真逆の子。でも私は、その不器用さがかわいらしいなと思ったんです。だから映画を観た方が共感できない、かわいげのない人にはなってほしくない。ただ人に当たり散らしているわけじゃなくて、不器用で弱い部分が伝わったらいいなという気持ちで演じました。

──なかなか表現が難しそうな役柄でした。現場では、自分の演技をチェックしながら仕上げていくのでしょうか。

今回は全然モニターを見ていなかったですね。自分で自分の芝居を見て調整するんじゃなく、監督の演出を受けて修正していきました。モニターを見たら、きっと顔を作ろうとしちゃうと思うんです。“怒っている顔”を形で表現してしまうのではなくて、ちゃんと内側が伴っていないと、映画を観ている人にもバレてしまうだろうなと思うんです。


──出来上がった作品を観て、深川さんはどのように感じましたか?

友達との愛とか、家族愛とか、人間愛。様々な「愛」が描かれている作品だと思います。試写で観てくださった女性の方の感想で「同じ女性として仕事をしていくうえでの年齢の焦りがすごく共感できました」というものがあったんですが、そういう風に受け止めていただける方もいるんだというのは新しい発見で、うれしかったですね。観る方の年齢によっても受け取り方が違ってくる映画なんだと思います。写真をテーマにしている作品なので、私も写真を「撮ってみよう」でも「撮ってもらおう」でも、みなさんの好きなものを写真に残そうと思うきっかけになればすごく幸せです。


──深川さんは一般の方と比べても撮られることの多い職業だと思いますが、写真に対する考え方は今作を通して変わりましたか?

私自身も普段から写真を撮ることが好きなんですが、「写真を撮りたい」時って、今自分が見ている素敵なものを閉じ込めておきたい時だと思っていたんです。「遺影」と言うと終わりに向けての準備、みたいなイメージがありますが、結子が撮る「おもいで写真」はそうじゃない。その人の“今”をより輝かせるために撮る写真で、好きなものを再確認するためだったり、これから先の未来に向けて撮ったりするものなんです。そしてそれは、もしその人がいなくなったとしてもその人を象徴する写真になっていく。私はこれまで「写真=今」という考えがありましたが、この作品を通して、写真はずっと残って、未来に繋がっていくものなんだなと思うようになりました。

──故郷・富山で遺影に代わる「おもいで写真」を撮る結子を演じるなかで、ご自身の故郷に思いを馳せることもあったのではないでしょうか。

結子とは私の実年齢と同じ29歳同士ということもあって、田舎から夢を追いかけて上京したという境遇に共感しました。地元にいるおばあちゃんや家族、なかなか会えていない地元の友達に会いたくなりましたね。今は新型コロナウイルスの影響で万が一のことを考えたら会いに行くのも怖いと思ってしまうけれど、いつかもうちょっと落ち着いたら、ちゃんと時間をとって会いに行って話したいなと思いました。みなさんにとっても、この映画が人と人とが繋がるきっかけになればいいなと思います。


──今作は2019年の夏に撮影されたそうですね。当時は現在のコロナ禍は想像だにしなかったと思います。

みんなそうだったと思いますが、まさかその時にはこんなことになるなんて思ってもみませんでした。自粛明けの仕事がすごくうれしくて、今、こうして人と面と向かってお仕事できたり喋ったりすることができるのはとても幸せなことなんだと改めて気付かされました。特に映画やドラマは、たくさんの人が集まってひとつのものを作る現場なので、あの時間は当たり前じゃなかったんだと思いました。かといって、まだまだ油断は出来ない状況ですよね。出来たら映画館で観て欲しいという思いはありますけど、「絶対に映画館で観てください!」とも言えない。でも、人と人とが繋がっていく物語だから、今こそひとりでも多くの方に届けばいいなという思いはすごく強いです。


──2016年に乃木坂46を卒業してから2021年で5年目になります。改めて、女優のお仕事はいかがですか。

お仕事を始めて約10年。乃木坂46時代と事務所を移籍してからとちょうど半々です。「どっちが楽しいですか」と聞かれることもあるんですが、全然楽しさが違うと思っているんです。例えばお芝居だと“正解がない”ことを面白いと思っていて、追求しようと思えばいつまででも追求できるし、正解がないからこそ悩むこともある。今はそれを楽しんでいます。

──2020年はコロナの影響で思うように動けないこともあったと思います。2021年はどのように過ごしたいですか。

自分にできることをちゃんと考えて、自分で動かなきゃなと実感した一年間でした。2021年は、仕事でも仕事以外でも、自分にできることややりたいことを積極的に見つけて動いていくような挑戦の一年にしたいです。



『おもいで写眞』は1月29日(金)全国公開。

出演:深川麻衣、高良健吾、香里奈、井浦新、古谷一行、吉行和子

監督:熊澤尚人

脚本:熊澤尚人 まなべゆきこ

原作:「おもいで写眞」(幻冬舎文庫)熊澤尚人

製作プロダクション:スタジオブルー

配給:イオンエンターテイメント

©「おもいで写眞」製作委員会


取材・文・写真:山田健史

スタイリスト:原未来

ヘアメイク:山下景子


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