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真面目な人ほど「辞めるカード」を持て。山形住みます芸人ソラシド・本坊元児の仕事論

求人ボックスジャーナル

真面目な人ほど「辞めるカード」を持て。山形住みます芸人ソラシド・本坊元児の仕事論【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

若手時代は千鳥、麒麟、ダイアンらとともに劇場「baseよしもと」で切磋琢磨し、大阪で10年、東京でも約10年にわたり活動してきたお笑いコンビ・ソラシドの本坊元児さん。
2018年からは山形県西川町を拠点に、 「山形県住みます芸人」 として活動しています。

芸人として山形のテレビやラジオに出演する一方で、農業に挑戦したり、今年からは養蜂にも取り組んだり、地方での新たな“働き方”を模索してきました。

大阪、東京、そして山形——。拠点を移しながらキャリアを重ねてきた本坊さんに、地方で働くリアルを伺いました。

後編:ソラシド・本坊元児「10年後なんてぼんやり考えればいい」肩肘はらない仕事の哲学

「蜂がかわいい」養蜂家芸人の生活

※インタビューは、まず廃校のベランダにある本坊さんの養蜂園で行われました。
本坊さんは慣れた手つきで、蜂を落ち着かせる煙を焚き、飼育している3万匹の蜂に餌を与えます。

――いつも、1人で作業されているんですか?

そうなんですよ。廃校でウロウロしているから、町で「幽霊がでる」って噂になってるんです。人が見に来ましたもん。「誰だあ」って言われて、「本坊です!」って(笑)。

――手つきが、何年もやってきた養蜂家のようですね。

いいご縁があって、朝日町のさくら養蜂園さんが教えてくださるんですよ。道具だけは買わせていただきますけど、それ以外はタダで教えてくださっています。そういうご縁がなかったら、地域で活動はできないと思いますね。

(巣箱を開けると、蜂が飛んでくる)ああ! (蜂に向かって)ごめんなさい!

――大丈夫ですか!?

まだ、まあまあ怖いんですよ。音がまだ怖い……。

(砂糖水を巣に注ぐ)よし! でも、餌をあげることができました。これがまた1週間くらいでなくなるんですよね。毎週5キロの砂糖を買っているので、金銭的には辛いです。

――冬は蜜が取れないから、出費のほうが多いんですね。それにしてもここは、景色が綺麗ですね。

この辺りは、蕎麦畑だったんですよ。秋口は蜂が蕎麦の蜜をだいぶもらったと思います。この辺、3キロ四方は全部僕の花。全部僕が、もらっている蜜ですね。

※その後は本坊さん宅へ移動して、インタビューを再開しました。

――養蜂を始めたのは、どうしてですか?

畑で作った大根を卸していた東京のスリランカ料理屋さんで、“自家製ハチミツ”が売られていたんです。ビルの屋上で養蜂しているらしくて。

それで「東京産のハチミツってすごいな」と思っていたら、マネージャーが「本坊さんもやりましょうか」と言い出して……。なんでやねんと。

――乗り気ではなかった?

最初は不安でしたよ。でも、さくら養蜂園さんに話を聞きに行ったら、「できますよ」とあっさり言われて。

僕は「なめんな」と言ってほしかったんです。「芸人しながら片手間でやられても困る」と怒られると思ったら、「僕ができるんだから本坊さんもできますよ」みたいな。

山形の人って、みなさんそうなんです。ほんまにやさしいし、すごいことをしている自覚がない。結果的に、いよいよ逃げ場がなくなって、やることになりました(笑)。

――実際にやってみてどうでした?

最初は怖かったです。夏の蜂って元気で、怖いんですよ。巣箱を開けたら“ブワーッ!”っと出てくる。座ったら服の隙間から入ってくる気がして、ずっと立ったまま作業していました。

でも1回刺されて、「あ、こんぐらいか。予防接種くらいの痛みなんや」と思ったら、慣れてきましたね。なんの予防にもならないですけど(笑)。

今では蜂がかわいく見えてきました。一生懸命働いて、蜜を持って帰ってくる姿が愛おしいんですよ。

「住みます芸人」が教える地方移住の心得

―― “やりたくて始めた”というより、舞い込んだ話に挑戦したんですね。

僕はどうせ地方で芸人をやるなら、山形の人もびっくりするような“山形生活”をしたいと思ってるんです。お湯が出ない家に住んだり、山形の中でも寒い場所でとんでもない雪下ろしをしたり。特別な体験をして、新しいエピソードを作りたいのが本音なんですね。

そういう“ずるい気持ち”で農業や養蜂をやっているから、最初は地域の人に嫌がられると思ったんですよ。なのに、みなさん教えてくれたり、地方エピソードで東京のテレビに出た時に喜んでくれたりするんですよね。

――縁もゆかりもない山形に来て7年。今では山形への感謝が大きいですか?

特に西川町の方には感謝していますね。一度、講演会に出た時に、“泣きマネ”で笑いを取ろうとしたんですよ。泣いてから全然違うことを言う、みたいなギャグをやろうとしたら、ほんまに涙が出てきたこともありました。西川町の人がいっぱい来てくれていて、嬉しかったんです。

――そもそも、どうして山形に来たのでしょう?

東京ではまったく芸人の仕事がなくて、「東京におる意味あるか?」という状況だったんです。ずっと工事現場で働いていて、東京も合わないし、とにかく辛かった。

「どうやってこの環境から逃げるか」と考えている時に、住みます芸人の話をいただいて、逃げるように山形に来ました。

――移住して、レギュラー番組を持つなど、仕事が増えたと思います。東京と山形の違いはどんなところですか?

東京って土地も人材も、隙間がないですよね。誰もやっていないと思っても、絶対に誰かがやっている。それに比べて、山形は良い意味でスカスカですよ。

土地もあまっているから、畑や養蜂をやろうと思ってもすぐにできる。駐車場代も安いし、生活費や維持費も抑えられる。

だから、なにか始めようという時に、地方はアリだと思います。

――地方移住は上手くいかない話も聞きますが、どうすれば、上手な移住生活が送れると思いますか?

地方移住が怖がられるのって、ネットで“嫌な話”が目に入るからだと思うんです。悪口って目立つじゃないですか。山形を調べても、たぶん「村八分にされた」みたいな悪口がたくさん出てくると思いますよ。

だからこそ、そういう情報は“話半分”で受け止められる人じゃないと、地方でやっていくのは難しいと思う。 実際に行って、面と向かって話してみるのが一番いいんですよ 。

​仕事は「辞めるカード」を持つことが大切

――山形に来る前に、今のような人間関係を構築できると思っていましたか?

正直、思っていなかったです。

東京にいた時は、芸人のコミュニティしかなかったんです。そうすると、飲みにいっても自然と仕事の話になる。でも、山形に来て、芸人ではない友達ができて、「まったく違う連れって大事やな」と思いました。お笑いじゃない友達がいるので、リフレッシュできるというか。

――人間関係が、会社だけになっている人も多いと聞きます。

それは、ダメですよ。僕は「仕事が1位」な人ってやばいと思う(笑)。「人生の順位で仕事が1位やねん」と言う人って、信用できないですよ。

家族とか趣味が上位に来る人のほうが、人間味があって僕は好きです。仕事が1位も素晴らしいけど、人生設計の中でそれは一瞬だけでしょう。それに 仕事は、「辞めるカード」を持っているほうが楽なんですよね 。

――辞めるカード?

芸人として、僕は常に「辞めるカード」を持っていたんですよ。もう自分があまりに惨めすぎる時に、「辞めたらぁ」と言える自信があった。だから続けてこられたんです。この「辞めるカード」を持っていると、逆に「仕事ください」っていう情けない言動も自然とできるというか。

でも、仕事が1位の人って「辞めたらぁ」のカードを持っていないじゃないですか。

――いざという時に、仕事を捨てることができるほうが強いですか?

生きがいが仕事だと、「辞めたらぁ」ができないから潰れてしまうんですよ。だから「辞めるカード」を持っとくのはでかいと思います。

防衛力と一緒ですよ。このカードは切らないけど、いつでも切れるぞという風にする。そうやって自分を守るんです。真面目な人ほど、仕事を1位にしないほうがいい気がしますよ。

後編:ソラシド・本坊元児「10年後なんてぼんやり考えればいい」肩肘はらない仕事の哲学

プロフィール

本坊元児(ソラシド)

1978年生まれ、愛媛県出身。2001年、相方・水口靖一郎とソラシドを結成。2018年、住みます芸人として山形に移住。「山形住みます芸人」として、山形県西川町を拠点に活動中。「南陽市ラーメン大使」「やまがた特命観光・つや姫大使」「西川町月山ふるさと大使」を務める。著書に『プロレタリア芸人』(扶桑社)、『脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(大和書房)。

    X(旧Twitter)     @honbouganji         Instagram     @honbouganji    

取材・文・撮影:前多勇太
編集:求人ボックスジャーナル編集部 内藤瑠那

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■キャンペーン応募期間
2025年12月5日(金)~2025年12月18日(木)

■キャンペーン参加方法
【ステップ1】X(旧:Twitter)にて求人ボックス「@kyujinbox」をフォローしてください。

【ステップ2】「@kyujinbox」がキャンペーン告知をした投稿を、応募期間中にリポスト(RT)してください。

【応募完了!】
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