「暮らしをそのまま音楽に」結成17年目の4人組バンド・Galileo Galileiが札幌で音楽を紡ぎ続ける理由【前編】
ことしで結成17年目を迎えた4人組ロックバンド「Galileo Galilei(ガリレオガリレイ)」。
全国に多くのファンを持つ彼らですが、実はメンバー全員が北海道出身で、現在も札幌を拠点に活動しています。
今回、Sitakke編集部は、「エスコンフィールド北海道」でインタビューを実施。
彼らが拠点を構える札幌や、地元球団・北海道日本ハムファイターズへの愛着、9月25日に2枚同時リリース予定のNEWアルバムに込めた思い、さらにアルバムのテーマである人間性に絡め、「自分らしい生き方」に悩む読者に向けたアドバイスについて、お話をうかがいました。
<前・後編のうち、前編>
Galileo Galilei
2007年に結成され、2008年に10代アーティスト限定のロックフェス「閃光ライオット」で初代グランプリを獲得。2010年のメジャーデビュー以来、フジテレビ系アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のオープニングテーマ「青い栞」が大ヒットするなど、多くのファンを魅了。2016年に一度解散するも、2022年に再結成し、改めて音楽シーンに旋風を巻き起こしている。2024年9月27日のZepp Sapporoを皮切りに、全国主要7都市を巡るライヴツアー「Tour M」を開催予定。
野球観戦は楽曲づくりへの刺激に
– 本日はエスコンフィールドにお越しいただきましたが、今まで観戦に来たことはありますか?
尾崎(雄):何度かあります。初めて来た時は、球場に入ってすぐ広がる風景に感動して泣きそうになりました。僕の妻のお母さんがゴリゴリの阪神ファンなんですけど、他の球場にも行ってみたいと伝えたら「エスコン行っちゃったら、あれれって思うで」って言われました(笑)
岩井:球場に付随して、遊べる施設があるのも嬉しいですね。よく子どもと遊びに来ています。
– ファイターズにハマったきっかけはなんだったんですか?
尾崎(雄):実はハマったのは最近で、お義母さんと昨年末に日本シリーズをテレビで一緒に見たんです。各選手のエピソードを聞きながら。そうしたら、野球って、そこにいる選手たちの魂や心が表情で物語られているんだなぁと。僕らが憧れている海外のバンドのライヴを観ている時の気持ちに近いものを感じたんですよね。一挙手一投足も見逃したくないっていう感じで。ぐっと興味を惹かれて。そこからですね、ハマったのは。
岩井:僕は雄貴におすすめされて、ハマりました。僕ら4人はお互いの好きなものを共有しあうようにしていて、それがバンドの雰囲気だったり、楽曲にものすごい影響を与えています。雄貴が持ち込んでくれた野球っていうのは、自分の中でお互いを繋ぐものでもありますし、バンド活動の意欲にも繋がっています。
尾崎(雄):みんなでキャッチボールもしてるよね(笑) 最近は見よう見まねで変化球を練習しているんですけど、そこから着想したのが、9月にリリースする新アルバムの中にある「SPIN‼️」という曲なんです。テレビやYouTubeで観るプロ野球選手のスーパープレイ集、変化球集を集めた映像に合うように、とイメージしながらレコーディングしました。
尾崎(和):MVをYouTubeで先行配信しているので、ぜひ観てください! 僕が描いたドット絵のキャラクター「すずめちゃん」が高速スピンしているので(笑)
− あのMVはクセになりますよね! ちなみに推しの選手はいますか?
岡崎:僕の推しは石井一成選手です。ちょうど僕らがエスコンで観た試合で活躍して、ヒーローインタビューで、その日に観戦に来ていたおばあちゃんに、石井選手が感謝の言葉を伝えていたんですよ。自分もおじいちゃんおばあちゃん子なので、すごく親近感を感じました(笑)
岩井:僕はその日、万波中正選手のお尻をずっと見ていました(笑)。野球選手のお尻、めちゃくちゃカッコよくて好きです。マルティネス選手も推しですね。
尾崎(雄):僕は“箱推し”なんですが、特に好きなのは山﨑福也投手と伏見寅威捕手の“サチトラコンビ”す。実は、山﨑投手からはボールに「ガリレオガリレイ」ってサインしてもらったことがあって。ライヴの時にそのボールを飾ってテンション上げています!
水野達稀選手も大好きです。入団前はJR四国で働いていた選手なので社会人出身の選手は特に夢があるなあと感じていて、今の活躍を見ていると感動します。
北海道だからこそ、「暮らし」をそのまま音楽にできる
ー 皆さんは、東京にいたメジャーデビュー直後の1年間を除き、拠点を札幌に置いて活動されているそうですが、札幌はお好きですか?
尾崎(和):好きですね。人がみんなのんびりしています。
尾崎(雄):いい意味で、札幌人は歩くのが遅いよね(笑)
尾崎(和):東京の渋谷のスクランブル交差点は、殺気立ってるというか(笑)
尾崎(雄):それは思った。北海道って、タクシーの運転手さんもそうだけど、気さくな人が多いイメージがある。
空間が広いから心にも余裕があるのか、その土地柄だったり、元々の気質もあると思いますし。あと、札幌は北海道出身じゃない人も多く住んでいるじゃないですか。オープンな雰囲気も好きですね。
– 活動はほぼ札幌で行っているのでしょうか?
岩井:道外にはツアーとプロモーションで行くぐらいなので、トータルすると年に10〜11ヶ月くらい? 大半は札幌にいます。
尾崎(雄):僕らは「わんわんスタジオ」と呼んでいるんですけど、民家を改装して自分たち専用の音楽スタジオをつくって、そこで曲作りもレコーディングも本当に0から100まで全部やっています。他アーティストに提供する楽曲づくりもそこでやっていますし、そのアーティストさんに歌録りに来てもらうこともあります。
岩井:スタジオを借りるのではなく、自分たちの拠点を持って、いつでも生活するように音楽をつくれるのは、土地が広い北海道ならではだと思います。東京だと家と家の間が詰まっていますし。ミュージシャンのみんな、北海道に移住してくればいいんじゃないかと思います(笑)
尾崎(雄):生活圏内で音楽づくりを完結できるので、周りからの影響を受けすぎないで済むというか。ある意味、”外界”から遮断された環境で、自分たちの心の中から出てくるもので、楽曲をつくるっていうことにフォーカスできている感覚があります。あと、土地が広いので、ドラムを叩いても近所の人に怒られないっていうのが結構大きいかもしれない(笑)
<後編へ続く>
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文:にの瀬
編集:ナベ子(Sitakke編集部)
取材日:2024年8月