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『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第5回:雲田役・内山昂輝さん 前編|演じるうえで重要なのは、面白すぎるアフレコで「無」の感情を保つこと!?

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

2025年10月4日(土)より放送中の『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』。

「仮面ライダーになりたかったから」 40歳になっても本気で「仮面ライダー」になろうとしていた男・東島丹三郎。その夢を諦めかけた時、世間を騒がす「偽ショッカー」強盗事件に巻き込まれてしまい……。『エアマスター』『ハチワンダイバー』の柴田ヨクサル先生の漫画を原作とする「仮面ライダー」を愛しすぎるオトナたちによる“本気の仮面ライダーごっこ”がここに開幕します!

アニメイトタイムズでは、各話放送後にキャスト陣へのインタビューをお届け! 第5回は、雲田を演じる内山昂輝さんに第5話の物語を振り返っていただきました。

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前回はこちら

【写真】『東島ライダー』内山昂輝インタビュー前編【連載第5回】

一人のキャラクターとして、怪人・雲田を表現したい

ーー作品全体の印象や、演じる中で感じた魅力をお伺いさせてください。

雲田役・内山昂輝さん(以下、内山):最初に原作を読んで思ったのは、「とてもとても独特な作品だな」ということです。「ヒーローに憧れる」という主人公像は定番かもしれませんが、この作品では本当に仮面ライダーになろうとしていて、気持ちのメカニズムがちょっと分からないくらい(笑)。修行シーンもそうですけど、強靭な精神力で色々なリアルを飛び越えていくような展開が、すごく特殊だと感じました。

ーーそんな中で、内山さん演じる雲田は本物の怪人という設定ですが……。

内山:そうなんです。説明しようとすると難しいというか、ややこしい部分があります。元々の蜘蛛男は、初代『仮面ライダー』に登場する怪人ですよね。アフレコが始まる前に、色々と調べたんですけど、そのまま描かれる訳ではないので、あまり参考にはなりませんでした(苦笑)。

ーーまさにややこしい部分ですよね。雲田は蜘蛛男であっても、初代『仮面ライダー』に登場する“蜘蛛男”とは違っていて。

内山:雲田のセリフで「ケタケタ」という特徴的な笑い方があるんですけど、「元ネタがあるのかな?」と思ったらそうでもなくて。そういう意味でも、全く別のキャラクターだと思って演じていました。

ーー内山さんが感じた、雲田の人物像についてもお聞かせください。

内山:口数が少なく、自分のやるべきことを忠実にこなしていくという印象です。基本的には謎めいた存在で「何を考えているのか分からない」という部分が、キャラクターとしての大事なポイントになってくると思います。

ーー演じるうえではどのようなことを意識されましたか?

内山:以前『仮面ライダーセイバー』で怪人であるデザストの声を担当した経験を思い出しつつ、演じていました。というのも、雲田って怪人ではあるものの、言葉を話せない動物的な存在ではなく、感情や自分の目的といった思考を持っているんです。そういった感覚はデザストの経験を通して、自分の中に染み込んだものでした。

ーーその点においては、デザストと雲田に通じる部分があったと。

内山:雲田の場合は見えにくい部分がありますけど、「怪人だから〜」というより、一人のキャラクターとして上手く表現できればなと。一方で、蜘蛛男としての姿を見せる時には、普段の物静かな感じとは少し違う雰囲気になると思います。

ーー他のキャストの方からは、現場の熱量についてのお話をよく聞きます。

内山:大声がすごいですね(笑)。一般的なアニメでは、「熱血系もいれば、クール系もいる」みたいなバランスで構成されると思うんですけど、この作品はほとんどのキャラクターが声を張っているので、毎回圧倒されています。ただ、雲田は全然叫ばないですし、物静かに喋るので、全く違う世界のキャラクターみたいだなと。

ーー作中でも特異な存在だと思いますが、演じる中で制作陣からのディレクションはありましたか?

内山:雲田に関しては、「クールで一歩引いた存在であればいい」という演出で、あとはわりと自由にやらせていただいたと思います。物語が進むにつれて、変化するキャラクターでもありますし、特に序盤はそういう部分が全面に出ている気がしますね。

毎回そうなんですけど、キャラクターの初登場回では、池添監督がかなり細かく説明してくださって、とてもやりやすい現場でした。

「怪人が諭す側なんだ……」

ーーここからは第5話の中で、印象的だったシーンを振り返りたいと思います。

内山:まず全体を通して、物語やセリフが面白すぎて。自分のキャラクターというよりは、感情を掻き乱されないようにするのが重要でした。

ーーアフレコ現場で、笑わないようにするのも大変そうですね。

内山:例えば、三葉が「結婚するかしないか」を迫られるシーンとか。本当に、突然そういう話が出てくるので、つい笑ってしまいそうになりました。

当然スタジオに居合わせているので、頑張って「無」の感情を保つことが本当に大事なんですよね。そのドラマに乗っていくキャラクターであれば、どんどん感情を乗せていけるんですけど……雲田としては、あくまで平静を保つことが重要なんです。笑わないのはもちろん、演技の質的にも常に一歩引いた姿勢で、「とにかく冷静でいなければ……」と。自分の中では「何も面白くないぞ!」と頑張って思い込みながら、演じていた気がします(笑)。

ーー(笑)。そんな中で、雲田の「お前は毎日どこかで人に迷惑をかけているだろう」というセリフがとても印象的でした。第5話に関しては、あの雲田のセリフが視聴者目線に一番近い気がします。

内山:あのセリフは面白いですよね。「怪人が諭す側なんだ……」と思いました。「私の方がよほどマナーがいいぞ」とも言われていて、主人公側のアレな部分を指摘する感じが面白かったです。

ーー一方で戦闘においては、怪人としての圧倒的な強さを見せています。

内山:圧倒的に優位な立場という感じでした。本気を出している訳でもなく、雲田としては「軽く戦って勝てる相手だな」と思っているはずです。

戦闘シーンに関しては、セリフ以外の息遣いや力みなどは、「何もやらないで」と言われていて。特に序盤では雲田のキャラクター性や圧倒的な強者感を出すために、そういった演出が取られているようです。

ーー先ほどもお話にあがっていた「ケタケタ」という笑いについては、どのようなアプローチで演じられたのでしょうか?

内山:台本に「特殊な声で笑う」というト書きがあったんですけど、「どういう笑い方にしようかな?」というのは迷った部分ですね。最初は怪人っぽい笑い方であれば良いのかなと思っていたんですけど、スタジオで色々と話し合った結果、「ケタケタは残してほしい」と。文字通りに「ケタケタ」と笑うというのは、他のキャラクターでは中々やらないので、この作品・キャラクターならではの部分として、とても印象深いです。

ーーそして、最後には蜘蛛男に完全に変身しましたね。

内山:この辺りは怪人としての雰囲気を出すべきだと思ったので、人間を飛び越えた感じ、獣っぽいニュアンスを入れています。

ーー今後の展開も気になるところですが、雲田としてはどのような部分を楽しみにしていてほしいですか?

内山:自分自身を圧倒的強者と認識していた雲田にとって、ここから先は意外な展開と言いますか。冷静で一歩引いていたところとは、違う表情を見せてくれると思いますし、考え方も徐々に変化していきますので、注目していただけると嬉しいです。

[インタビュー/小川いなり]

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