魚の浮き袋(うきぶくろ)は何のための器官? 仕組みと働きを解説
魚の体内にある「浮き袋」はどのような働きをするか知っていますか? 多くの魚は、この浮き袋をふくらませたりしぼめたりしながら、浮力の調節を図っています。この記事では、魚のもつ浮き袋の働きやしくみについて解説します。
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魚の浮き袋の仕組みと働き
多くの魚は、体内にガスで満たされた袋状の器官をもっています。この器官は一般に浮き袋とよばれており、主に浮力の調節に役立っています。
魚の浮き袋は通常、体内の背側にある消化管の近くに位置しています。浮き袋の形状や大きさは魚の種類によってそれぞれ異なりますが、一般的には細長い袋状をしていることが多いです。
浮き袋が膨張すると浮力が増し、魚は浮き上がります。逆に、浮き袋が収縮すると浮力が減り、魚は沈みます。このように、場合に応じて浮き袋にガスを取り入れたり排出したりすることで、水中で泳ぐ際の位置調整をしているのですね。
魚たちは浮き袋を活用することで、エネルギーを節約しながら水中で安定した位置を保っています。また、一部の魚類は、浮き袋を音の発生器官や受容器官としても役立てています。
浮き袋をもたない魚もいる
一部の魚類は浮き袋を持たず、異なる方法で浮力を調節しています。
例えば、サメやエイなどの軟骨魚類は浮き袋をもたない代わりに、肝臓に大量の油を蓄えることで浮力を調節しています。油は比重が水より軽いため、浮力の調整が可能になるのですね。
サメやエイの他にも、深海に生息する魚の中には浮き袋を持たない種が多く存在します。この理由については、深海の高圧環境では体内の浮き袋が破裂する危険性が高いため、環境に適応するため浮き袋をもたない進化を遂げたという説が濃厚です。
浮き袋をもたない魚たちは、休まず泳ぎ続けることで浮力を維持したり、体内の脂肪やゼラチン質の組織を発達させたりすることで自身の位置を保持しているのだそう。
生存戦略は様々
浮き袋をもつ魚ももたない魚も、それぞれの生活環境に適応するためさまざまな身体機能を進化させて、水中での生存を確保しています。肝臓に油を蓄える、休みなく泳ぎ続ける、体の組織を適応させるなど、その生存戦略は種によってそれぞれ異なります。
一見、水中をゆったりと優雅に泳いでいるようにみえる魚たち。しかし実際は、浮力の調節のために各々が人知れぬ工夫をしていると思うとなんだか感慨深いですね。
<糸野旬/サカナトライター>