【中受伴走】「集団塾の先取り学習のため」に個別指導塾を選ぶ家庭も！ 中学受験のプロが明かす入塾「３大理由」とは？
中学受験で個別指導塾の利用が増加中。集団塾の併用の実態を、『個別指導塾TOMAS』扇谷洋平先生に取材。習い事と中学受験の両立や担任制など、個別指導塾ならではの強みなどを聞いた。（全３回の１回目）
【画像▶】難関中学に合格！ 中３で防災検定１級を取得した博士ちゃん教育ジャーナリストの佐野倫子です。私自身も長男の中学受験伴走を経験しましたが、伴走中の2022年ごろは「個別指導塾は、集団塾についていけない子のためのもの？」という先入観がありました。しかし近年、御三家など難関校を目指すご家庭が「集団塾の先取り」のために個別指導塾を併用するケースが増えています。
そこで今回は、「個別指導塾TOMAS」の中学受験責任者であり、ご自身も2024年に中学受験伴走を経験された扇谷洋平先生に取材。「個別指導塾」のリアルな活用法と強みを伺いました。（全３回の１回目）
扇谷洋平（おうぎや・ようへい）
進学個別指導塾TOMAS教務企画局副局長。中学受験責任者。『進学個別指導塾TOMAS』の27校舎を統括するブロック長。現在は最難関中学受験専門の個別指導塾『Spec.TOMAS』の運営にも携わる。自身も１児の父として、2024年中学受験伴走を経験済み。
習い事と両立OK「個別指導塾」ならではの強み
──近年では集団塾と併用して、個別指導塾を活用するご家庭が増えていると中受界では話題となっています。また、習い事と両立しながら中学受験を目指すお子さんには個別指導塾が合っているとも聞きます。あらためて、個別指導塾の強みを教えてください。
扇谷洋平先生（以下、扇谷先生）：一番の強みは「時間の自由度」ですね。TOMAS（以下、トーマス）には、野球やサッカー、バレエ、アイスホッケーなど、多様なスポーツや習い事に取り組んでいる子が多く通っています。
集団塾だと、どうしても曜日や時間は固定ですから、真剣にスポーツや習い事に取り組む子ほど両立に苦労してしまいます。
しかし個別指導塾であれば、曜日や時間を選べるので、習い事をあきらめる必要がありません。もちろん工夫と努力が必要ですが、好きなことを続けながら受験に挑戦できることは、子どもの自信にもつながります。
──確かに、「どちらかを我慢する」受験は、その習い事に真剣であればあるほど本人も家族もつらいもの。とはいえ、一般的に入試本番に向けて中学受験生は猛烈に努力をします。そのライバルたちを後目に、マイペースに続けて両立ができるものでしょうか？
扇谷先生：もちろん、我々もそのために最適な教材や進度計画をオーダーメイドで計画していきます。加えて、例えば理科や社会の暗記科目にはオンライン教材を活用し、移動中や車の中でも学習できるようにしています。両立を目指すお子さんは、隙間時間をうまく活用する仕組みを作るわけです。
これは受験生の皆さんにお伝えしたいことですが、「どうやって時間を作るか」「隙間時間をいかに上手に勉強に還元するか」。この視点は、受験生の皆さんにとって、非常に大切です。
意外な利用法？ 御三家狙う層の「集団塾の先取り学習」
──ほかにトーマスに入塾するご家庭は、習い事との両立以外ではどのような理由で選んでいるのでしょうか。
扇谷先生：多いのは次の３つの理由です。１つ目は「志望校に特化した対策がしたい」、２つ目は先ほどの「習い事との両立」、そして３つ目は意外に思われるかもしれませんが「集団塾の先取り学習」です。
というのも、集団塾では授業の進度が速く、つまずくと置いていかれやすい。そのため、「事前にトーマスで内容を理解してから授業に臨む」という使い方をされますね。御三家をはじめとした難関校を狙うご家庭が特に多いです。
特に算数は、２～３年生から週１回のペースで先取りを始めると、時間がたっぷりありますからどんどん進んでいきます。
扇谷先生：子どもというのは、「集団塾で自分だけわからない」という状況ですとやる気をなくしてしまいがちです。
反対に、「クラスのなかで最初に理解している」という状況がとても嬉しいもの。するとよし、絶対にこのままこの科目を得意にするぞ、クラスも落ちないぞ、とやる気がわくんですよね。
自分は算数が得意だ！ と思えば、そういう自分でいるために主体的に頑張れます。
講師とは別に「担任」がつく？ トータルで伴走する仕組み
──なるほど！ いいスパイラルに乗った学びは子どもが前向きになるんですね。
私自身、長男の中学受験伴走を体験して、志望校の相談や勉強方法の相談などを受け付けてくれるチューターがいたらいいなと感じたことがありました。当時は塾の先生を頼っていましたが、そのようなことも可能ですか？
扇谷先生：トーマスには勉強を教える講師以外に、授業を持たない「担任」が各生徒に一人ずつつきます。担任は毎月行うテストの結果を分析し、次の方針を立てたり、志望校の相談に乗ったりします。つまり、講師とは別に“学習の伴走者”がいる仕組みです。
──それは保護者には嬉しいですね！ トータルでケアしてくれる存在がいるのは心強いです。
扇谷先生：保護者の方からの相談も担任が受けます。「塾に電話すると、大勢のうちの一人として、どこまで尋ねていいのか遠慮してしまう」「担当講師が忙しくてなかなかつながらない」。そうした不安をなくしたいという思いから、この担任制度は生まれました。
授業を持たないからこそ、冷静に全体を見られる。お子さんの学習と生活のバランスを整えたり、科目総合での受験配点戦略を考えたり、講師とはまた違うトータルの視点を提供できていると思っています。
こうしたトータルな視点は、中学受験をする保護者の方々にもぜひ取り入れてほしいです。得意な科目は合格者平均を超えるべきだし、苦手な科目は合格者平均どころか場合によってはそれ以下で合格することもある。そういう細かい戦略も大切です。
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「個別指導」は、柔軟なスケジュールで親子を応援し、さらに保護者の伴走も可能だという点がわかりました。合格を摑み取る４科総合の戦略を教えてくださるのも強みですよね！
２回目では、さらに具体的な個別指導塾での勉強法について、引き続き扇谷先生についてお聞きします。集団塾に通っているご家庭、必読ですよ！
撮影／日下部真紀
取材・文／佐野倫子
『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著：佐野倫子（イカロス出版）
