九州高校ライフル射撃選手権大会 県勢が表彰台独占 「最後の夏に響け、一射の覚悟」 【大分県】
由布市の庄内屋内競技場で行われた第49回九州高校ライフル射撃選手権大会。女子ビームライフル個人の決勝で、最後に残った3人は、いずれも県勢だった。緊張感が張りつめる中、照準を定めたのは、過去の自分、そしてこれからの自分。県高校総体でも表彰台を分け合った3人が再び並び立ち、それぞれの思いを胸に引き金を引いた。
頂点に立ったのは、秋吉柚奈(由布3年)。今春の全国高校選抜大会準優勝という実績を持つ実力者が、ここ一番でさらなる進化を見せた。決勝でも終始安定したパフォーマンスを貫き、大会新記録での優勝を果たした。「優勝はうれしい。自分の射撃ができたことが一番の収穫」と秋吉。緊張に揺れる中でも、自分にしか撃てない一射を追い求めた。1発ごとに目を閉じて深呼吸を繰り返し、心を整える。意識したのは「周りと比べないこと」。プレッシャーに勝ち、己に向き合う強さが九州王者へ導いた。
目を閉じて心を整える秋吉柚奈
2位の椛田れりあ(別府翔青3年)は、予選では苦しみながらも決勝で一変。得意とするテンポの速い射撃に持ち込み、一気に調子を上げた。「スイッチが入った。やるしかないと思った」。自らに言い聞かせるように放った一発一発には、ライバルに負けたくない思いが込められていた。納得のいく内容ではなかったが、椛田のまなざしは、すでに次の舞台となる全日本高校生スポーツ射撃選手権を見据えている。
3位の山田歩(東九州龍谷3年)にとっても、実りある大会となった。決勝で残った顔ぶれを見て「県総体と同じだ」と思わず笑みがこぼれたという。だからこそ、勝ちたかった。惜しくも3位に終わったが、「県総体より成長できた実感がある」と自信ものぞかせた。
3人に共通するのは、「今しかない時間」に懸ける強い覚悟だ。高校で競技を終える秋吉は全てが「ラストチャンス」と語り、大学でも競技を続ける意向を示す椛田は「次につながる結果を残したい」と意気込み、山田は静かに闘志を燃やす。それぞれの「最後の夏」は、これから本番を迎える。
表彰台を独占した県勢の3選手
(柚野真也)