プロに教わる「発声のコツ」とは?みんなで歌う楽しさ、唱歌の魅力を味わえる「手賀の郷ジュニアコーラス」【我孫子市】
千葉県我孫子市で、幼児から中学生までが年齢を超えて活動する子ども合唱団。我孫子市在住の声楽家、宮部小牧さんが、一生楽しめる音楽体験を提供しています。練習の模様を取材し、宮部さんに団への想いや、発声のプチアドバイスもいただきました。
生まれ育った我孫子で、子ども合唱団を作ることが長年の夢だった
我孫子市で育った宮部さんは子ども時代、市内の第一小学校で合唱部に所属。部長として時にはピアノ伴奏もしながら、歌う喜びに魅入られ音楽の道へ。東京藝術大学を卒業した後は、同大学院修士課程、ウィーン国立音楽大学リート・オラトリオ科を修了。現在はプロの声楽家としてオペラ、オラトリオ、各種コンサートに出演するほか、大学の講師として後進の指導も行っています。
そうした中で、宮部さんが長年夢見てきたのは「生まれ育った我孫子で子ども合唱団を作りたい」ということでした。
「私たちが子どもの頃には合唱部の活動が盛んな学校が多かったのですが、最近では合唱部がなくなりつつある学校もあると聞きます。歌はどこでも体一つで自分の心を思い通りに表現できる手段であり、素晴らしい唱歌もたくさんあります。子どもの頃に覚えた歌は、いくつになっても歌って楽しむことができ、介護施設などでも、知っている曲を聴くと涙を流しながら歌う方もいます。子どもたちの未来のために、歌う楽しさや唱歌の素晴らしさを伝えたいと思ったんです」
宮部さんの思いに、娘さんが通っていた幼稚園の保護者仲間も賛同し、2022年に「手賀の郷ジュニアコーラス」が結成されました。宮部さんと共に後藤みのりさんが合唱指導を、穏地貴子さんがピアノ伴奏を、池松美帆子さんが広報を担当することになりました。
古今東西の歌を通じて、文化や歴史、言語など興味の幅を広げたい
団の活動においては、歌の上手・下手ではなく、歌うことの喜び、音楽のある生活の楽しさを子どもたちに届けたい、と宮部さんは言います。
「音楽を通じて子どもたちの興味の幅を広げたいという気持ちもあります。歌う曲のベースとなる文学作品や関連する歴史、文化などについての話もして理解を深めながら、いろいろなことを学び、感じてもらえたら。また楽譜の読み方や音楽理論などの基礎学習も盛り込んでいます。思いきり声を出して歌うことは呼吸を深くすることにもつながり、心と身体が元気になる効果も。高学年の子が低学年の子の面倒を見てあげるなど、学年や学区の垣根を越えた友情・絆を育む場にもなればうれしいです」
「緊張しなくなった」「人前でも大きな声で話せるようになった」などの成長も
現在、「手賀の郷ジュニアコーラス」の団員は13人。木、日曜日にアビスタのホールなどで活動しており、両日参加はもちろん、どちらかの曜日のみなど、都合に合わせて参加できるそうです。
1カ月後に控えたコンサートに向けての練習にお邪魔しました。
団長のあいさつからスタートし、準備運動、ピアノ伴奏に合わせた呼吸、発声練習でウォーミングアップ。雑談も交えながら、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます。
歌う時は宮部さんの指揮に集中しながら、みんな真剣に取り組みます。ホール全体に澄んだ声が響きわたり、一緒に歌を口ずさむと、共振する心地よさを味わえました。
歌の合間にはみんなで歌詞の意味を読み取り、歌い方のイメージを擦り合わせたり、歌の後に言うセリフを決めたりして、みんなで1つの歌を作り上げていきます。
団員の皆さんに、「手賀の郷ジュニアコーラス」の活動の魅力について聞きました。
「毎回、声が思い切り出せて楽しいです。ずっと合唱をやりたくて、ここで歌えるようになってよかったです」(小6・男子) 「間違えなく歌えた時は気持ちいいです。ステージで歌うことに慣れて、緊張しなくなりました」(小6・女子) 「人前でも大声で歌えるようになったし、学校の委員活動などでも大声で話せるようになりました」(小6・女子)
この日を最後に海外に引っ越してしまう仲間もいましたが、「数年後、帰国したら戻れる場所になるように」とみんなで『今日の日はさようなら』を歌って送り出しました。学校や家庭以外の居場所があり、同じ目標に向かって楽しく進める仲間がいることは、素敵なことだなーと感じました。
プロの声楽家に聞いた、声を上手に響かせるためのプチアドバイス
子どもたちの美しい歌声を引き出している宮部さんに、発声のワンポイントアドバイスをいただきました。ポイントは、息を上手に使うこと。深い呼吸をすることで、心身の健康効果にもつながります。体調も考慮しながら、無理のない範囲でやってみてください。
1.呼吸のポイントは、まずお腹がぺたんこになるまで息を吐き切ったあと、お腹が自然とふくらむのに任せて吸うこと。自然と腹式呼吸になる。
2.歌う時は腹斜筋(脇腹の筋肉)や胸郭を広げ、息を吸いながら横隔膜を下げる。丹田(腹直筋下部)を張って支えた息で声を出す。
3.あご、舌、首を楽にして、口は、お団子の串が入っても喉に刺さらないくらい、喉の奥まで大きく開けるイメージで。
4.発声。「ドーレーミーレードー」の音階に合わせて「ま~~~~」と発声してみよう。声を鼻を通して出し、頭上にも響かせるイメージで。
「公民館や音楽スタジオ、環境が許せばお部屋でも練習できます。思い切り声を出す気持ち良さを味わってみてください。一人でもいいですが、仲間と一緒に歌うと共振する喜びも感じられますよ!」
「手賀の郷ジュニアコーラス」では、2024年5月25日(土)、26日(日)の午後に、けやきプラザ「ふれあいホール」で開催される『我孫子市民フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会』に参加し、『くるみ割り人形』の中の一曲を歌う予定で、一緒に音楽を楽しむ仲間を募集しているそうです。無料体験レッスンも随時開催しているので、歌や音楽、仲間作りに興味のあるお子さんはいかがでしょうか。
手賀の郷ジュニアコーラス https://teganosato-jrchor.mystrikingly.com 練習場所:アビスタ(我孫子市生涯学習センター)ミニホールまたは第5学習室他 活動時間/木曜日(月3回程度)16:30~17:30/日曜日(月2~3回)15:30~17:00 会費:1カ月4000円または、1回1000円 問い合わせ/HPのコンタクトフォームから