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冬アニメ『DARK MOON -黒の月: 月の祭壇-』志賀翔子監督インタビュー|ここまでキャラクターたちがまっすぐな作品は昨今あまりなかったのでは

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

世界的人気を博すグローバルグループ・ENHYPENとコラボした7人の少年たちを主人公に、名門学校デセリスアカデミーで出会った転校生の少女との運命的な物語を描く大ヒットウェブトゥーン『黒の月: 月の祭壇』。本作のTVアニメ『DARK MOON -黒の月: 月の祭壇-』が、2026年1月より放送中です。

アニメイトタイムズでは、本作の監督を務める志賀翔子さんにインタビュー。ENHYPENとコラボした原作だからこそこだわった点、そして昨今はなかなかないほど「まっすぐ」な原作の魅力についてお聞きしました。

 

 

【写真】アニメ『DARK MOON』監督が語るENHYPENとコラボした原作だからこそこだわったポイント

せっかくなのでENHYPENとのつながりが分かるような要素も取り入れたくて

──最初に原作を読んだときの印象をお聞かせください。

志賀翔子監督(以下、志賀):今回のアニメ企画に関するお話をいただいてから、原作ウェブトゥーンを読んだんです。最初はENHYPENとコラボしているというのが企画として面白いなと思ったのですが、読んでいくなかで、非常に作りこまれていると感じて。ストーリーは大胆でめちゃくちゃ凝っていますし、学園モノのラブストーリーとして読んでいたら、どんどんバトル展開になっていったことにも驚きましたね。ダイナミズムがありながらも、キャラクターが純粋でどこか懐かしさを感じました。個人的にこういう作品は好きです。

──そんな原作をアニメ化するにあたり、シリーズ構成担当の待田堂子さんとはシナリオ会議でどんなお話をされましたか?

志賀:まずは原作の流れでやろうという話にはなったのですが、アニメの尺事情とキャラクターをもう少し立たせていきたいという思いから日常シーンを増やすことを待田さんに提案しました。それで7人のヴァンパイアの登場を早める、エピソードを入れ替えるなどの再構成をしていただいたんです。

例えば、第5話・6話にかけて展開された誕生日パーティー。あそこはオリジナル要素も大きく加えて、日常シーンのボリュームを増やしました。

──なるほど。

志賀:あとは、せっかくなのでENHYPENメンバーとのつながりが分かるような要素も取り入れたくて。ファンの方なら気づいていただけるかも?というくらいの小さな点ですが、実際のメンバーの要素を組み込みました。そのほか、人狼が人狼ゲームをするというアイデアなど、全体的に楽しいシーンを増やすことも意識しています。それが結果として、後半のシリアスでカッコいい展開との対比となり、ストーリーに強弱を出すことができました。

──原作サイドの方々からは何かリクエストはありましたか?

志賀:それが驚くほどなくて。先ほどお話ししたメンバーの要素などに関しても、ほぼ快諾いただきました。原作から多少セリフを変えている箇所もあるのですが、それに対してもこちらを信頼いただいて任せてもらえたんです。大変ありがたかったですね。

 

デザインや音楽は原作のムードを大事にしていました

──他作品でもご一緒されたことがある猪股雅美さんのキャラクターデザインを見たときの感想を教えてください。

志賀:原作のデザインをベースにした猪股さんらしいキャラクターを一目見たときから、アニメの印象がバシッと浮かんできたんです。安心しました。猪股さんの絵って、いつもキャラクター性をつかんでいて品があるんですよね。本作では特にそれが大事でして。

例えばヒロインのスハ。彼女は表情豊かで素直な女の子なんですけど、かなり変わっているところがあります。その要素をぜんぶ踏まえつつエレガントに仕上げてくださいました。7人の少年たちも、ヴァンパイアといえば高貴なイメージがあるので、デザイン的に品があったほうがいいなと思っていて。その辺を猪股さんがしっかり仕上げてくださいました。

──映像面全体で意識していたこと、大切にしていたことをお聞かせください。

志賀:原作のムードですね。根本にあるゴシック感、ミステリアスなムードなどを出すために、背景もすごく細かく綺麗に仕上げていきました。あとは音楽も声も入ってキャラクターたちが立体的になるのがアニメならではの要素だと思っていますので、そこに彼らが生きているように見えることは意識していました。何気ないシーンでも、そこに存在感があるというのが大事だと思っています。

──お話にあった通り、音楽もアニメならではの要素だと思います。本作の音楽を担当する千葉"naotyu-"直樹さんにはどのようなリクエストをされましたか?

志賀:音楽に関してもムードが大事なので、ゴシックな要素を入れて欲しいとお願いしました。ENHYPENとのコラボ作品ということもあるので、ファンの方が聴いていてもスッと入っていけるようなポップな曲も欲しいというリクエストもしましたね。私からはそれくらいで、あとは音響監督主導で発注していった形になります。

──実際にあがってきた千葉さんの曲を聞いたときの印象をお聞かせください。

志賀:バラエティに非常に富んでいましたが、私が想像していた以上にクールでカッコよく仕上がっていました。先ほどお話しした通り、本作は前半後半でアニメ自体のムードがガラリと変わるのですが、使用する音楽を意識的に変えることによってさらに強弱が付いてブーストがかかったんじゃないかと思っています。

 

 

「Fatal Trouble」のED映像はENHYPENのMVを意識しています

──ここまでシナリオ・デザイン・音楽について聞いてきましたが、その他アニメ化するにあたりこだわった点を教えてください。

志賀:原作のある作品ですが、この企画はちょっと特殊でアニメの向こう側にさらにENHYPENの世界があるんです。それも考えてアニメとして表現しなければいけないと思っていました。一方で、まだENHYPENのことを知らない方が見てもごく普通に楽しめるというのも意識していて。本作にはカッコいい男の子たちが登場しますが、魅力はそれだけじゃないんです。話の展開も面白くて幅が広いので、作品の色々な良さを知ってもらえばと思いながらアニメを作っていました。

──アニメを見て、原作やENHYPENのことを知った方もいるのではと思っています。

志賀:そうなればいいなと、制作中からかなり意識していました。キャラクターに現実のメンバーの要素をちょくちょく入れているのも、ENHYPENを知ってもらえたらという理由もあったからです。キャラクターからENHYPENのファンになる方がいてくれたら嬉しいですね。

──OP・EDテーマ曲をENHYPENが歌唱しているのも、作品とリアルのつながりを感じる要素だと感じています。

志賀:エンディングテーマ曲の「CRIMINAL LOVE」はデフォルメキャラのかわいい漫画チックな映像に仕上がっています。絵コンテからURARAさんにお任せしていたのですが、あがってきた映像を見てクオリティが高すぎて驚きました。

もうひとつのエンディング「Fatal Trouble」は私が演出しましたがENHYPENのMVを意識して、モチーフなどを入れています。オープニング曲の「One In A Billion」は作品の世界観を表現しつつも、横一列で歩くシーンはENHYPENを意識して取り入れました。楽曲と併せてそういったリンクしている部分も楽しんでいただけたらと思っています。

 

──ENHYPENとのリンクという点でいえば、各キャラクターの声もより慎重に決める部分があったのかなと思っています。

志賀:確かに、いつもとは違う気の遣い方をしましたね。

──キャストオーディションは監督も立ち合いましたか?

志賀:今回はテープオーディションで、スタジオで一人づつ演じていただいた訳ではなかったのですが、オーディション参加者のテープを聞きながら、会議で決定していきました。私は声にこだわるタイプで、スハ・ヘリ・カーンに関しては、私の意向をかなりくんでいただいています。

 

スハは「こうですよ」と言われたら「そうなんだ」って思える方に演じてもらうのがいいかなと思って

──スハ役に選ばれたのは、和泉風花さん。選んだ決め手はどこでしたか?

志賀:先ほどもお話した通り、スハは変わっている子でいい意味でも悪い意味でも無邪気で素直なんですよね。ヴァンパイアをあそこまで憎めるのも素直ゆえというか。だからこそ、みんなが信じられるタイプでもあるんです。そういう声をどこで判断したかと言われるとすごく難しいのですが、あまり考え過ぎずまっすぐにお芝居できる方がいいなと思ったのかなと。「こうですよ」と言われたら「そうなんだ」って思える方というか。

──変に含みを持っていないというか、素直にリアクションがとれるというか。

志賀:まさにそうです。もちろん、含みがあるのが悪いということは全くなくて。スハの場合は「もしや、こういうこと?」ってあまり思わず、まっすぐなお芝居ができる方がいいのではと思い、選ばせていただきました。

──ヘリについてはいかがでしょうか。戸谷菊之介さんが演じられています。

志賀:ヘリって、黒髪で、目元が涼しげで、賢そうで寡黙というミステリアスな存在ではあるのですが、それを自覚的にやっているタイプではないんですよね。それが独特なんですよ。ヘリも芯はまっすぐなタイプだなと感じています。

──無自覚のミステリアスって、すごく面白いキャラクターだなと思いました。

志賀:そうですよね。人によって感じ方は違うかもしれませんが、そういうタイプだと私は思いました。それで、候補のなかで戸谷さんがそのイメージに近いお芝居をされているなと思い決まりました。

──木村太飛さんが演じるカーンについてはいかがでしょうか?

志賀:同じことの繰り返しになっちゃうんですけど、カーンも信じられないほどまっすぐなタイプなんですよね。ぜんぜん裏表がなくて。カーンは人狼を率いる責任感から、自分には力がないんじゃないかと悩むのですが、自分がリーダーでいいのかということでは悩まないんです。そこに関しては、すでに肝が据わっているというか。人と比べているようで比べていないんですよ。そういうキャラクターのキャストをどう選んだのかと言われたら困っちゃうのですが、いい意味で器用過ぎずに演じられる方がいいのかなと思って選んだのかなと。カーンの場合、器用に演じすぎると、それが声にも乗ってしまうと思ったんです。

 

 

ヴァンパイアたちがまっすぐなのは、仲間がいたからこそ

──お話を聞いていて、確かに『DARK MOON』ってまっすぐなキャラクターが多いと思いました。

志賀:基本的に多いですよね。昨今はこういう作品があまりないような気がしています。複雑でまっすぐにはなかなか生きていけないタイプが多いのかなと。最初はひねくれていてそこから素直になってという話は多いと思いますが、最初から素直というのはなかなかないので新鮮でした。

──「もしやこのキャラクターは」と、穿った目で見なくてもいいというか。

志賀:そうなんですよね。逆に自分がいつも穿った目で物語を見ていたんだなと自覚させられました。おそらく、本作の原作はそういう意図で描いてはいないとは思いますが。

──それこそ、原作からそういう気持ちで描いていたら、きっとまっすぐにはならなかったと思います。

志賀:あり得ますね。正直さがこの作品の魅力だと感じています。でも、ヴァンパイアたちがあんなにも辛い思いをしていてもまっすぐでさわやかなのは、仲間がいたからこそなんでしょうね。スハは独りだったから、あれだけの憎しみを抱えなきゃいけなかったのかなと。そういう対比も描かれているのかなと思います。

 

キャラクターたちが普通に生きている感じを出したくて

──さきほどオーディションの話をうかがいましたが、実際のアフレコではどのようなリクエストをされましたか?

志賀:ヴァンパイア・人狼組はみんな一緒にやってきた家族のような仲なので、最初からその空気感を出して欲しい、仲良くして欲しいというリクエストをしました。あとはキャラクターたちが普通に生きている感じを出したくて、キャラ付けをし過ぎず、芝居はナチュラルなアプローチでというお願いもしました。

──第1話の段階で、関係性ができあがっているという空気感を何となく感じました。

志賀:そうであれば、よかったです。あのシーンがそう見えなかったらぜんぶ嘘になっちゃうので。でもナチュラルすぎると美形のキャラクターたちに声が乗ってこないというラインもあって。きっとキャストのみなさんも、第1話でみんなで集まって喋っているというところで探りながらキャラを作っていったのではないかと思います。

──最後に、今後の見どころをお話いただければと思います。

志賀:ここからラストまでは恐らく「えっ? えっ?」と思う展開で駆け抜けていきます。クライマックスに向けてはバトルシーンのほか、最終局面でのスハとヘリのお話にも注目してください。ストーリーが壮絶になっていくので、最後までハラハラしつつ見守っていただければと思います。

 
[文・M.TOKU]

 

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