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「『バンドリ!』『バチャガ』両作品のファンの方に楽しんでいただきたい」──「信澤収イラスト展 -BanG Dream! & VIRTUAL GIRL-」信澤 収さんスペシャルインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

人気スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』にてキャラクターデザイン・アートディレクターを務める信澤 収さん。キャラクターの心を映し出す繊細なタッチと、見る者の心を掴む“カワイイ”の表現で、多くのファンを魅了しています。

そんな信澤先生による待望の個展「信澤収イラスト展 -BanG Dream! & VIRTUAL GIRL-」が、2025年7月8日(火)~7月22日(火)、東京・AKIHABARAゲーマーズ本店にて開催中!

アニメイトタイムズでは、信澤 収先生ご本人に個展の見どころなどを聞くスペシャルインタビューを実施。実際に会場を回りながら、イラストの制作秘話や注目ポイントを語っていただきました。

信澤先生が描く「この絵ならではの一瞬」と、アートディレクターとして紡ぎ出す「一人ではできない体験」。“夢”と“仮想”が交差し、少女たちの“カワイイ”がかがやく至高の空間が、信澤先生のお言葉でよりキラキラとした輝きに彩られます。

【写真】「信澤収イラスト展 -BanG Dream! & VIRTUAL GIRL-」スペシャルインタビュー

信澤先生が創る「この絵ならではの一瞬」と「一人ではできない体験」

──「信澤収 イラスト展」の開催、おめでとうございます! 改めて、今回のイラスト展が開かれるまでの経緯を教えてください。

信澤 収さん(以下、信澤):『BanG Dream!(以下、『バンドリ!』)』に関しては長く、10年近く関わらせていただいていたり、『VIRTUAL GIRL @ WORLD'S END(以下、『バチャガ』)』は企画の立ち上げから携わらせていただきました。

自分の名前も段々とみなさんに認知いただけてきたかと思いますので(笑)、今回の展示会は節目的な意味合いもあります。

──今回が初の個展開催とお伺いしました。

信澤:完全にはじめてのことで、特にこれまで個人で企画はしてこなかったんですよね。

──ファンからの応援・声、というのもひとつの要因だったのでしょうか。

信澤:そうだと思っています。僕が自分の名前を出して活動し始めたのも、ここ数年の出来事ではあるのですが、幸いなことに段々と知っていただけたのかなと。

──今回の展示にも展開されている、『バンドリ!』キャラクターたちの誕生日イラストなどは、ファンの声が直に伝わる場なのかなと。

信澤:ひたすら描かせていただいています(笑)。誕生日イラストに関しては、僕が勝手にやり始めたものなのですが、別の作品でも同じような企画があって。その企画に対して作品のファンのみなさん、キャラクターのファンのみなさんがとても喜んでいるな、と感じていました。

自分自身、『バンドリ!』というコンテンツに育ててもらっているという感謝の気持ちもあります。このような企画をすれば、ファンのみなさんに喜んでいただけるかなと思いながら描き始めたのが始まりでしたね。

──それでは、そんな誕生日イラストの展示からご紹介をお願いいたします。

信澤:誕生日イラストは、その年ごとでテイストを変えています。例えば2023年に展開したものは表情のみの構図で、手などを入れずに「どのような見せ方ができるか」という描き方をしていました。

──2023年に投稿されていた奥沢美咲のイラストのように、動きのある髪の毛や水の滴る表現が印象的です。このようなテイストを加える際に意識していることはありますか?

信澤:前提として、目の大きさや髪の毛の長さを変えてしまうと「あれ、このイラストは美咲なんだっけ?」というノイズが先に走ってしまいます。ただ、髪の毛が揺れている表現は元のデザインを崩さずに「この絵ならではの一瞬」を作るのに使いやすい要素でもあるんです。そんな意味も含めて、多用している表現方法かもしれないですね。

──髪の毛の揺れと言うと、同じく2023年の青葉モカのイラストも同様でしょうか。

信澤:確かに、いつもより髪の毛を細かく、多く動かしていますね(笑)。このような表現で遊ぶときは、その子ならではの表情のニュアンスを意識して、イメージから大きく動かさないようにしています。全体として、この絵ならではの特徴があるけれど「モカだな」と思ってもらえるようなイラストを意識して描いています。

──誕生日イラストのようなテイストの絵と、アプリゲーム内に登場するイラストとでは、描き方に違いはありますか?

信澤:全く違いますね。今回の展示で言うと(戸山)香澄など、元々の『バンドリ!』に近いテイストの絵は、誕生日イラストを描き始めた初期の段階で投稿したものです。最初は慣れ親しんだ絵柄・表現がスッと入るだろうなという意味で描いていました。

それから2年、3年と年を重ねていくごとに、「同じ雰囲気で描いていても飽きられてしまうかも」と思ったんです。なので、構図を変えてみたり、顔のアップにしてみたり……ついに今年(2025年)に関してはもっとアップになっていたり。チャレンジの意味合いもありつつ、ファンのみなさんの反応も見て「来年はどうしようかな」と考えながら描いています(笑)。

──「来年は」ということは、まだまだお誕生日イラストを描き続けていただけるのですね。

信澤:そうですね。コンテンツが続く限りは続けようと思っているのですが、ありがたいことにキャラクターの数が増えていますので……(笑)。

わかりやすくファンのみなさんに届けることができるイラストですから、できる限り続けたいと思っています。

──そのほかに、「スニーカーエイジ」香澄・燈のイラストも展示されています。

信澤:僕は高校時代にバンドをやっておらず、彼女たちのような爽やかでキラキラした時間を過ごしてはいなかったのですが、自分の想像するバンドの楽しさやキラキラがパッと見て伝われば良いなと思いながら制作しました。ストレートなイラストになっていると思います。

──こちらは、信澤先生がアートディレクターとして制作されたイラストですね。

信澤:そうですね。よくあるパターンではあるのですが、僕が全体のラフを描いて、その後の調整はスタッフに手伝ってもらっています。綺麗に線を引く作業などは、別の会社さんにお願いをすることもありますね。

そうして仕上げていただいた線画に自分が赤を入れて、着色をしていただいたものに赤を入れて……と制作が進んでいきます。まさにこのイラストはそのようなフローで完成したものです。

──アートディレクションをする上でのやりがいや、楽しさについて教えてください。

信澤:「自分だけでは、こんなイラストは描けないな」「技術的に、こんなに綺麗に線を引けないな」など、自分ひとりだとできない質の作品が作れるところです。

あと、単純に一人で制作するより多くのイラストを作ることができます。量が作れればその分、色々な人に求めているイラストを届けることができる。一人ではできない体験をさせていただけるところが、ディレクションをしていて楽しいなと思うポイントですね。

(イラストを見て)……本当に綺麗に描いていただいて。そちらのイラスト(MyGO!!!!!「Zero gravity ver.」)もそうですね。

──キャラクターはもちろん、背景も美しくて。

信澤:背景もラフまでは僕が描いているのですが、「宇宙的な場所で」「キャラクターにこんなポーズをさせたい」という要望をお伝えして制作いただいています。

このイラストは、MyGO!!!!!が世界を股にかけるイメージが出るといいなと考えながらラフを描いていましたので、「そんな雰囲気を青ベースで表現できたら」という指示を出しました。そうしたら細かくしっかり、綺麗に描いていただけて。ずっと一緒にお仕事をさせていただいている方なので信頼しています。

──そして『バンドリ!』エリアでも一際大きい、Ave Mujicaの5人が揃ったイラストボードについても、お話をお聞かせください。

信澤:このイラストに関しては、もちぷよさんにご協力いただいています。僕がざっくりとしたラフを描いて、そのラフに描き込む形で仕上げていただきました。いつもとは違うテイストを楽しんでいただけるかなと思います。

このような特別感を出したいイラストに関しては、特に(もちぷよさんに)お願いすることが多いですね。

……こんなに大きなサイズで印刷していただいて。圧が出ていいなと思います(笑)。

──存在感も大きく、まさに壮観といいますか。

信澤:ですね! 入口からも見えるのでいいなと(笑)。

今回のライティングの影響もあって、目が印象的に見えますよね。彼女たちが持つ世界観には確固たる雰囲気が存在しているので、それをイラストに落とし込めればいいなと思っていましたが……本当に素敵に仕上げてくださいました。

「『バンドリ!』『バチャガ』両作品のファンの方に楽しんでいただきたい」

──続いて『バチャガ』のエリアですが、キービジュアルから『バンドリ!』とは異なる雰囲気を感じています。

信澤:『バチャガ』に関しては、パッと見て「終末世界」が舞台であることを伝えたいと思っていました。それが一目でわかるようなイラストにしたかったんです。

また、キャラクターコンテンツを作る人間として「キャラクターが立っている」瞬間を伝えたいなとも思っていました。舞台は終末世界でも、個のキャラクター性が伝わるような表情・ポージングを心がけて描いています。

このイラストを描いていたのは結構前のことなのですが、今見ても、自分でも好きだなと思うイラストです。

──そんなキービジュアルの反対側には、ゲーム内のスチルがズラッと並んでいます。アイとリンカのライブ風景(「届け、愛の歌」「遥かな未来まで絶唱、響き渡れ」)を捉えたものは、先ほどの終末世界と特に対比になっているのかなと。

信澤:そうですね。この2枚は特にわかりやすいと思います。作中の「Vstar(※VTuber的立ち位置の存在)」が活躍するシーンの中でも、キラキラした瞬間を描いている2枚ですね。その子の“そっちの面”が一番強く出ているシーンですね。

(凛とリンカを見て)凛は結構落ち着いた色合いの子ですが、Vstarであるリンカの姿はエグいくらい色を強くしています。マキはこの3人(アイ、リンカ、マキ)の中だと、最も色が落ち着いていますね。これもキャラクター性です。

──入口を入って真正面に頬杖をつくマキ(「マキの思惑」)がいて、目が合うのが印象的でした。

信澤:このシーンに至るまで、マキのようなスタンスで触れ合ってくるキャラクターは作中にあまりいないんですよね。他のシーンでは描けない表情をここで描けたなと思います。

──そして「世界の終わりに届く歌」も……。

信澤:一周回ってキービジュアルの雰囲気に戻りました。作中ではキラキラした瞬間も描きながら、根底には「そうそう上手くいかないよね」というイメージがあって。特に終盤にかけてそれが顕著に描かれていると思います。その雰囲気を象徴する一枚ですね。

会場内でも流れていますが、楽曲も素晴らしいので、ぜひ聴いていただきたいと思います。

── 一転して、アイ・リンカ・マキの楽しげな水着姿のイラストも展示されています。

信澤:「好きに水着姿を描いていい」と言われたので、好きに描きました(笑)。こちらのイラストも自分で描いているものもあれば、もちぷよさんにご協力いただいたものもあります。

──この場にはもちぷよ先生もいらっしゃいますが、もちぷよ先生から見た信澤先生はどのような方でしょうか?

信澤:あはは! すごい質問だ(笑)。

もちぷよさん(以下、もちぷよ):たまにボケたりされることもありますが、穏やかな方です。あと、基本的にずっとお仕事をされているような印象で、常になにかを描いているんじゃないかなって思っています(笑)。とっても真面目な方ですね。

信澤:(笑)。

もちぷよ:ワーカホリックじゃないですか?(笑)

信澤:正直、自分でもそう思います(笑)。

──お身体・ご体調にはお気をつけください……! ちなみに、『バチャガ』のキャラクター性や世界観など、どのように制作していったのですか?

信澤:終末世界という設定は元々好きな土台。VTuberやAIなどのテーマに関しては、いま自分が興味を持っている分野、気になっているものなんです。それらをかけ合わせて完成したベースが根底にあります。

Vision Eyeなどのマシンについては、自分が元々興味のあったVRのゲームやガジェットから着想を得ています。……買っては使わないで横に置いておいてしまうクセがあるのですが(笑)、「どう見えるんだろう?」と試すことも多くて。今は使っていてもピンとこないものも、将来は実用化するなどして一般的になったら嬉しいなと考えていました。

──そして、入口を入って左手には、今回展開されるグッズも並んでいます。

信澤:綺麗ですね! 今回、どのようなグッズを作るかなどのディレクションはブシロードさんに全てお任せしています。なので、上がってきたデータをチェックしただけにはなるのですが、さすがですよね。

……結構納期ギリギリの納品になってしまうイラストもあるのですが、それも綺麗に仕上げていただいて。ファンのみなさんに喜んでいただける内容になっているのではないかと思います。

──特にお気に入りのグッズはありますか?

信澤:缶バッジがいいなと思いました。アクリルスタンドやアクリルパネルなど色々なグッズがありますが、手に取りやすくていいなと。

──その隣には、今回のメインビジュアルの複製原画も展示されています。

信澤:このイラストに関しては、2点ほど思うところがあるんです。ひとつめは単純に、この2つのコンテンツを「一枚のイラストに描かせてもらっていいんだ」と。この試みは過去、自分もあまりやったことがないことだったので、自分の絵としてひとつのイラストに描かせていただけたのが楽しかったです。

ふたつめは、このイラストも先ほどのAve Mujicaと同様に、もちぷよさんに色合いをほぼ描いていただいたものなんです。“ならでは”の色合い・雰囲気にまとめていただいてよかったなと思います。

──確かに、ドロリスとリンカが並んでいるなんて中々叶わないことですよね。

信澤:キャラクター同士、どんな距離感がいいんだろう、と悩んでいました。とりあえず自分も受注販売で買おうと思っています(笑)。

──ちなみになのですが、燈とマキ、あられとアイ、ドロリスとリンカといったように、キャラクターデザインや内面性が似通った2人が隣同士にいるのは、なにか関係があったり……?

信澤:関係……なくもないかもしれないですね。「無意識にこの構図になっていた」というのが答えかなと思います。自分では気が付かない、自分のクセかなと(笑)。

──最後に、今回の「信澤収 イラスト展」について、ご来場されるファンのみなさんにメッセージをお願いします。

信澤:「信澤収 イラスト展」という名前の展覧会ですが、『バンドリ!』『バチャガ』両作品のファンの方に楽しんでいただきたいという気持ちで各イラストを描いています。「このイラストって、どんなシーンのものだっけ?」と思っていただけた際には、改めて各作品に触れていただけたらと思います。

ご来場いただき、「実際に絵を見ることができた」「大きなサイズで見れて嬉しい」と感じてくだされば、ぜひ感想をいただけると嬉しいです!

【取材・文:西澤駿太郎 編集:太田友基】

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