藤沢市議会 ケアラー条例可決見通し 協議会などで支援促進
高齢者や障害者等の家族を日常的に介護する「ケアラー」の支援条例制定を目指して藤沢市議会の政策検討会議が2日、12月議会定例会に議案を提出した。16日(月)の本会議で可決される見通しで、市内のケアラー支援の促進が期待される。
提出された議案は「ケアをされる人もする人も自分らしい生き方ができる藤沢づくり条例の制定について」。議案では、「誰もがケアをされる側にもケアをする側にもなる」とし、ケアをケアラーだけが担うことで孤立し、心身を害したり人生を諦めたりしないために「ケアをされる人とケアをする人の声や希望を政策に反映し、『誰一人取り残さない』藤沢をつくること」を目指す。
近年課題となっている18歳未満でケアを行っている「ヤングケアラー」や、40歳前後までの「若者ケアラー」、仕事をしながらケアを行っている「ビジネスケアラー」などにも目を向け、全てのケアラーを支援するために市の責務や事業者、学校、関係機関の役割などもあげる。
また、市がケアラー支援に関する施策を実施するための「ケアラー支援計画」の策定や、施策の総合的かつ計画的な推進について意見を求めるため、ケアラー当事者や商工・労働団体など幅広く参加する「藤沢市ケアラー支援協議会」の設置を求めている。
6日に行われた市議会厚生環境常任委員会では、同議案についての質疑が行われた。
条文の文言などに意見があがったが、出席議員の全員が議案に賛成し、16日に行われる本会議の採決では可決される見通しだ。
全会派で議論
ケアラーの支援を巡っては、2020年に埼玉県で全国初のケアラー支援条例を制定。全国的に条例制定の動きが広がり、今年4月に鎌倉市が神奈川県初のケアラー支援条例を制定している。
藤沢市議会では、昨年9月に全会派が参加して政策検討会議を設置し、学識経験者や市民団体等を招いてのシンポジウムや、市民に向けたパブリックコメントなどを実施してきた。
自身もケアラー経験を持つ竹村雅夫議員は「1年半かけて議論を重ね、議案を提出することができた。政党を越えて、全会派が一つのテーブルで条例を討議できたことは、とても貴重な経験だった」とし、「社会にはさまざまなケアラーが居て、光があたっていない人も多い。条例ができることで支援の手が届いてほしいし、SOSの声をあげていいことが伝われば」と条例制定の意義を話す。