【川崎市中原区】富士通 中学生が会社の未来発表 職場体験で社員と創造
総合電機メーカーの富士通(株)(上小田中)は11月12日、13日の2日間、地域貢献活動の一環として、市立犬蔵中学校(宮前区)の2年生を対象とした「職場体験型探究プログラム」を実施した。学習指導要領で必修の中学校の職場体験として初めて企画。生徒6人が同社テクノロジーホールなどを見学し、元川崎工場で進めている富士通テクノロジーパークの再開発について社員たちと意見交換し、研究成果の発表を行った。
今年6月に創立90周年を迎えた同社。創立当初から主要拠点としていた上小田中の元川崎工場に昨年、研究開発機能やコーポレート機能を集約し、本社機能を移転。現在、富士通テクノロジーパークとして再開発を進めている。
今回同社が企画した「職場体験型探求プログラム」は、同社本店、富士通テクノロジーパークで実施。会社見学だけでなく、﹁富士通クエスト」と銘打ち、学習指導要領で求められる「探究的な学び」を提供。与えられたミッションをもとに、社員と協働しながらテーマ設定から調査研究、発表までを体験してもらう内容のプログラムを企画した。
初日に、富士通製品や同社の技術を紹介しているテクノロジーホールを見学。「富士通クエスト」では、2班に分かれて「富士通らしい空間を提案しよう」をミッションに、2日間にわたってAIを活用しながら社員と意見を交わし、発表資料を作成。2日目の午後には、同社社員が見守る中で研究成果を発表した。
「富士通の10年後」をテーマにした班は、子どもから大人まで集まる施設として、芝生広場にあずまやや木陰で休めるスペース、ブランコなどの遊具、カフェを設置して富士通製品を使える場を提供するなどのアイデアを披露した。もう一つの班は「AIとつくるクリーンシティ」をテーマに、ごみを捨てた量をAIで計測しそれを比べ合い、国外の拠点とも競うことなどを提案した。
発表を聞いた社員は「富士通のことを踏まえて考えてくれていた。カフェなどリアルに会社に取り入れてもらいたい」と感想を話した。同校の石川黎音さんは「みんなスーツを着てという思っていた仕事と違った。ゼロから創造して1を作ることの難しさを感じた。これから授業で生かしていきたい」と今回の体験を振り返り、今後に向けて抱負を語った。
社員「地域に貢献を」
同社では、これまで市立中学校から「PCの製造現場を体験させてほしい」という職場体験の依頼はあったものの、PCの製造を行っていなかったことから受け入れていなかったという。今回、同校から実際の仕事に触れる機会をと依頼を受け、初めて生徒を招き入れることになった。
同社コミュニティ推進室の佐藤康一郎さんは「弊社はBtoBの会社なので、生徒の受け入れに不安があった。自由な発想をすることを楽しく学んでもらえたので、受け入れて良かった。川崎は創業の地。今後も職場体験はできる限り協力できたら。地域に貢献していきたい」と話した。