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三月のパンタシア みあが新曲と小説に込めた「三パシ史上一番熱い夏」への思い

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三月のパンタシア みあ

“終わりと始まりの物語を空想する”ボーカリスト「みあ」による音楽ユニット、三月のパンタシア。通称「三パシ」の約二年半ぶりとなる7枚目のシングル『101/夜光』が7月21日にリリースされた。

TVアニメ『魔法科高校の優等生』主題歌である「101」、みあ自身が書き下ろした小説「さよならの空はあの青い花の輝きとよく似ていた」主題歌となる「夜光」、その小説のサイドストーリー「パインアメは溶けきらない」テーマ曲となる「パインドロップ」の三曲はこれまでの三パシの楽曲と比べてもそれぞれ新たな一面を見せており、みあの描く青春世界を多面的に表現している。この新たな音楽たちと小説の制作と、そこに込めた思いについてみあに話を聞いた。

――今回7枚目のシングル『101/夜光』がリリースされますが、前にお話を聞いたのが去年でした。いかがお過ごしでしたか?もう夏が来ようとしていますが。

今年の三パシの夏はこれまでで一番熱い夏になるじゃないかと思っています。純粋に2年半ぶりぐらいになる久々のシングルリリースと、私が初めて書き下ろした長編小説も出版されるので、いろんな角度から楽しんでもらえるんじゃないかなって。

――では、「101」からお話伺えれば。過去最高に強い楽曲だという印象を受けました。

そうですね。自分の中でも三パシ史上最も攻撃的で、クールさもあり、純粋にかっこいい! そういう熱い楽曲になりました。今回TVアニメ『魔法科高校の優等生』のオープニングテーマということで、これまでもアニメタイアップは何度か制作させて頂いているんですけど、こういったバトルアニメのオープニングテーマは初めてなんです。ここでこれまでにない三パシを見せられるいい機会だと思っていますね。

――この曲はコンポーザーとしてじんさんを迎えてらっしゃいます。

はい、じんさんに最初お話ししたのが、これまでの三パシにはないようなクールでカッコ良くてスタイリッシュな曲にしたいっていう部分でした。

――前回は「ブルーポップ」っていうキャッチコピーがありましたけど、浮かんで弾けて消えるような刺激的だけど口当たりの良いボーカル感がみあさんの特徴だと思っています。その良さを活かしつつも今回アタック強めに歌っている印象を受けました。

歌唱に関しても難しい曲ではあるんですよ。でもサビ部分の流れるマグマみたいな熱さと、逆風の中を切り抜いていくような真っ直ぐな信念、そういう力強さをボーカルでも表現したいなっていう気持ちがあったので。自分のボーカルは抜けの良さとかが特徴だと思うんですけど。それだけでは通用しないというか、もっと芯の部分にある強さみたいなものが出てこないとサウンドに埋もれちゃうっていうのもあって。

――そうかもしれませんね。

いろんなものと闘いながらおこなったレコーディングでしたね、歌に関しては一番大変でした。

――単純に『魔法科高校』シリーズのタイアップというのは意外だったんです『魔法科高校』の世界観ってファンタジーバトルで、三パシの世界観は比較的現実的というか。でも実際聴いてみるとお互いちゃんと寄せてきていて。魔法科と三パシの接合点ってみあさんから見てどのへんだと思いますか?

私自身は『魔法科高校』シリーズは今回の『優等生』で初めて入っていったんです。その中でまず、なんで深雪はなんでお兄ちゃんである達也に対して特別な感情を抱いているんだろうっていうところが気になったんですよね。過去が描かれた原作を勉強していく中で、幼少期に離れて暮らしていたっていう時期があったり、その中で自分の命を助けてくれた恩人でもあるっていう特別な記憶が深雪の中ではあるのを知って。

――はいはい。

お兄さんと言えど、一人の特別な人間として普通の兄弟とは少し異なる感情があるっていう部分と、救ってもらったからこそ自分が支えたいっていう深雪の熱くて真っ直ぐな思いを受け取って。15歳の女の子らしい思いと、それを素直に伝えられないもどかしさとかも、深雪は抱えているんだと思ったんです。そこを発見した時に、これは絶対三月のパンタシアの曲になる!しかもこれまでにない新しい楽曲になれる!っていう手応えを感じましたね。

――確かに、『魔法科高校の劣等生』の主題歌だと印象は違ってきますよね。

そうですね、『優等生』だったからこそなんか生まれ得た楽曲だったのかなって思います。

――なんか三パシの新たな代表曲になりそうな気もします。

私もこの曲すごく気に入っていて。6月にメジャーデビュー5周年を迎えたんですけど、ここからまた新しくなっていく三月のパンタシアを見せたいって思っているタイミングでこの楽曲がリリースできるっていうのは、なんか一つのターニングポイント的に感じていますね。

――では、「夜光」のお話も。これはご自身が執筆された小説「さよならの空はあの青い花の輝きとよく似ていた」の主題歌になっています。

タイトル長いですよね(笑)。

――まずびっくりしたのは、作曲にストレイテナーのホリエアツシさんを持ってきたところですよね。

これまで小説を書いてくる中で、割と具体的にアーティストの名前や曲名だったり、映画のタイトルを意識して小説の中に書いているんです。理由として物語と読者の間の接点になりえるかなっていうのがあるんです。その中で去年J–WAVEのラジオ番組に小説を書き下ろしてラジオ番組内で朗読させてもらうっていう企画をやったんですけど。

――「ブルーポップは鳴りやまない」ですね。

そこで、主人公の女の子がストレイテナーの「REMINDER」を聴いて励まされるっていう描写があったんです。そのことに関して自分の公式ツイッターで呟いていたんですけど。それを見てくれた音楽プロデューサーの江口亮さんが「テナー好きなの?」って気にかけてくださって。江口さんが間に入ってくださって初めてご挨拶をさせていただく機会があったんです。

――それは凄い!

そこでなんか一緒に作ろうよってホリエさんが言ってくださって。ちょうど小説を8割ぐらい書き終えていたところだったんですけど、この小説自体高校生バンドっていうのが一つの大きなテーマにもなっているので。この高校生たちがやるバンドの曲を、ホリエさんに書いてもらったらめちゃくちゃかっこいいロックチューンになるんじゃないかと思って、私の方からその話をしたら「面白そうだね、やってみたい」って言ってくださって。

――なんかみあさんは人の縁に凄く恵まれている気がしますね。

うん、それはものすごく感じます。元々はどちらかというと閉じがちな性格だったんですけど、最近は自分が開けてきたっていうのはあるかもしれない。

――これ「夜光」っていうタイトルはみあさんとホリエさんどっち発信なんですか。

私です。歌詞は共作なんですけど、小説が元になっているって話をした時に「歌詞自分で書くでしょ」って言ってもらったんです。でも折角だし、ホリエさんの言葉選びも好きだし、「できれば共作でやってみたいです」って私から提案させていただいて。そこから小説をお渡しして、デモがすぐ来て。半分ぐらい歌詞が書いてあってもう半分私用に空白があって、っていう作り方でしたね。

――ブロック分けで歌詞共作なんですね。

具体的にいうと最初の歌い出しのブロックは私が書いて、そのあとのくだりはホリエさんが書いていて。割と交互みたいな。 

――最初、ブレスから入るところが凄く印象的でした。そういうライブ感はいままであまりなかったと思うんです。小説を読むとあのシーン、あのステージで歌われる曲だから、ブレスは必要だよな、って実感できて。

そうですね。私もここは絶対使ってくれよ!っていう気持ちでしたね(笑)。

――小説を読むと曲の情景が更に浮かぶというか。

アコギも実際にホリエさんに弾いてもらったんです。このアコギは小説の主人公がすごく大切に弾いているっていう描写があるんですけど、女の子が弾いているところが頭の中に浮かぶようなちょっと柔らかくて優しくて、でも力強さのあるっていう。なんか絶妙なタッチで弾いてくださって。楽曲制作は本当に楽しかったですね。

――ちょっと小説についてもお聞きしたいです。今回は長編を書店販売としてリリースするわけですが。

小説を出版したいっていうのと、長編を書いてみたいっていうのは夢だったんです。でもなかなか書けてはいなくて。でも去年コロナウィルスが蔓延する中で、うちで過ごす時間も増えて。そこで自分ができることってなんだろうって思った時に、私は物語が書けるって思ったんですよね。そこから三パシの活動と並行しながらちょっとずつ書いて、10ヶ月ぐらいかけて書き上げましたね。

――物語の作りというか、感情の流れがすごい綺麗な物語でした。劇中で「夜光」が歌われるということは、主人公の心音ちゃんとみあさんの精神的リンクはあるのか?とか考えてしまったり。

ああー! 私も読書する時にそうやって色々考察しながら読みますし、面白いですよね。

――物語を書いていてキャラクターたちとシンクロする部分ってあるんですか。自分の分身というか。

どうしても一番感情移入していくのは主人公にはなってきますね。今回音楽がテーマになっているので、自分自身が音楽始めたばっかりだった頃の上手くやれない部分だったり、失敗してきた恥ずかしい過去とか、初めて歌詞を書いた時の自分の内臓を見られているようなちょっとしたグロテスクさとか、私というものは主人公の中に投影されていると思います。

――なんか読んで、バンドに対する憧れみたいなものがあるのかなって思ったんです。

そうですね、なんか自分の中でバンドをテーマにしたものを書きたいっていうのがずっとあったんです。三月のパンタシアは音楽ユニットだけどメンバーは私一人だし、いろんな方とのやりとり、関わりはもちろんあるんですけど。

――そうですよね。

小説の中で弾き語りのところからセッションで曲ができていく部分とかあるんですが、そういう話をバンドやっている子から聞くとすごいかっこいいな、と思うし。私はそういう関係値を築いてきたことがないので。そういう憧れや興味というものを、知らない部分を書くことで知ってみたいっていうのはあると思いますね。

――そういう興味とか思いが曲とリンクしているっていうのは三パシの強味な気がしますね。

そうですね、確かに。

――物語を展開するのがマンガやアニメじゃなくて“小説”っていう、表現を文学的に落とし込んでいくのは、言葉にしづらいんですけど、凄く三月のパンタシア感があると思っていて。

今回最初に手にとってもらうのはきっと三月のパンタシアのリスナーだと思うんです。でも本屋でたまたま見つけて手に取ってくれた人が、「音楽もやっているんだ」って小説から音楽を聴いてもらって、そうやってまとめて一つの作品として楽しんでもらえるんじゃないかなって思っているんです。楽しみでもあり、緊張もしますけど(笑)。

――そして「パインドロップ」。これも小説と紐づいている楽曲ですが、すごくピアノがたっていて、ちょっとジャジーな雰囲気もある一曲です。これだけピアノを立てているのは、小説の主人公になっている唯ちゃんがキーボード担当だからなんでしょうか?

これも最初に小説があって、片思いの切なさを曲にしたいですっていうだけをお伝えして曲を作ってもらったんです。これだけピアノの旋律が際立っているのは小説を噛み砕いて書いてくれたんだと思っています。三月のパンタシアに「ピンクレモネード」って曲があるんですが。

――分島花音さんが作詞した楽曲ですね。

そうです。ああいう初恋の甘酸っぱさを感じさせる、爽やかで可愛いテイストの曲が来るって勝手に想像していたんですけど、それと真逆の激しさを旋律に乗せたデモになっていて。もらった時に「なるほど!片思いの切なさでも、内に秘めた激しさを切り取った曲にもできるのか!」って思って。いい意味で裏切られたというか、すごく新鮮な驚きがあって。でもそれがすごくいいんですよね。

――結構三曲とも新しい挑戦をしている感じがします。

最初にタイトル曲2曲が完成して、それだけでも十分強いシングルになるなって思ったんですけど、もう一曲これまでの三パシらしい、定番曲みたいなものも入れようって話していたんです。でも結局「パインドロップ」もまた新しい感じの曲として完成して。いろんな発見、新鮮さがあってすごい面白いですね。

――物語もみあさん自身が紡いでいるから、世界背景だったりキャラクターの事は誰よりもよくわかっている、だからどこか芯が通っていると言うか、それは強みですよね。

そうかもしれませんね。それは武器なのかも。

――単純にボーカリストとしての成長も感じました。“ボーカリスト”みあとして、自分で成長を感じたりする部分ってあったんでしょうか。

もともとテクニカルなことができるボーカルじゃないんですけど、曲のテイストによってこういう声で歌いたいって思いはもちろんあって。でも昔はイメージはあるけど実力的にできないとか……純粋な悔しさをもちながら、それでも今できる一番いい声で歌おうっていう中で戦ってきたんですけど。

――はい。

でも5年経って、そのコントロールや歌いわけが自分の中で少し構築できるようになったところはあるかもしれないです。昔はなんか出たとこ勝負みたいなところもあったけど、それを自分でうまく扱えるようになってきたかなっていうのはあるかもしれない。

――それと、三パシのコンセプトでもある“青春感”というものは追い続けて表現し続けているわけじゃないですか。小説も書くようになって、みあ的青春をアウトプットし続けていますが、枯渇しそうになったりはしませんか?

青春を描く中で、割と男女の情感……恋愛が多いんですけど、なんか自分の経験だけじゃ賄えないところも出てくるのはありますね。だからヒットしている映画や小説はチェックしますね。あとは人とたくさん会って、その人の人生をちょっと覗かしてもらったり。それがアイディアが生まれる瞬間というか。人とのやりとりの中でもらうものは大きいですね。

――僕らは生物学的に歳をとって死に向かっていくわけじゃないですか。だから体験としての青春ってどんどん遠くなっていくと思うんですけど、抗うわけでもなく、ちゃんとそこにいる感覚があるのは三パシの魅力だと思っていて。

ありがとうございます。でも私も17歳~18歳の子と話す機会も減ってくるんですよ。なので高校~大学生の時って、恋愛に対してどういうモチベーションを持っていたんだろう……とか、そういうのは人一倍気にしているかもしれないです。

――では最後に、記事を見てくれた方に何かメッセージをいただければ。

今回のシングル、3曲とも毛色の違う、でもどこかエモーショナルさを共有しているようなすごくかっこいいものになったと思っているので、是非聴いてもらいたいです。あと小説の中では18歳っていう、繊細な季節の中にいる少年少女の物語を書いています。その中で悩んだり葛藤したり、時には傷ついたりしながらも、自分の未来を自分自身で選択していくっていう……その決意と美しさを表現したので。そちらも是非楽曲と合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです!

インタビュー・文=加東岳史

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