「ジェットコースターは嫌い」道産子初の女性戦闘機パイロット の愛称は“五稜”
大人も子どもあこがれるのが戦闘機パイロット。
その中に、北海道出身で初めてとなる女性戦闘機パイロットがいました。
「こちらがF-15戦闘機です」
そう案内してくれたのは、千歳基地第2航空団の小林夏帆(こばやしかほ)さん28歳です。
全国で数人しかいない女性戦闘機パイロット。
北海道出身は初めてです。
小林さんは「私のタックネームは五稜。函館市出身なので五稜郭がなじみのある場所で、”五稜”を希望したら希望通り五稜になりました」と話します。
任務中は名前ではなく、愛称(タックネーム)で呼ばれるのが戦闘機パイロットです。
新人の小林さんは“五稜”に決まりました。
「最大マッハ2.5まで。千歳~東京間を約17分で行ける計算です」
全国で約200機配備されているのが、小林さんが操縦するF-15Jイーグルです。
中国・ロシア・北朝鮮…動きを注視しながら訓練
領空侵犯のおそれのある航空機が現れた場合、スクランブル発進し、航空機に接近して状況を確認し、退去の警告などを発します。
2024年度のスクランブルの回数は704回。
中国やロシアの軍用機、さらには北朝鮮のミサイル発射の動きを注視しつつ、日々訓練しています。
スクランブル発進では重力加速度(G)が最大9Gもかかると航空自衛隊第2航空団の奥村昌弘飛行群司令が説明してくれました。
「地上で生活しているのが1Gなのでその9倍かかる」
ジェットコースターは嫌いだけどF-15はこわくない
F-15のコックピット内の映像です。
非常に狭い空間ですが、視界は広いことがわかります。
マッハで飛行し、急旋回、急上昇など厳しいトレーニングをこなします。
最大9Gだと、50キロの人だと450キロの負荷が体にかかる計算です。
そんな戦闘機に乗る小林さんですが「実を言うと、ジェットコースターとか嫌いなんですけど、F15はあんまり怖くない」と話します。
航空自衛隊の女性たち
1957年、第2航空団は千歳基地で業務を開始しました。
F-15が配備されたのは1983年、改良を重ねながら今も千歳基地の主力戦闘機です。
航空自衛隊にはたくさんの女性隊員がいます。入隊したきっかけを聞いてみました。
小林さんは「私は千歳基地航空祭を見て、F15のフライトを見て。これに乗ろうと憧れて入りました」と話します。
北部航空施設隊の田中唯月さんは「公務員を目指していて、自衛官にお勧めされて」とのこと。
航空自衛隊といっても様々な職種があります。
特別航空輸送隊の古賀朱音さんは、熊本地震で被災したことがきっかけになったと話します。
「もともと地元の金融機関で働いていて、その時に地震にあって車中泊を1か月くらいしていた。その時全国から自衛隊の物資の支援を受けて。私も全国の人々のためになれる仕事ができたらというのがきっかけ」
そんな古賀さんは、要人を運ぶ政府専用機のロードマスターとして活躍しています。
「死ぬかもしれない」地獄の訓練
第2航空団の小林さんは「この前千歳川に入った訓練が一番きつかった。恐怖というよりは死ぬかもしれないと」と、地獄の訓練について教えてくれました。
毎年冬に行われる「水上保命訓練」。
40年以上行われていて、すべてのパイロットが参加します。
真冬に救命ボートで救助を待つという想定で、この日の気温は2度。
この訓練に小林さんは初めて参加します。
男性も女性も容赦なく冷たい水を浴びせられます。
航空自衛隊のOBたちが応援する中、ここで教官が指摘します。
小林さん、防水の頭巾をかぶるのを忘れていたのです。
ヘルメットはボートに入って来た水をかき出す道具となるため、代わりに頭巾をかぶる手順でした。
開始から20分で訓練は終了、小林さんの耳は真っ赤です。
航空自衛隊第2航空団の奥村昌弘飛行群司令は「今女性の操縦者がどんどん増えてきている。女性が入ることによって多様性が高まることを考えておりますので、組織の活性化につながってくれればいい」と話します。
小林さんは「生まれ育った故郷をあらためて空から見るとすごい美しくて。その美しい自然とそこにいる人たちを自分たちが守っていかなきゃいけないなと」志を話してくれました。
北海道出身で初の女性戦闘機パイロット。
最後に夢を聞きました。
「部隊で様々な経験を積んで、ブルーインパルスの一員となって皆さんに国民の皆さんに夢と希望を与えられるようなパイロットになりたい」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年9月3日)の情報に基づきます。