遊助 デビュー15周年記念全国ツアー、地元・神奈川公演“紅ライブ”レポート
遊助 15th Anniversary Tour 「あの・・つめこんだんですケド。」
2024.9.6 神奈川県民ホール
遊助が、ライブツアー『遊助 15th Anniversary Tour 「あの・・つめこんだんですケド。」』の神奈川公演を2024年9月6日(金)神奈川県民ホールにて開催した。
このツアーは、今年3月11日にデビュー15周年を迎えた遊助が、お祝いの意味を込めて「紅白」をテーマに、今までの楽曲を紅ライブ・白ライブの2つに詰め込んで披露するもので、公演ごとに内容が異なるのが見どころ。7月4日の千葉を皮切りに、千秋楽となる9月28日の仙台公演まで全10都市14公演が行われる。この日の神奈川公演は、「紅ライブ」を実施。会場には熱心なcrew(遊助ファンの呼称)が15周年のお祝いに“参船”すべく、開演前の早い時間から集結していた。
客席からの「かっとばせー! 遊助!」コールが会場中に広がる中で暗転すると、SEに続き4ビートのリズムが流れ幕が落されて、ステージ上段に遊助が登場。総立ちとなった客席に向かい、ハットをかぶったショーマンスタイルで歌い出した曲は「JACKPOT」。ラスベガスを思わせる派手な電飾が気分を盛り上げる。続いてイントロに手拍子が沸き起こると、「ルーレット」で階段を降りてメインステージへ。「横浜、いっちゃうよ!?」と煽ると、「キャー!」と悲鳴にも似た嬌声が上がった。2曲続いたカジノをモチーフにしたオープニングで、一気にエンターテイメントのムードを創り上げた。アコースティックギターのストロークから「砂時計」へ。力強い歌声を、客席へと手を振りながら届けていく。
映像に女性司会者に扮した遊助が現れると、「メドレーをお聴きください」とコーナー紹介。爽やかな白い衣装で再びステージ上段に登場した遊助は、「Baby Baby」で緩やかなグルーヴの中で歌い出す。3人のダンサーと共に踊りながらの「たんぽぽ」、crewが色とりどりのペンライトを振りながら“ラララ~”とコーラスした「ひと」、こみ上げるメロディが胸に迫る「ライオン」と、立て続けに歌い上げた。
「横浜、ただいま! 帰ってきました。みんなもおかえりなさい! 15周年紅白ライブ、紅ライブは今日も合わせてあと2回です。最後まで元気を送りますのでよろしくお願いします」とMCで伝える遊助。さらに「ライブ中に早着替えをしているときに、“今日はいつもよりさらにかっこいいですよ、遊助さん”って言われました」と明かすと大喝采。
サンプリングカバー曲「浪漫飛行~君と逢えたら~」をオートチューンがかかったボーカルで歌い上げると、デビュー曲「ひまわり」へ。遊助が客席にマイクを向けると、会場中が大合唱。crewそれぞれが持つひまわりが一面の花を咲かせる光景を見た遊助は、「みんなありがとう!」と笑顔を見せる。ライブ序盤、幸福感のあるハイライトとなった。
「遊ちゃん、たくさんのコラボをしてまいりました。フィーチャリングならぬ“遊turing”と言うのかしら。紅組ならではのメドレーをお聴きください」と、再び映像の女性司会者(遊助)が次のセクションを紹介。遊turing MaRuRi(まるりとりゅうが)として発表された「桜」を情感豊かに、leccaとのレゲエチューン「Never Ever」、大黒摩季とのアップテンポで激しい「トコナツ」と、女性シンガーとのコラボ曲を披露した。歌い終えた遊助は、「女性陣とのコラボ曲、キーが高い!」と叫んで笑わせたものの、その叫び声は見事なハイトーンだった。ディストーションサウンドに乗って「其の拳」が始まると、“Hey! Hey!”と拳を上げるcrewたち。遊助はダンサーと共に腕を振りながら熱く盛り上げる。対照的に優しいメロディが溶け込んでいく「彩道」、「愛して愛して」で、客席はしっとりとした空気に包まれた。
遊助がステージ袖に下がり、ダンサー、バンドのソロコーナーへ。DJ N.O.B.Bが「Yellow Bus」をプレイすると、オーディエンスは遊助の声に応えて“かかってこいや!!”とレスポンス。途中、ダンサーと合流した遊助が歌い出したのは、「チャンピオン」。グイグイ前に出るリズムが興奮を煽る。合いの手を入れ、ダンサーと振りを合わせ、タオルをグルグル回して会場中が一体に。さらに疾走するロックナンバー、「V」へ。ステージと客席を行き交うライティングの演出も白熱のステージを盛り上げる。「雄叫び」ではラテン調のサウンドに乗って多くの人が飛び跳ねながら歌い、会場が揺れる。夏にピッタリの曲「ミツバチ」で早口でリリックを重ねる遊助とcrewがひとつになった。終盤、《仲間はずっと宝だから》と歌う歌詞を《横浜は》と言い換えた粋なシーンでは歓声が沸き起こった。
自然発生した「かっとばせー! 遊助!」コールに応えて、アンコールへ。民族的な和装姿の遊助は、三味線を手にステージへ。バンドメンバーとのユーモアたっぷりのコントを交えて和ませつつも、見事に三味線を披露して拍手を集めると、バンドが加わり迫力の演奏を聴かせた。そのまま「一笑懸命」へ。原始的なリズムに煽られて、両手を天高く掲げて“ソイヤ! ソイヤ!”と応えるオーディエンスが熱い。続いて披露されたのは、デビュー15周年記念シングルでロバート・秋山竜次とのコラボ曲「十五夜」。ビジョンに月に扮した秋山が現れてセリフを語るシュールな雰囲気と、ダンサブルなサウンドが不思議にマッチしている。
「いろんな人たちがいろんな思いを持ちながら、今日まで頑張って、一生懸命お金を貯めてチケットを買って来てくれていると思います。こんな俺に会いに来てくれて、本当にありがとうございます」
そんな謙虚な感謝のMCから、ケツメイシのサンプリングカバー「夏の思い出~海岸物語~」を爽やかに歌い上げ、「洗濯物みたいに新しい気持ちで、汚れても色がついてもみんなのカラーで一日一日を過ごしましょう。最高の一日になりますように」と、「洗濯者」へ。大きな身振り手振りで、2階席から目の前のお客さんまで、メッセージを届けた。
「みんながこうして頼ってくれて、楽しみたいって足を運んでくれて、なんか俺がスーパースターみたいになっちゃってるけど、(ステージ上の)この光がみんなに行ったら、みんながスーパースターだから。たくさんの笑顔や拍手をもらったなってことを忘れずに、俺からもいっぱいのありがとうと、みんな幸せを持ってるよっていうことを言い続けるので、お互い励まし合って、これからも俺のスーパースターでいてください。いつも助けてくれてありがとう、俺に生きる意味をくれてありがとうっていう気持ちを込めて歌います」
と熱いMCから歌ったのは、「ヒーローのマント」。会場中がひと際眩しく照らされ、ビジョンには様々なライブ会場での人々の姿が映し出された。ラストは、優しく包み込むように歌う「サヨナラマタナ」。後半、スポットライトを浴びてアカペラで歌い《君の元へ 届け》とロングトーンで聴かせて締めくくった。エンディングでは、バンドメンバー、ダンサーと手を繋ぎ会場の左右から正面へと一礼すると、スタッフへの拍手を求める遊助。周囲への感謝の思いを感じさせる一幕だった。
「本当にみんなありがとうございました! また俺も会いに来るので、みんなも会いに来てください」と呼び掛けて、「行ってきます!」「行ってらっしゃい!」、「行ってらっしゃい!」「行ってきます!」とcrewと掛け合うと、「愛してるよー!」と大きな声で伝えてステージを降りた。誰もいないステージ上のビジョンには、「一生よろしく あんがと 遊助」と、最後の最後までcrewへのメッセージが映し出されていた。
取材・文:岡本貴之 撮影=Yuto Fukada