体の不調を引き起こす「ゾンビ腸」につながる“3つのNG習慣”
みなさんは“ゾンビ腸”という言葉を耳にしたことはありますか? カラダのさまざまなところに現れる不調は、もしかするとゾンビ腸が原因の可能性かもしれません。そこで今回は、『腸から生まれ変わるカラダ』の著者である小林弘幸先生に詳しく教えていただきます。
教えてくれたのは……小林 弘幸先生
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上の指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『整える習慣』(日経BP日本経済新聞出版本部)、『捨てる勇気100』(宝島社)など、著書・監修書多数。
心身に不調をもたらすリスクをもつ「ゾンビ腸」
「肌荒れがひどい」「冷えやむくみが気になる」「便秘がち」「太りやすい」「疲れがとれにくい」「体臭が気になる」「憂うつな気分になりやすい」といった、さまざまな心身の不調。
じつは、このような全身のトラブルの原因は「“ゾンビ腸”が原因になっている可能性が高い」のだと、小林先生は指摘しています。“ゾンビ”と聞くと、インパクト大ですよね。
ゾンビ腸とは、一体どのような状態なのでしょうか?
「ゾンビ腸」とは
大腸の機能が弱まると内部に老廃物がたまりやすくなり、やがて毒素を発生させます。これらの毒素は腸管壁から染み出して血管の中に入り込み、全身を巡ってカラダのあちこちでトラブルを引き起こし、さまざまな症状が現れるのだそう。
小林先生は、このような状態に陥った腸を“ゾンビ腸”と命名したそうです。
ゾンビ腸になる原因
小林先生によると、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れて腸内フローラが乱れ、悪玉菌が増えると腸内環境が悪化します。また腸内の有害な菌や物質が体内に吸収されるのを防ぐ腸の“バリア機能”が衰えると、腸内に溜まった毒素や病原菌が全身を巡りさまざまなトラブルを引き起こします。これがゾンビ腸の原因になるとのこと。
食生活の乱れや人間関係のストレス、運動不足や睡眠リズムの乱れなど、腸内環境に与える要素は多岐にわたり、日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。そのため、誰もがゾンビ腸になるリスクを抱えているのだそうですよ。
ゾンビ腸になる「3つのNG習慣」
腸で吸収された栄養素や水分は血液となって全身を循環するため、「大腸の健康はカラダ全体の健康」をあらわすのだと、小林先生は言います。
しかし、最近では腸のトラブルが増加傾向にあり、その理由として3つのNG習慣を挙げられています。現代によく見られる“食生活”がポイントになるようですよ!
NG1.過度な糖質制限ダイエット
ダイエットの中でも人気の「糖質制限ダイエット」。食事で得られるエネルギー量を自然消費するより少なくすることで痩せようとする考え方自体は間違いではないものの、必要以上に炭水化物を減らしてしまうことは問題なのだそうです。
過剰な炭水化物の制限により、腸内細菌にとって欠かせない食物繊維が不足しがちに。その結果、善玉菌が減少し、腸内細菌のバランスが崩れて腸がゾンビ化する可能性が高まることに。
また、生活のために必須のエネルギー源となる糖質を制限しすぎることで基礎代謝が落ち、さらに痩せにくくなってしまうリスクもあるのです。
NG2.プロテインの過剰な摂取
その反対に、摂取のしすぎで問題を引き起こす代表的なものが「プロテイン(たんぱく質)」。たんぱく質はカラダをつくり、エネルギーにもなる重要な栄養素です。アスリートなど運動量が多い人たちはプロテインによる効率的な栄養補給が必要不可欠ではあるものの、たんぱく質を摂取すればするだけ新陳代謝が良くなるというわけではないようです。
一定量以上は、たんぱく質を摂ってもカラダづくりには期待できないため、過剰摂取されたプロテインはエネルギーとしてカラダに蓄えられ、やがて脂肪となることに……。さらに、腸内環境を悪化させる悪玉菌の増加にもつながるそうですよ。
NG3.食事内容の変化
加速する食の欧米化による食事内容の変化も、腸のトラブルの一因になるとのこと。肉やラードなどに含まれる動物性脂肪は消化に負担がかかり、食べ物が腸に長くとどまるため、ゾンビ腸の原因となるのだそうです。
「食習慣や食に関するトレンドは、腸のトラブルにつながりやすい」のだと、小林先生。ゾンビ腸化が進んでしまわないように、食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
次回の記事では「ゾンビ腸の悪化が引き起こすトラブル」について、具体的な症状をご紹介します。
shukana/webライター