孫のウソにおばあちゃんが本気で悔しがる! 3世代でハマった「人狼ゲーム」で家族の会話が復活
家族の会話が生まれる人狼ゲームの魅力。3世代で楽しめる心理戦の醍醐味をライターの実体験を交えてお届けします。紙とペンで自作できるカードの作り方も伝授。子どもの創造力や論理的思考力を育む秘訣も紹介。
【▶画像】保護者が安心して子どもに薦められる「サバイバル」「デスゲーム」の小説3選小学生きょうだいを育てているエニママライターの松永祐子です。
親戚同士で集まったときに子どもたちの提案ではじまった「人狼ゲーム」がおもしろいんです。親子3世代でハマったこのゲームの醍醐味と遊び方をご紹介します。
家族や友だちが集まる機会に「もっと一緒に盛り上がれる時間が過ごせたら……」と感じたことはありませんか。スマートフォンやゲームに夢中になりがちな現代で、世代をこえて楽しめる方法があるといいですよね。この記事では、大人と子どもの年齢差があっても一緒に遊べる心理バトル「人狼ゲーム」の魅力をご紹介します。
我が家では、小学生から70代の祖父母まで一緒に盛り上がっています。紙とペンだけで遊べて、家族同士のコミュニケーションが広がるきっかけになりますよ。
人狼ゲームってどんなゲーム?
「人狼ゲーム」は有名なゲームなので、遊んだことがある方も多いかもしれません。知らないという方のために、簡単にこのゲームのルールと遊び方を解説します。すでにご存知の方は読み飛ばしてOKですよ。
人狼ゲームは、プレーヤーが円になって座り、隠れている裏切り者(人狼)を見つけ出すゲームです。プレーヤーにはランダムに役割(市民、占い師、騎士、人狼など)が与えられます。人狼は昼間は人狼だとバレないようにふるまいながら、夜になると市民を1人、襲います。
人狼以外は仲間(市民)ですが、特別な役割を持った人が存在します。例えば、占い師は夜、プレーヤーを1人指名し人狼かどうかを知ることができ、騎士は夜、1人のプレーヤーを人狼の攻撃から守ることができます。
ゲームマスターの進行で、人狼が市民を襲う【夜のターン】と、誰が人狼なのかを話し合う【昼のターン】が繰り返されます。昼のターンの最後に、人狼だと思う人への投票で最も票が集まった人は、ゲームから退場となります。
人狼を見抜き、退場させられたら市民チームの勝ち、人狼が退場せずに市民と同数まで残れば人狼チームの勝ちとなりますが、人狼が市民を装ったり、ニセ占い師が現れたりと、一筋縄ではいかないところが人狼ゲームの面白さです。
ゲームに必要なものは、この2種類です。
・ゲームの進行を記した紙(ゲームマスター用)
・役職の書かれた紙(プレーヤー用・人数分準備)
司会進行を担う【ゲームマスター】が1人、【プレーヤー】が5人以上いればゲームは成り立ちますが、人数が多いほうがより複雑でおもしろくなります。わが家では次男が小学2年生のときから遊んでおり、ルールが理解できれば低年齢からでも楽しめます。
3世代で人狼ゲームをしてみてわかったこと
人狼ゲームをはじめたきっかけ
はじめて人狼ゲームをしたのは、近くに住む私の両親の家に中学生の姪が数日間、遊びに来ているときでした。70代の祖父母と10代の孫の共同生活が気になり様子を見にいったところ、予想どおりそれぞれの部屋で家事をしたりスマートフォンを触ったりして過ごしているようでした。
そんな折に、私たち親子の来訪で人数が増えたことが嬉しかったようで、姪とわが家の長男から「人狼ゲームをやってみたい!」と提案がありました。ふたりはインターネットで調べながら、ゲームに必要なカードなどを作成し、ゲームの進め方についてみんなに説明してくれました。
人狼ゲーム開始! それぞれの反応は…?
姪を司会進行役(ゲームマスター)にしてゲームがはじまりました。夜のターンを終え、議論をする朝の時間を迎えます。「自分は占い師で○○が怪しい」とよくしゃべる長男、黙って議論を見ている次男、「私は市民」と主張する祖母、素知らぬ顔で無言を貫く祖父、そしてみんなの表情を観察する私……。人によって議論に参加する姿勢はさまざまです。
議論が終盤にさしかかり、黙っていた次男が「夜、人狼が呼ばれたとき、ぼくの右側で誰かが動いた」と一言。すると、その場の空気はガラッと変わります。それぞれの主張に矛盾があるなかで、誰が正しいことを言い、誰がウソをついているのか……わかるようでわからないのが、このゲームのおもしろさです。
え……私、疑われてる!?
実際の人狼は……なんと、おばあちゃんでした!
人狼ゲームは必ずしも大人が勝つわけではありません。積極的な子どもからの質問や怪しい言動への指摘に、大人が追いつめられることもあります。結局、人狼が見つけられずに市民が追放されるたびに祖父母まで「だまされたー!」と本気で悔しがり、気がつけば年齢など関係なく楽しむことができました。
やっていて気づいた子どもに人気の役割
子どもたちを観察していて気づいたのが、みんな「ゲームマスター」をやりたがるということです。人狼の正体を唯一はじめから知ることができ、プレーヤー全員に指示を出しながらゲームを進行していくゲームマスターは、まるで物語の案内人のようです。ふだんは体験できない「大人」や「先生」のような役割を疑似体験して楽しんでいるのかもしれません。
例えば、参加者が6人であれば1ゲーム15分ほどで終わるため、子どもたちが順番にゲームマスターを経験することもできます。プレーヤーから注目される中で、ゲームをスムーズに進行できれば「説明力」や「場をコントロールする力」が培われ、自己効力感も上がるのではないでしょうか。
子どもでも作れる自作カードのすすめ
人狼ゲームのカードは市販のものもありますが、家にあるものを使って簡単に作ることができます。作るときのポイントは、書いた字が裏移りしないよう厚紙を使うことと、「役職」がカードの色や形でバレないように、同じ見た目のカードを作成することです。
厚紙を使い、定規で長さを測ることで、裏移りせず同じ大きさのカードを作ることができます。
裏向きにして置かれたときに、パッと見てどれがどの役割のカードか判別できないことが大切です。
また、年齢によっては「人狼」「騎士」などが読めない可能性があるため、ひらがなで書いたり、一目でわかる「オオカミ」や「剣」の絵を書いておき、事前に絵と役職の意味がつながるよう伝えておくのがオススメです。
ふりがなや絵を入れることで、漢字が読めない学年の子どもでも役割を理解することができます。
自分たちでカードを作るには、ゲームのルールを深く理解し、それをどのようにわかりやすい説明文にするか、カードに落とし込むかを考える必要があります。どの役職がいると盛り上がるか、全体のバランスを調整して選ぶことにもなり、創造性や論理的思考力など総合的な学びの機会にもなると感じています。
人狼ゲームで、家族の「会話」を取り戻そう
人狼ゲームをきっかけに、祖父母の家でご飯を食べた後は、子どもたちが率先して食器の片づけをし、みんなで机を囲むことが当たり前になりました。ゲーム用のカードの材料を長男と一緒に準備し、手作りする姿に感心しきりの祖母。そして次男のゲームの振り返り解説に「なるほど!」と唸る祖父。人狼ゲームは、まさに世代を超えたコミュニケーションツールだと実感しています。
今回は、紙とペンさえあれば作れて、大人も子どもも一緒に楽しめる人狼ゲームをご紹介しました。わが家では、実家に3世代が集まったときの世代差を埋めるきっかけや友だち親子と一緒に楽しめるゲームとして重宝しています。
人狼という心理戦ゲームを通して、身近な人のこれまで見えなかった新たな一面を知るチャンスになるかもしれません。ついついスマートフォンで退屈しのぎをしてしまう時間を使って、家族や友人との団らんや交流の時間を増やしてみてはいかがでしょうか。
※記事内写真はすべて撮影:松永祐子