Yahoo! JAPAN

「この役に自分の顔は必要ない」山田孝之が役者魂を見せつける!ディズニープラス『七夕の国』スタッフ&キャストが明かす最重要人物〈丸神頼之〉誕生秘話

映画評論・情報サイト BANGER!!!

「この役に自分の顔は必要ない」山田孝之が役者魂を見せつける!ディズニープラス『七夕の国』スタッフ&キャストが明かす最重要人物〈丸神頼之〉誕生秘話

ディズニープラスの「スター」にて、スター オリジナルシリーズ『七夕の国』が独占配信中。「寄生獣」や「ヒストリエ」などで人気を博す岩明均によるSF漫画の実写ドラマ化作品だ。

このたび、本作に“ほぼ顔出しなし”で出演している山田孝之の圧倒的な存在感、その説得力をスタッフ&キャストが明かすコメントが到着した。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

「寄生獣」岩明均による“怪作”がついにドラマ化!

岩明の作品の中でもカルト的人気を誇り、その壮大なスケールと刺激的な表現から「映像化困難」と言われ続けていた“怪作”が、『ガンニバル』などの話題作を手掛けるディズニープラス「スター」にてドラマシリーズ化された。

平凡な生活を送る大学生の主人公ナン丸は、「ビルや人が、謎の“球体”にまるくエグられる」という、衝撃的な怪奇事件に相対することとなる。自身も“手を触れずに物に小さな穴をあける”という、一見何の役にも立たない超能力を持つナン丸は、次第にその能力が、事件を引き起こしている力と大きな関わりのあるものだということを知る。そして、物語が進むにつれその背後には、球体の力で日本中を恐怖に陥れる丸神頼之という男の顔が浮かび上がってくるのだった――。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

何の役にも立たない超能力を持つ平凡な大学生、南丸洋二:通称ナン丸を、「ドラゴン桜」「どうする家康」など話題作への出演で躍進を続ける若手俳優・細田佳央太が演じ、監督は「大豆田とわ子と三人の元夫」や『クレイジークルーズ』でメガホンを取った瀧悠輔が務める。

ナン丸と次第に心を通わせていく女性・東丸幸子役に藤野涼子、幸子が恐れる兄・東丸高志役に上杉柊平、共に球体の謎を追う大学のゼミの助教授・江見早百合役に木竜麻生、事件直前に姿を忽然と消してしまうナン丸が通う大学の教授・丸神正美役に三上博史、そして多くの謎を持ち、目深に帽子を被る長髪の男・丸神頼之役を山田孝之が怪演する。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

物語の「最重要人物」を託された山田孝之

本作の最重要人物とも言える丸神頼之を演じる山田孝之。頼之は初登場時、目深にかぶった帽子と顔のほとんどを覆うマスクという風姿で表情が全く見えないものの、その淡々とした口調には鋭い迫力を感じさせ、すでに“ただ者ではない”雰囲気をありありと漂わせた。さらに、7月11日(木)に配信開始となった第4話でついに明かしたその素顔は、誰もが知る名優・山田孝之のそれではなく、登場人物たちが思わず「宇宙人」と形容してしまうような、もはやヒトとは呼べないものであった。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

学生時代に原作「七夕の国」の連載を読み、その魅力に虜になったという監督の瀧悠輔が「主人公のナン丸と 同じくらい重要なキャラクター」と位置づけて描いた頼之は、圧倒的な力を持ち、全編を通して謎に包まれた超常ミステリーである本作を象徴するような存在。

そんな、作品の軸ともなるキャラクターを託されたのが、日本を代表すると言っても過言ではない名優にして、ジャンルや役柄にかかわらず、作品によってその雰囲気をガラリと変えるカメレオン俳優としても名高い山田孝之だったのだ。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

「丸神頼之(謎に包まれた男)」への強い思いれと圧倒的こだわり

瀧監督はキャスティングの段階では、山田がこの役を受けてくれるのか正直なところ不安だったと明かす。

なにしろ顔がまったく映らない役ですから、“俳優業的にそれでもやってくれるだろうか?”と。それに顔が見えないのだから、演じる役者さんは“表情”の演技を捨てないといけない。

演じる役者に求めるものが必然的に大きくなるキャラクターだけに、特殊メイクとCG技術を駆使して印象的な見た目を作り上げることに。夏の暑さや呼吸のしづらさ、食事の不便さ……。それらを考慮して、当初は“半分は頼之で半分は山田孝之”というビジュアルも考えたというが、一方で、原作に対して中途半端なことはできない、頼之のビジュアルだからこそ生まれる説得力があると、悩みの上に熟考を重ねたという。

しかし、苦慮のまま迎えた初顔合わせでの、「劇中で自分の顔が見えないことは、まったく問題ではない」という山田の言葉に、瀧監督は思わず机の下で小さくガッツポーズを握ったと明かす。キャラクターにかける強い思いを感じたという山田の言葉を振り返るプロデューサーの山本晃久も、「“余計なものは増やさない方がいい。この役に自分の顔はいっさい必要ないと思います”と言ってくださって、本当にありがたかった」と語っており、共に岩明均の原作へ強い思い入れを持つ監督、プロデューサー両名にとっても、“丸神頼之”という本作の大きな指針のひとつが確かに立ち上がった瞬間だったに違いない。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

「もっと山田孝之ということが分からないくらい」日本屈指の実力派が見せた役者魂

そうして迎えた撮影現場で山田は、瀧監督や制作陣が提案した特殊メイク案に対して「もっと山田孝之ということが分からないくらい、やれるところまでやった方が良いのでは?」と提案を投げかけたという。それにより、とことんこだわって作られた頼之のビジュアルをまとうこととなるのだが、自身の顔がまったく映し出されることなく、その佇まいと声の演技だけで存在感を放つ山田に対し、「声だけで頼之というキャラクターが出る。あれには現場に居合わせた全ての人が驚いていました。ちゃんと感情が伝わってくる。役者魂を持った、稀有な俳優さんです」と山本。その場の誰もが唸る演技の妙に、絶賛の言葉を送る。

山田演じる頼之の“すごみ”を現場で感じたのは、主人公ナン丸役の細田も同じだ。第3話で巨大な球体を繰って人をエグり殺害する残忍な一面が描かれた一方、第4話では、ナン丸も心を開く東丸幸子と穏やかに会話を交わす一幕も描かれた頼之。物語においてナン丸が対峙していく大きな存在であり、いわば対局のキャラクターとして描かれるが、そんな頼之という人物を形作っていく場面を間近で目にした細田は、「すごく不気味な存在なのに、キャラクターの優しさを感じさせるところが凄いと思いました。特殊メイクで表情が全くわからないのに、僕だけではなく、周りにいたすべての人がそれを感じていたんです。それは強烈に印象に残っています」と、人をも殺める残忍な一面の裏側に秘めた頼之のキャラクター性を見事に滲ませる、そんな山田の表現力に度肝を抜かれたことを明かした。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

連載時より、約四半世紀の時を経て実写映像化された『七夕の国』。その独創的な世界観から映像化困難とも言われた原作は、確かな映像技術と、それを可能にした制作陣の情熱、各キャラクターを立体的にするキャスト陣の愛情によって、この夏、大きな注目を集めるドラマシリーズとして遂に映像化に成功した。

『七夕の国』©2024 岩明均/小学館/東映

瀧監督が「誰よりも心理を語っている」と評する丸神頼之というキャラクターは、山田孝之という一人の“稀有な俳優”の肉体とその説得力を借りて、謎が深まるこの先の物語でどんな魅力を見せてくれるのか――? クランクアップの際、プロデューサーの山本へ「頼之を演じられて本当によかった」と伝えたという山田。名優渾身の丸神頼之が、観る者の心を深くエグる。

『七夕の国』はディズニープラス「スター」で独占配信中

©2024 岩明均/小学館/東映
岩明均「七夕の国」(小学館刊)

【関連記事】

おすすめの記事