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【ロケ密着②】映画『ゴールデンカムイ』ロケ現場で「アシㇼパ役・山田杏奈さんのセリフって…」アイヌ語・文化監修者の感想は

Sitakke

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明治末期の北海道を舞台に、一癖も二癖もある魅力的なキャラクター達が、莫大なアイヌの埋蔵金を巡り、繰り広げる壮大なストーリー。北海道出身の漫画家・野田サトル先生による大人気コミックを原作にした、実写映画『ゴールデンカムイ』が全国で大ヒット公開中です!

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

作品のメイン舞台が”北海道”ということで、地元の放送局である、私たち HBCも制作に協力!
HBCが運営する「Sitakke」では、これまでも作品の魅力を『ゴールデンカムイ沼』特集でお伝えしてきましたが、なんと今回、映画『ゴールデンカムイ』のロケ現場で独自インタビューを実施ッ!

映画『ゴールデンカムイ』はこうして作られた。3人の男たちの“本気”。

(左)美術担当の磯見俊裕さん (中央) 久保茂昭監督 (右)アイヌ語・文化監修の中川裕さん

2023年2月に行われた映画撮影の現場で、美術担当の磯見俊裕さん、アイヌ語・文化監修の中川裕さん、そして監督の久保茂昭さんにお話を聞きました。

Part1の記事⇒【ロケ密着①】北海道・二風谷で行われた杉元・アシㇼパの「コタン」シーン、美術スタッフが込めた想い

Part2となる今回は、アイヌ語・文化監修の中川裕さんへのインタビューをお届けします。

北海道・平取町「二風谷」で本作撮影用に再現された「コタン(アイヌの集落)」

2月某日、北海道・平取町「二風谷」。体の芯から凍てつくような冬の日でした。早朝、まだ日が昇りきる前から始まったのは、主人公・杉元佐一を連れて、アイヌの少女・アシㇼパが「コタン(アイヌの集落)」を訪れるシーンの撮影です。

「“アイヌ語の正しい発音”を徹底した」アイヌ語・文化監修 中川裕さんの想い

映画撮影中の合間、取材に答えてくれた中川裕さん

この日の撮影は、アシㇼパをはじめ、コタンで暮らすアイヌの人々が、アイヌ語を話すシーンが多く登場します。

原作・TVアニメシリーズに引き続き、今作でもアイヌ語の監修を担当したのは、千葉大学名誉教授の中川裕さん。アイヌ語・文化監修という立場からみた、本作への想いについてお話を聞きました。

聞き手を務めたのは、HBCのアナウンサー・金城 茉里奈アナ。
実は、金城アナ、この日行われたコタンの撮影に、「アイヌの村人役」として参加しています。
中川さん監修のもと、アイヌ語でのセリフもありました。

アイヌの村人役を演じる金城アナ

(金城アナの出演シーンの撮影を終えて…)

金城アナ:中川さん、アイヌ語のご指導ありがとうございました!

中川さん:金城さん、良かったよ。

金城アナ:本当ですか?

中川さん:アナウンサーなだけあって、メリハリがあって、とても聞きやすい。ちょっと他の人と違う感じになってはいるけれど(笑)

金城アナ:えっ!それはいい意味ですか?

中川さん:いい意味です(笑)

和やかな雰囲気の中、取材がスタートしました。

「相当な努力をしている」映画『ゴールデンカムイ』製作の現場

取材にこたえてくれている中川裕さん

『ゴールデンカムイ』の原作、TVアニメシリーズ…と続いて、実写が決定したときには、「やっと来たか!」という感じでスタートしました。いつかはきっと実写化されるだろうと期待していたので。

実写映画の製作に関わる中で、印象的だったのは、映画スタッフさんたちが相当勉強しているということ。今まで、二次元の絵として描かれていたものを、三次元として、立体的な世界を描くとなると、とても大変なことだと思います。

撮影中の一コマ(©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会)

「セット」ひとつを例にしてもそうです。『ゴールデンカムイ』の舞台である明治時代の様子は、資料としては残ってはいますが、どんなものがどんなふうに置かれていたか…それを実際に目で見て知っている人は、この世にもうほとんどいないじゃないですか。そこで、スタッフさんたちが、自分たちでしっかり下調べをして、違和感のないように作っていって…。とにかく、映画に関わる皆さんそれぞれが、とても努力しているというのをすごく感じました。

スタッフ全員に「アイヌ語の正しい発音」を

映画撮影中の中川裕さんと、久保茂昭監督

この映画を観に来て、初めてアイヌ語を耳にする人も多いと思うんです。
だからそういう意味では正しい発音に気を付けて、いろいろとうるさく指導していますよ(笑)

たとえば、「カムイ」という言葉のアクセント。みんな最初の「カ」のところを高く発音しがちなんだけど、アイヌ語だと「ム」を高く発音するべきなんだよね。「コタン」とかもそう。大体みんな間違って覚えちゃっているんですよ。

だから、(映画製作をスタートしたときに)最初にみんなにお願いしたのは、出演者だけじゃなくて、監督を含め、スタッフのひとたちみんなに「アイヌ語の正しい発音」をしてほしいということ。だって、間違えた発音をスタッフが使ってしまうと、出演者にもついつい移ってしまいますからね。みんな普段から、ちゃんと発音しなきゃダメよ、っていうお願いを最初にしました。

出演者たちの「アイヌ語」について

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

杉元役の山﨑賢人さんは、アイヌ語を話すシーンがないので、私が絡む場面はあまりなかったんです。
アシㇼパ役の山田杏奈さんは、やっぱり俳優さんなだけあって、勘がいい。

あらかじめ私の方で録音したアイヌ語のセリフの音源を、山田さんに渡してあって、それを聞いて覚えてもらっているんです。山田さんは、最初からとてもうまく、きれいに発音をしてくれています。特に直すところもありませんでしたね。

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

ただ、今日の撮影もそうですが、映画の進行上、突然、(台本になかった)新しいセリフを入れるってこともあるので。いきなり言われて、覚えないといけないから、きっと大変だったと思いますよ。でもそこもやっぱり、役者さんなだけあって、きれいに発音してくれていました。

なかなかできないことですよ。アイヌ語に馴染みのなかった人が、音を聞いて、すぐ真似してできるかというとね、難しいと思う。


本作に期待すること「アイヌという存在が広く浸透していってほしい」

中川裕さんからアイヌ語指導を受ける金城アナ

原作の漫画の存在が、アイヌ文化やアイヌ民族についての知識がなかった人たちが、アイヌに関心を持つ大きなきっかけになりましたよね。そして、アニメ化されたことで、漫画を読んでいなかった人たちにも、さらに広まりました。

今回実写化されることによって、山﨑賢人さんが主役をやることによって、今まで関心のなかった人の関心がさらに(アイヌに)向けられていくだろうと思います。それによって、アイヌという存在が、この日本にあって、生活をしているんだという認識が、広く浸透していくことが望ましいし、きっとそうなっていくんではないかなと思いますね。そんな期待を持っています。

映画 『ゴールデンカムイ』 概要

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

映画『ゴールデンカムイ』は、全国東宝系にて大ヒット公開中です。

■原作: 野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
■監督: 久保茂昭
■脚本: 黒岩勉
■音楽: やまだ豊
■主題歌: ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
■アイヌ語・文化監修: 中川裕 秋辺デボ
■製作幹事: WOWOW・集英社
■制作プロダクション: CREDEUS
***

■次の記事⇒【ロケ密着③】映画『ゴールデンカムイ』ロケ現場で「ちょっと涙出てきちゃった…」 久保監督の涙のワケは

取材:HBCスタッフ
文:Sitakke編集部 ナベ子

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