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半導体メーカー誘致で九州経済が好景気 いま必要なのは「エネルギー基本計画」の見直し

文化放送

3月5日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、九州で盛り上がる半導体バブルについて意見を交わした。

不況を前提にした「エネルギー基本計画」の抜本的な改定が最優先!

経団連と九州経済連合会は福岡市で懇談会を開き、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の進出で沸く地域経済の振興策を協議した。半導体産業の集積が進む九州は有事になれば日本企業の生命線を握る重要拠点。

熊本県に台湾の半導体大手TSMCが進出し、地元は半導体バブルといわれる好景気に沸いている。

原発再稼働で安価な電力が確保できることも企業を引き付ける。日経平均株価が同日終値で4万円を超えたのは海外マネーの日本再評価の証で、九州はその象徴的な役割を担う。

「この状況、田中さんはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)

「政府の積極的な誘致政策・補助金政策が効いているというのが国内外の評価だと思います」(田中氏)

政府は半導体の安定供給に向け台湾のTSMCを誘致して、先月熊本県で開所した第一工場と年内に建設を始める第二工場におよそ1兆2000億円を助成する。

一方、こうした企業の進出を後押しするのが“安い電気料金”である。

「原発再稼働で安価な電力を確保できることも企業を引き付けているようですが、このあたりは田中さんどうでしょう?」(寺島アナ)

「九州・熊本を中心に半導体の流通網を作ったり関連企業を誘致していますね。今までは中国や台湾が担っていたものを国際的に分散して、サプライチェーンを経済安全保障上、地政学的リスクに備えて日本国内にもそういった拠点をいくつか作っていく。それで日経平均株価でも半導体メーカーの株価がけん引していることに表れているんじゃないですか? つまり実体経済と合った形で日経平均株価も動いていると思われたほうが良いと思います」(田中氏)

安価な電気料金に関して、九州電力の「玄海原発三号機・四号機」「川内原発一号機・二号機」の合計四機が稼働して、販売電力の4割弱を賄える。

九州電力の電気料金は他の原発再稼働が始まらない電力会社に比べて抑えられて、TSMCをはじめ大量の電力を消費する半導体産業の投資判断に追い風になった。

「ただ、このままいくと西日本も電気が足りなくなり、新規の原発あるいは化石燃料を効率的に使う火力発電を新規増設しなきゃだめだと思うんですよ。そのために日本の“エネルギー基本計画”を変えなきゃいけないんです。今のエネルギー基本計画のベースになっているのはコロナ禍前なんです。今は景気が盛り上がっていて電気をいっぱい使うのに、それに対応できてないのが今のエネルギー基本計画なんです。つまり不況を前提にして省エネをやる発想を前提にエネルギー基本計画を立てていますから、半導体メーカーを国内誘致するときはがらりとエネルギー基本計画自体を変えなきゃいけないんです。そのうえで新設の原発であるとか化石燃料を効率的に利用できる火力発電所の増設も視野に入れなきゃいけないわけです。そういったエネルギー基本計画の抜本的な改定、それが最優先ですよ。岸田さんもっと意欲的にやらなきゃだめだと思いますよ?」(田中氏)

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