MyGO!!!!!は音楽を通して、誰のこともひとりにしない――青木陽菜さん×林鼓子さんが迷いながら歩んできた“跡”の証。3rd Album『致並跡』ロングインタビュー
MyGO!!!!!の3rd Album『致並跡』(読み:ちへいせん)がリリースされる。1st Album『迷跡波』、2nd Album『跡暖空』に続き、タイトルに“跡”の字を冠した本作には、これまでの歩みを感じさせる楽曲から、「羅永線」、「素寄曲」、「騒混出」といった新たな表情を見せる新曲までがパッケージされている。
今回は、要楽奈役の青木陽菜さんと椎名立希役の林鼓子さんにインタビュー。BanG Dream! 10th Anniversary LIVE「In the name of BanG Dream!」や、MyGO!!!!!×Ave Mujica ツーマンライブ「“moment / memory”」をはじめとした2026年上半期を振り返りながら、『致並跡』で感じたMyGO!!!!!の変化、新曲の演奏やコーラス、ライブ中に見えるメンバーの姿について語ってもらった。
さらに、9th LIVE「つなぎ目の向こうに」へ向けた思いと、ふたりが大切にする“MyGO!!!!!らしさ”にも迫る。
【写真】MyGO!!!!! 青木陽菜×林鼓子、音楽で誰もひとりにしない3rd Album『致並跡』【インタビュー】
音楽で真正面からぶつかり合ったAve Mujicaとのツーマン
── まずは、上半期が一区切りつくタイミングということで、これまでを振り返るところから始められればと思います。MyGO!!!!!×Ave Mujica ツーマンライブ「“moment / memory”」やBanG Dream! 10th Anniversary LIVE「In the name of BanG Dream!」など、さまざまな出来事がありましたが、振り返ってみていかがですか?
青木陽菜さん(以下、青木):なんだかすごく昔のことのように感じますね(笑)。Ave Mujicaとのツーマンライブについては、いつか一緒にライブをしたいと思っていたんです。その願いが最初に叶ったのが、2025年のMyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」でした。
今回は「“moment / memory”」という形で、お互いの音楽を真正面からぶつけ合うライブができました。私自身、ずっと望んでいたことでしたし、Ave Mujicaも容赦なく音楽をぶつけてきてくれたことが嬉しかったです。我々も、MyGO!!!!!らしい音楽を奏でられたのではないかなと思います。
林鼓子さん(以下、林):「わかれ道の、その先へ」は“合同ライブ”という名前でしたが、今回は“ツーマンライブ”と銘打たれていて、どうなるんだろう?と。「いよいよ本当のツーマンになるんだな」と思いました。前回はアニメの内容を背負ったライブだったこともあり、アニメーションの再現が多く、物語の集大成としての意味合いが強い公演でした。
一方で今回は、音楽そのものをぶつけ合うライブだったと思います。Ave Mujicaが先に演奏して、そのあとに私たちが演奏したのですが、メンバーのみんながステージからはけてきたときには、もう完全に燃え尽きていたんです。倒れ込むように舞台袖に戻ってきたので、「うわ、私たちはこのあとに演奏するんだ……!」と(笑)。
それくらい、お互いがすべてを懸けて臨んでいたライブだったと思います。Ave Mujicaの姿を見て、こちらも影響を受けましたし、「私たちももっとやり切らなきゃ」という気持ちになりました。
すごくいいライブだったのではないかなと思います。台北公演もありましたが、こちらも日本での公演とはまた違った姿を見せられたと思います。野外ならではの、フェスのような雰囲気もあって、すごく素敵でした。
── Ave Mujicaのみなさんは、ステージを終えて倒れ込むようにはけてきたとのことでしたが、MyGO!!!!!のみなさんはどうでしたか?
林:大量に汗をかいて、爽やかに帰ってきました(笑)。やっぱり私たちは私たちらしいというか。MyGO!!!!!としては、ライブバンドであり続けたいので、爽やかでMyGO!!!!!らしい青春を感じるライブになったと思います。Ave Mujicaが会場をものすごく温めてくれていたので、その熱を受け取ってステージに立つことができました。
青木:お客さんも、この日をずっと楽しみにしてくださっていたんだと思います。Ave Mujicaのライブで、その期待が一気に爆発したような感覚がありました。お客さんの熱量も含めて、すごく大きなエネルギーを感じるライブでしたね。
── 「BanG Dream! 10th Anniversary LIVE」は、振り返ってみていかがですか?
青木:『バンドリ!』が10周年を迎え、記念すべきバンドリ!の日に、私たちMyGO!!!!!、Ave Mujica、夢限大みゅーたいぷも一緒になって、同じ『バンドリ!』ファミリーとして10周年をお祝いできたことが、すごくうれしかったです。
ありがたいことに、MyGO!!!!!はPoppin'Partyさんの前に出演させていただきました。舞台袖などですれ違うときに、「頑張ってね」と声を掛けてくださったことも、本当に心が温かくなりました。
林:『バンドリ!』の全バンドが一堂に会する機会は、まずないことなので。10バンド各5名ずつなので、キャストが50人もいるんですよね。もう壮観というか、奇跡というか、圧慢で、いち『バンドリ!』ファンとしても、純粋にすごく楽しいライブでした。
裏側でも、みなさんにご挨拶させていただくなかで、『バンドリ!』ファミリーの温かさをすごく感じました。そして、私たちももうバンドの登場順としては、一番新しい立場ではないんですよね。
── そうですよね。そこも、どのように感じられているのか聞きたいなと思っていました。
林:「こうやって歴史がつながっていくんだな」と感じましたし、自分たちもその歴史の一部になれていることが、すごくうれしかったです。
少しツーマンライブの話に戻りますが、オープニングアクトとして出演していたmillsageと一家Dumb Rock!も、私たちにとっては初めて後輩の初ライブを見届けるような感覚がありました。
夢限大みゅーたいぷやAve Mujicaも、私たちより後に登場したバンドではありますが、彼女たちは、まさに初めてのライブでしたから。「あ、頑張れ……!」という、ちょっとキュンとするような気持ちになりました(笑)。
青木:すごく緊張していましたよね。
── 初ライブがKアリーナ横浜ですからね。
青木:ものすごく緊張すると思いますし、新バンドという期待が高まる中でのプレッシャーも大きかったと思います。低も、今度は私たちが声を掛ける立場になったことが、なんか感慨深いなって。「自分たちも成長したんだな」と思いましたね。
林:もちろんフレッシュではあるんですけど、もうすでに完成されている感じがあるというか。ライブも本当に素晴らしかったです。今後、『BanG Dream! Our Notes』で、どんなキャラクターたちなのかが分かっていくことも楽しみですね。
あの時点では、メンバーについてほとんど公開されていなかったので、これから物語の中でどう関わっていくのかも、すごく楽しみになりました。それぞれのバンドのカラーも、まったく違いますよね。一家Dumb Rock!のふたりは、そもそもどんな関係なんだろうとか。
── 気になりますよね。
林:millsageも、「曲、むずっ!」と思いました(笑)。これからが楽しみですね。
── MyGO!!!!!にも後輩ができて。おふたりは、現在のMyGO!!!!!の立ち位置について考えることはありますか?
青木&林:あんまり……?(笑)
林:MyGO!!!!!はいつまで経っても、ある意味では未完成なバンドなので、あまり先輩らしくもないんですよね。
青木:各々のキャラクターの性格的にも、完璧な先輩というポジションではない気がします。
林:そうなんです。難しいよね。私たち自身も、ずっと探りながら進んでいるバンドですから。
青木:寄り添うことはできるけどね。ただ、できる限り応援したいですね。
林:中の人としては、もう本当に「みんな頑張れ!」「一緒に頑張ろう!」という気持ちです(笑)。MyGO!!!!!の立ち位置としては、これからも変わらないのではないかなと思います。
“跡”は、歩んできた証。3作目で見せる、大人っぽくて新しいMyGO!!!!!
── では3rd Album『致並跡』についてお伺いできればと思います。『致並跡』には、これまでと同じく“跡”という字が入っています。改めて、この3枚のアルバムに続いている“跡”という言葉を、おふたりはどのように受け止めていますか?
青木:“跡”という字は、すごく愛おしいなと思っています。何かをしたからこそ、跡が残るじゃないですか。それこそ涙の跡だったり、頑張ったことで傷ができて、その傷跡が残ったり。何かをして、歩んできたからこそ、“跡”が生まれるのだと思います。
その“跡”という字が、引き続き3rd Albumにも使われていることから、迷いながらではありますが、着実に歩んできたのだと感じられて、すごくうれしくなりました。
林:3枚目のアルバムが出ること自体も早く感じますし、MyGO!!!!!として活動していると、本当にあっという間なんです。だって、もうすぐ9th LIVEですよ。「ワンマンライブを9回もやっているの?」という感覚で。
── そう考えると、本当にすごいですよね。
林:そうなんです。ツアーなどを除いたうえでの「9th LIVE」ですからね。そう考えると、あまりにもあっという間で、自分が自分に置いていかれるような感覚になることもあります。「もう1年が終わったんですけど……?」みたいな(笑)。
だからこそ、振り返ったとき、そこにきちんと道があって、「私たちはちゃんと積み上げてきたものがあるんだな」と感じられる。そういう意味でも、“跡”という字が使われているのはすごくうれしいですね。私たちが歩んできた証しのように思います。目まぐるしい日々ではあるけれど、「ちゃんとやってきたんだな」と感じられます。
それと、3枚のアルバムで“跡”の位置が変わっているんですよね。(1枚目の)『迷跡波』では真ん中にあって、2枚目の『跡暖空』は最初にあり、そして『致並跡』では最後に来ている。
青木:確かに……!
── 本当だ、迷いながらも進んでる! そこにすぐ気づいたのもさすがですね。
林:まあまあ(笑)。これは絶対に意図があるぞって思いました。気が早いですけど、4枚目はどうなるんだろう?と気になっています。
── 今回の3rd Album『致並跡』は、前2作と比べて、どのような位置にあるアルバムだと感じていますか?
林:今回は、本当にいろいろな楽曲が入っていますよね。比較的しっとりした曲も多いですし、もちろんMyGO!!!!!らしさもあります。2nd Albumは、かなり勢いのある、ロック色の強い楽曲が多かったと思うんです。
その流れで、今回は端的に言うと、MyGO!!!!!の少し大人っぽい一面が表れている気がします。また新しい魅力というか、「MyGO!!!!!には、こんな曲もあるんだ」と思えるような曲が集まっている印象です。
── 林さんが、特にその変化を感じた楽曲はありますか?
林:私は「静降想」がこのアルバムに入ることに、すごく意味があると思っています。アルバムの中で、いいスパイスになっていますよね。楽曲の持つオーラも含めて。
あとは新曲の「羅永線」です。めちゃくちゃ爽やかで、MyGO!!!!!としては珍しいタイプの曲ですが、ある意味ではMyGO!!!!!らしさが強く表れているんですよね。
一方で、「静降想」をはじめ、今回のアルバムは、本当に大人っぽくて、おしゃれなんです。さらに「騒混出」もめちゃくちゃおしゃれなので、「なんかシャレてるな?」と(笑)。
── 本当におしゃれですよね。青木さんはいかがですか?
青木:1st Albumのときは、1枚目ということもあって、「MyGO!!!!!の名刺のようなアルバム」と、いろいろな場所でお話ししていました。2nd Albumの頃にはZEPP TOURなども始まり、ライブで映える楽曲や、ライブバンドとして戦っていけるような楽曲が増えていったと思います。
そこからアニメなど、さまざまな物語を経て、今回は新たなMyGO!!!!!の一面が表れたアルバムになりました。もちろん、これまでのMyGO!!!!!らしさがある楽曲も収録されていますが、「騒混出」や「静降想」などは、今のMyGO!!!!!だからこそ歌える曲だと思います。
歌詞もそうですよね。燈も、“今の燈だからこそ歌える言葉”が、すごく増えてきました。歌える歌詞や、表現できる曲調の幅も広がってきた。今のMyGO!!!!!らしさが、強く表れたアルバムだと思います。
「羅永線」でつながる“僕ら”
── 改めて新曲についても伺えればと思います。「羅永線」は爽やかなパンクナンバーですよね。青木さんは、最初に聴いたとき、どのような印象を持ちましたか?
青木:MyGO!!!!!らしさの中にも、明るさがある曲だと思いました。それに、タイトルが「羅永線」ですよね。今回のアルバムタイトル『致並跡』は“地平線”と読むので、地平線も“線”として見えるものです。
「羅永線」がアルバムの1曲目に置かれていることにも、すごく意味があると感じました。アルバムの中で、軸になるような大切な楽曲なのではないかなと思います。
── ちなみに毎回、MyGO!!!!!の楽曲タイトルは難読ですが、今回の新曲も初見では読めませんでした……。
青木:無理もないと思います(笑)。
林:当てたいですよね(笑)。読み方を当てられたときの気持ちよさがありますから。
青木:SNSを見ていると、当てている方がいましたよね。
林:結構「素寄曲」は当てられている方を見たんですよ。でもやっぱり、「騒混出」は難しかったと思います。考察されている方の中に「のいず」と書かれている人がいて、「ああ、確かに!」と思っていました。
── 「羅永線」は爽やかな楽曲というお話がありましたが、コーラスもすごくかわいらしいですよね。
林:かわいいですよね。普段、立希は低いパートを担当することが多いのですが、「羅永線」では少し高めのパートも歌っています。もちろん低いパートも歌っていますが、細かく振り分けられていて、高いパートのメンバーだけで歌う箇所もあったんですよ。そこも「一緒に歌いましょう」と変更になったパートがあったりして。
曲の始まりから、すごくいいんですよ。もう、本当に青春という感じで。「羅永線」というタイトルもいいですよね。“永遠に続く線”のようでもありますし……なんていうんだろう……人と人がつながっていくことも感じさせる。MyGO!!!!!らしさはありながらも、一歩成長したMyGO!!!!!を感じる曲だと思います。
MyGO!!!!!も、「僕は僕だから、この僕を分かってほしい」というメッセージ性から始まったバンドでもあると思うので。でも今は、音を交わすなかで人とつながっていく。その変化も感じます。
青木:今回は〈僕ら〉だしね。
── 主語が“僕ら”になっているのが良いですよね。
林:そうなんです。それと、ドラムのパターンもたくさん出てきて……この曲、演奏者としてはかなり大変です(笑)。ただ、すごくいい曲なんですけどね。〈青と青を 縫い合わせて〉という歌詞も、本当に夏を感じます。夏だ! 夏が始まる! MyGO!!!!!と言えば、やっぱり青ですしね。それに加えて、〈知りようない わからなさを 生きていくだけだよ〉という歌詞も好きです。
青木:うんうん。MyGO!!!!!でしか歌えない言葉だよね。
林:どうしても私たちは、答えを出そうとしてしまうじゃないですか。
青木:分かろうとしちゃうけど、本当のところは本人にしか分からない。
林:そう! 分からないことすら分からないというか。それがすごくMyGO!!!!!らしいと思いますし、「分からないままでもいいんだよね」「そういうことの繰り返しだよね」と言ってくれているような気がします。すごく刺さる歌詞です。
── 青木さんは、ギタリストとして最初にこの曲を聴いたとき、どのように感じましたか?
青木:ギターが担うメインのメロディーが、すごくまっすぐなんです。大きな青空の下で聴いたら気持ちいいだろうなと思うような、素直で伸びやかなメロディーラインが素敵だと感じました。演奏するときも、のびのびと弾きたいなと思っています。
コーラスもいいですよね。最後に、みんなで同じメロディーを歌うところが特に好きです。MyGO!!!!!には“La la la”と歌うコーラスの曲も多いですが、この曲もライブを重ねて成長していくにつれて、お客さんが一緒に歌ってくれるようになるのかな、一緒にペンライトを振ってくれたりするのかな、とか。そんなライブの景色が広がっていくようなコーラスだと感じました。
── ライブでの光景が思い浮かびますよね。〈青と青を縫い合わせて〉という歌詞のように、ステージとフロアもつないでくれる曲なのかなと思いました。
林:早くライブでやりたいです! 感動したい(笑)。この曲は、ライブで演奏したら絶対に感動すると思います。
── 林さんはドラムの位置から、メンバー全員の姿が見える立場じゃないですか。
林:そうなんですよね。ステージ上でメンバーとの距離が少し遠く感じるときもありますが、ライブの最後の曲などで、みんなの姿を見ながら演奏していると、すごく気持ちいいんです。やっぱりメンバーの姿が見えるというのは良いなって。
── 林さんから見て、ライブ中の青木さんはどのように映っていますか?
林:楽しそうです。本当に、すごく楽しそう(笑)。見ていて「おお、良いね良いね!」っていうか。ギターソロのとき、ドラムは特別なフィルを入れているところでなければ、周りを見る余裕もあるので「良いじゃん!」って(笑)。
リハーサルで少し苦戦していた箇所を、本番でうまく弾いているのを見ると、「めちゃくちゃ良いじゃん!」と思いますね。
青木:そこも見守ってくれていたんだ!(笑)
林:たまに私のところまでお散歩しに来てくれるんです。「こんにちは」という感じで(笑)。立希だったら、「まずはちゃんと弾いて!」と思いそうですけど、私は「来たな」と思いながら見ています。目が合う瞬間もあるんですけど、一般通過猫みたいな感じです(笑)。
青木:気まぐれな猫ですから。
── 青木さんから見て、林さんはライブ中、どのように映っていますか?
青木:バンドのバランサーだと思います。私はリズム隊ではないので、演奏が走ってしまうこともあるんです。そういうとき、リハーサル後に「今日は少し走りがちかもしれない」とみんなに伝えて、「じゃあ、少し落ち着いて演奏しよう」と冷静に判断してくれます。周りの状況をよく見てくれているので、すごく助かっています。
林:ありがとうございます(笑)。
── いい意味で、全体を俯瞰して見ているんですね。
青木:本当に冷静なので、助かっています。私は緊張しやすく、心配性なところもあるのですが、鼓子ちゃんはステージ経験も多いので、「大丈夫、大丈夫」と声を掛けてくれるんです。何が起きても動じず、受け止めてくれます。
── 林さんから見た、ほかのメンバーの印象も気になります。
林:青木はさっきの通り、とにかく楽しそうです。本当にずっと楽しそう(笑)。「楽しいよね、楽しいね。よしよし」って感じ。
青木:(笑)
林:羊宮(妃那)ちゃんは……彼女の雰囲気によって、その日のMyGO!!!!!が決まるような感覚があります。やっぱり彼女がバンドの真ん中にいるんだな、と。その日の羊宮ちゃんの表現によって、同じ曲でもまた違って聴こえるという印象があります。
(立石)凛ちゃんは、意外と冷静なタイプです。リズム感もすごくいいので、演奏面でも頼りにしています。ただ、たまに目が合うと、お互いにニヤニヤしてしまうんですよ(笑)。でも私は立希という立場なので、ライブ中の振る舞いがすごく難しくて。
立希としては、愛音のことを意図的にあまり見ないようにしています。たとえば少しミスをしたときに気にするなど、細かいお芝居を入れることはあるのですが、とはいえ、凛ちゃんはミスらないので、基本的にはあまり目を合わせないんです(笑)。野良猫(青木)の場合は、「大丈夫かな」「また何かやっているぞ」といった反応ができますけど(笑)。
みかんちゃん(小日向美香)は、本当に練習熱心です。練習の鬼のような子で、少し心配性なところもありますが、ステージ上で化ける瞬間があるんですよ。基本的には、練習してきたことをきちんと届けようとするタイプですが、スイッチが入った瞬間に、「今までと何かが違う」「今、グルーヴに入ったな」と分かるので。
ずっと一緒にリズム隊として演奏しているからこそ分かるのかもしれませんが、そういう瞬間を見るのがすごく面白いですね。
── 林さんからは、そのように見えているんですね。
林:みんな、ライブになると興奮しがちなんです(笑)。だから、たまに「こっちも見てね」と思いながら演奏しています。
新曲で広がる表現の幅
── 今回の3rd Albumでは、羊宮さんの歌声も改めてすごいと感じました。「素寄曲」も、これまでとはまた違った歌声ですよね。新曲は3曲とも、まったく雰囲気が異なるように思います。
青木:「素寄曲」の声は優しいですよね。
林:この曲は、踏切のそばの階段に猫がいるのがいいですよね。そこもMyGO!!!!!らしいですし、これもまた青春を感じる曲だと思います。
── しみじみ良い曲ですよね。コーラスにも、すごく厚みがあって。
林:今回は、しっかりとしたコーラス、ハモりになっていますよね。最近のMyGO!!!!!の曲は、追いかけるように歌うコーラスや、ガヤっぽい表現が多い時期もあったので、こういうしっかりとハーモニーな感じというのは、アルバムの中でいいスパイスになっていると思います。
── 青木さんは、ギターの面ではどのように感じましたか?
青木:すごく歌に寄り添うギターだと思いました。既存曲でいうと、「歩拾道」に近い部分があるのかなと思います。「壱雫空」のようにアップテンポで駆け抜けていく曲ではなく、歌詞を一つひとつ大切にしながら、歌にギターが寄り添っていくような曲だと感じました。
── ドラムはいかがですか?
林:この曲は、派手なことをするタイプの楽曲ではないんです。だからこそ、もし演奏するなら、曲に寄り添いながら、ダイナミクスをきちんと意識できれば、より世界観を作れると思います。そこが難しいところでもありますね。
普通に演奏すると、のっぺりしてしまいそうで。こういう“いい曲”を、きちんと聴かせられる演奏をしなければいけないと思っています。
── ライブでどのように育っていくのかも楽しみです。続いて、「騒混出」についても伺えればと思うのですが、技巧的な楽曲と言いますか……。
林:そうなんです! ギターもかなり難しそう。
青木:だいぶ難しい。またMyGO!!!!!にはなかった感じの曲ですね。日曜日のサンデーなんだ、と。歌もコーラスも難しかったです。燈と同じメロディーをなぞっているのですが、しっかりと重ねて歌わなければいけなくて。テンポも速いですし、リズムも細かいんです。アンサンブルも難しそうですよね。演奏するときはきちんと練習しないと。
── 丁寧で、聴いていてすごく気持ちのいい曲ですよね。
青木:この曲をきっかけに、新しくMyGO!!!!!を好きになってくださる方もいそうだなと思いました。
林:確かに。ライブでもかなり盛り上がりそうですよね。
── 林さんも、コーラスは難しかったですか?
林:難しかったです。なんか「ここに音が飛ぶんだ」と驚くところがありましたし、リズムも難しくて。「この言葉を、このリズムにはめるのか」と感じる箇所が結構ありました。
〈慌てふためきながら〉という言葉のはめ方なども難しくて、「おお……」となりながら歌いました(笑)。確かレコーディングでは青木が私の前だったので、彼女のコーラスを聴きながら、「なるほど、こういうことか」と確認して録りました。
青木:そうそう、私が1人目で。
── トップバッターは緊張しませんか?
青木:1人目でなければ、先に録った方のニュアンスを聴いて、「このように合わせてください」と言っていただけるんです。低も、今回は私がトップバッターだったので、良くも悪くも基準を作らなければいけなくて。プロデューサーからディレクションをいただきながら歌いました。
林:この曲は、日曜日に聴いてほしいですね。そして月曜日を頑張ってほしい(笑)。
── 本当にそうですね。
林:でも、分かるんですよ。日曜日に何もせず、ベッドの上にいたまま一日が終わってしまうことって、たまにあるじゃないですか。そんな休日でも、「それでいいのかも」と思わせてくれる曲な気がします。
青木:日曜日そのものを切り取って曲にするのが、すごいですよね。
林:歌詞を読むと、「分かる、分かる」となります。
── 〈らったった らったった〉という響きは、とりわけかわいらしいと感じました。
林:かわいいですよね!
青木:うんうん。
引き算を覚えた立希、楽奈らしさが浮かぶ「往欄印」
── 改めてアルバム全体を聴いたとき、立希として「この曲には成長を感じる」と思った楽曲はありますか?
林:何曲かありますね。まず、「騒混出」は、新しいことに挑戦している曲だと感じます。リズムもそうですし、さきほど話題に挙がった〈らったった らったった〉という言葉についても、燈が先に歌詞を書いていたのか、それとも立希が曲を作ったあとに、燈が「ここに〈らったった らったった〉という言葉が合うかもしれない」と考えたのか。どちらなんだろう、と想像しました。
あとは、立希の視点で言うと、「エガクミライ」や「静降想」です。立希が作る曲というと、ツービートだったり、激しく押していくロックだったり、音数の多いイメージが強いと思うんです。
その2曲は、そこから少し引き算をしたような曲ですよね。ドラムの音数がすごく少ないんです。私は音数の多い演奏に慣れちゃってるから、手も足も細かく動かすことが多いので、逆に音数が減ると、ものすごく難しくなるんですよ。
── 音を鳴らさないことが難しい、と。
林:そうなんです。しっかり止まらなければいけないので。そう考えると、「引き算を覚えた立希」という感じがします。
── 楽奈は言葉数が多いキャラクターではない分、楽曲やステージ上でさまざまな表情を見せていく存在でもあると思います。今回のアルバムの中で、特に楽奈らしさが表れていると感じる曲はありますか?
青木:やっぱり「往欄印」かなと思います。「往欄印」はギターが、MyGO!!!!!で1、2を争うくらい難しい曲だと思います。サビの後半に、音が一気に駆け上がっていくようなフレーズが入っているのですが、「焚音打」という楽曲にも、サビの前に同じように駆け上がるギターのフレーズがあるんです。そのフレーズにインスパイアされたところもあると、プロデューサーがおっしゃっていました。
「焚音打」のスピリットを受け継いだ先に「往欄印」があるので。アルバム収録曲の中では、「往欄印」はライブで披露している回数も多い曲ですが、演奏している楽奈の姿がすごく頭に浮かぶんです。アニメなどの絵はないんですけど、ギターソロで少し歯を見せながら、汗をかきつつも楽しそうに、ニコニコしながら弾き切っている。そういう楽奈らしさが出る曲だと思うので、「往欄印」かなと思います。
── 「往欄印」は、今回のアルバムでも最後に収録されていて。まるで一つのライブのセットリストのような曲順だと感じました。
林:本当にいいセットリストだと思いました。この曲順のままライブをしても、すごくよさそうですよね。私は「掌心正銘」から「証命讃歌」、そして「エガクミライ」へと続いていく流れが、かなり好きです。
「エガクミライ」から「静降想」という流れは想像しやすいですし、もちろんすごくいいのですが、あらためてこの曲順で「証命讃歌」を聴くと、「やっぱりいい曲だな」と思いました。
── 「掌心正銘」から「証命讃歌」へ続く流れもいいですよね。聴いていると、泣きそうになります。
林:分かります。「証命讃歌」は、今の自分を肯定してくれる曲だと思うんです。いろいろな思いを抱えていても、それでいいし、大人になり切れなくてもいいし。我慢したり、耐えたりすることを覚えるのが大人になることなら、別に大人にならなくてもいいじゃん、と言ってくれているような気がして。すごく刺さるんですよね。
そのあとに「エガクミライ」が来て、「君は大丈夫だよ」と言ってもらえる。この歌詞の流れが良すぎるなって。
青木:曲同士のつながりが気持ちいい順番だなという印象があります。いろいろな色を持った、本当に素敵な楽曲が集まっていますし、最後が「往欄印」って良いですね。
『致並跡』の先へ。MyGO!!!!!の夏が始まる!
── 今回のジャケットのイラストも素敵です。最初にご覧になったときは、どのように感じましたか?
青木:燈が体育座りでうずくまっているのがいいですよね。センターに立つ人が、あんなふうにうずくまっているバンドは、MyGO!!!!!くらいじゃないかなと思います(笑)。
林:本当にそう。
青木:みんなの座り方にも、それぞれの特徴が表れていますよね。愛音ちゃんは愛音ちゃんらしいですし、そよさんも憂いげがあって。
林:立希も、何かをしている途中のような座り方で、かわいいですよね。
青木:MyGO!!!!!のキービジュアルではよくあることですが、みんなが正面を向いていないんです。今回の『致並跡』でも、みんながそれぞれ違うところを向いていますよね。
林:絶対に同じ方向を向かないんですよ(笑)。
青木:衣装はそろっているけれど、全員の視線や向きは少しバラバラ。でも、まとまっていないわけではない。その感じがMyGO!!!!!らしいと思います。
林:私はまず、オタク心としては、「この花は何だろう?」と気になりました(笑)。
青木:きっと、みなさんも調べていますよね。
── すでに分かっている方も多そうですね。
林:このアルストロメリアには、「未来への憧れ」という素敵な花言葉があるそうです。他にも“持続”という意味があると知って、「続いていくことが、地平線という言葉につながるんだ」と気づしました。そこは、私にとっても新しい発見でしたね。
── 今回のBlu-rayには、MyGO!!!!! 8th LIVE「想いのかたちが積もるとき」の映像も収録されます。当時のライブを振り返ってみて、いかがですか?
青木:新曲をたくさん披露したライブでしたよね。「エガクミライ」と「静降想」、それから「明弦音」。「明弦音」は2nd Albumに収録されていた曲でしたが、お客さんが「いつライブで聴けるんだろう」と、ずっと期待してくださっていた曲だったと思います。実際に披露したときは、お客さんの笑顔が如実に見えました。
あと愛音ちゃんのコーラスが分かりやすく目立つ曲でもあるので、愛音ちゃんの明るさと、お客さんの笑顔がすごく結びついているように感じたんです。「ライブで聴きたい」と待ってくださっていた方が、本当にたくさんいたのだと、あらためて実感できたライブでした。
── 演奏中も、お客さんの表情はよく見えますか?
青木:見えます。私は演奏しながら、お客さんの顔をよく見ているんです。「明弦音」をしっかり聴き込んでくださっているんだろうなと分かる方もいて。「コーラスを入れるポイントもばっちりじゃない、あなた!」って。そういう方が見えると、すごくうれしくなります。
── 林さんはいかがでしょう?
林:MyGO!!!!!が冬にナンバリングライブを開催するのは、8th LIVEの1年前、7th LIVE「こたえなんてなくても」以来でした。7th LIVEでは、5人揃って演奏することが叶わなかったんですよね。だから、8th LIVEで再び5人揃ってのナンバリングライブができたことが、何より嬉しかったです。
それと、新曲も多かったので、とにかく練習が大変だった記憶があります(笑)。5人揃って行うフルサイズのワンマンライブ、それもツアーではない単独公演は久しぶりだったので、すごく気合が入っていたんです。セットリストも、かなりギリギリまで悩んでいて、新曲をどこに置くのかもそうですし、曲同士のつながりにもこだわりました。
「碧天伴走」から「明弦音」へ続く流れも、すごくよかったですよね。あの流れはとても素敵でしたし、ラストの「静降想」も好きです!
── 今日だけでも、林さんの「静降想」への愛がかなり伝わってきます(笑)。
林:「静降想」は本当にいい曲ですから(笑)。ただ、あの日の演奏を終えたあと、メンバーの間では「もっと深められたよね」という話になったんです。もちろん、練習してきたものは出せたと思いますし、あの日の「静降想」もすごく素敵だったと思います。でも、もっと先へ行きたい、もっと深めたいと感じました。
── まだ伸びしろがあるということでもありますよね。
林:そうですね。「想いのかたちが積もるとき」というライブタイトルにもあるように、ライブを重ねるごとに、楽曲にもさらに深いよさが出てくるのだと思います。
── それは、「騒混出」などの新曲にも言えそうですね。そして、次のナンバリングライブは、2026年7月18日(土)と19日(日)に横浜のぴあアリーナMMで開催される9th LIVE「つなぎ目の向こうに」です。現時点でお話しできる範囲で、どのようなライブになりそうですか?
林:いつも最初に、プロデューサーさんからライブのテーマを教えていただき、それをもとにセットリストを組んでいくのですが……今回は時期的に、夏! 夏じゃないですか(笑)。今回、本当に「体力を全部使い果たすのでは?」と思うくらいの内容になっています(笑)。2年連続のツアーなど、いろいろな経験を乗り越えてきた今のMyGO!!!!!だからこそできるライブだと思うんです。
みなさんには、「MyGO!!!!!の夏とはどういうものなのか」を、考えてもらえたら……と思っています。とにかく熱い! 本当に、ものすごく熱いライブになると思います。今まで以上に。
端的に「MyGO!!!!!の成長した姿を見せたい」と綺麗にまとめることはできますが、とにかく今言えるのは、「MyGO!!!!!の夏が始まっちゃうぞ!」ということだけ(笑)。
「ヤバ!」「大丈夫これ!?」と思うくらいすごいライブになりそうで。観ているみなさんも、暑すぎて吹き飛んでしまうか心配になるくらいなので、そこは楽しみにしていてほしいです。
青木:そのイメージは、みんなの共通認識としてありましたね。キービジュアルのとおり、夏らしく、爽やかで楽しいセットリストにできたらと思い、今回はそういった楽曲の流れを意識しています。「つなぎ目の向こうに」というタイトルにもつながりますが、我々MyGO!!!!!は、音楽やバンドがあったからこそ、こうしてつながることができました。
我々がライブをして、その向こう側にお客さんがいる。我々とお客さんも、音楽があるからこそつながることができます。共通する音楽があるから心を通わせられる、つながっていられる。そうした一体感や、つながりを感じられるライブになると思います。
── セットリストは、メンバーのみなさんでかなり話し合って決めているのでしょうか?
林:MyGO!!!!!はそういうやり方でやっています。まずプロデューサーからテーマやキーになる曲を聞いた後、私たちが「この曲をやりたい」と意見を出して、それをもとにある程度組んでいただきます。
そこから、「この曲とこの曲は絶対につなげたい」と意見を出したり、実際に一度演奏してみて、「やっぱり違う」となったり。ギリギリまで変えることもありますね。
── すごくバンドらしい決め方ですね。今回の3rd Albumからも、MyGO!!!!!がものすごいスピードで進化していることを感じました。そのスピード感の中で、おふたりが見失わないようにしているMyGO!!!!!らしさについて、最後に伺えたらと思っています。
青木:1st Albumの頃から、ずっとMyGO!!!!!と一緒に歩んできてくださった方もいると思います。一方で、フェスなどをきっかけに、最近MyGO!!!!!を知ってくださった方も、絶対にいると思うんです。
次の9th LIVEが、初めてのMyGO!!!!!のライブだという方もいると思うからこそ、いつでもMyGO!!!!!らしいライブをしていきたいと思っています。「この曲でMyGO!!!!!を知った」「この曲をライブで聴きたい」という思いは、一人ひとりに必ずあると思うので、そうした方々の気持ちも忘れずにライブをしていきたいです。
林:MyGO!!!!!というバンドとして大切にしたいことと、演者として大切にしたいことは、少し違うかもしれません。
MyGO!!!!!としては、音楽を通して、誰のこともひとりにしないことだと思っています。それは、誰かに無理についてきてもらったり、強く手を引っ張ったりすることではなくて、音楽そのものが寄り添ってくれるということ。音楽が居場所になる。それはMyGO!!!!!のメンバーにとってもそうですし、聴いてくださる方にも、それぞれ自分に寄り添ってくれるMyGO!!!!!の曲があると思うんです。
「僕にとってはこの曲が寄り添ってくれる」「私はこの曲が好き」と、それぞれに感じてもらえる。そこは、これからも失わずにいたいですね。どれだけ会場が大きくなっても、どのような方が聴いてくださるようになっても、音楽を通して寄り添うという部分はなくさずにいたいと思います。
そして演者としては、MyGO!!!!!がメディアミックス作品の中に存在するバンドであることを、大切にしたいです。我々はさまざまな世界軸のMyGO!!!!!を演じていますから。2027年1月からは、また新しいアニメも放送されます。
既に今年は『MyGO!!!!!の「迷子集会」』のイベントも開催させていただきましたし、さらに秋には『BanG Dream! Our Notes』も始まります。
いろいろな場所に、いろいろなMyGO!!!!!がいて、私たちはリアルバンドとしてライブをするMyGO!!!!!でもある。そのすべてを大切にしていきたいと思いますし、そこはなくさないようにしたいです。
[取材・文/逆井マリ 撮影/吉田伊織 編集/鳥谷部宏平]