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亀田誠治(東京事変)好きなもので固めるのが最強。#10

ほぼ日

東京事変のベーシストであり、椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、石川さゆり、ミッキー吉野、山本彩、Creepy Nuts、アイナ・ジ・エンド、yonawoなど、幅広いアーティストのプロデュースやアレンジを手がけてきた亀田誠治さん。
実は、音楽活動のおおもとには、個性的な少年時代の経験があるのだとか。
「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載を全10回でおとどけします。
最終回です。音楽プロデューサーになりたいと思ったきっかけの話。


糸井
亀田さんは、ほかの音楽プロデューサーの方のファンになって、研究することなどはありますか?

亀田
実は、憧れている人は何人かいて。でも「研究する」というよりも、まず好きになって、という流れですね。
作品から惚れる場合と、アティテュードというか、その人の歩んできた道のりに惚れる場合があるんですけど。
そしてそういう人にはね、必ず出会えるんですよ。クインシー・ジョーンズさんも、僕は本当に大好きで、憧れていて、80歳になるときの来日公演は、僕がサポートさせていただいたりしました。
あとは日本のプロデューサーでも憧れている方がいて、たとえば小林武史さん。

糸井
ああ。

亀田
僕がプロになりたての頃に、サザンオールスターズの『真夏の果実』がヒットしたんです。
これは、今でも忘れもしない。コンビニで「♪チャンチャンチャン‥‥」とイントロが聴こえてきて「素敵なイントロだな」と思ったんです。で、そのまま聴いていたら、桑田さんの声で歌がはじまって、「どういうことだ? いままでのサザンのサウンドと全然違うじゃん!」とびっくりしたんです。
何が起こってるんだろうと思ったら、プロデュースとして小林武史さんの名前があって。
そのときに「はぁー! 僕はプロデューサーになりたい。こういう魔法を起こしたい」って思ったんです。
なので小林武史さんは「プロデューサーになりたい」というきっかけをくれた人なんです。
ありがたいことに、いまはBank Bandで一緒にやらせてもらってますけど。

糸井
はい。

亀田
ただ小林さんのサウンドの研究とか、そういうことはしていなくて、僕の音楽の源は、本当にさきほどのヒットチャートです。
なので僕はよく、「亀田さんの音楽はキラキラしてる」とか「ポップすぎる」とか言われることもあるんですけど、もうしょうがないんですよ。ここが好きで、ここから入ってきちゃってるので。

糸井
ヒットチャートって、当たった音楽の群れですもんね。

亀田
そうなんです。僕の記憶の中には、こういうヒットチャートの音楽がたくさん入っていて、僕はそういう当たった群れから引っ張ってきているだけなんですね。
だから意図的に「売れ線を狙ってこうする」みたいに作ったことって、実は一回もないんです。
むしろ「自分の根っこを好きなもので固める」っていうのが、やっぱり最強だと思ってますね。
なので今でもSpotifyとかで「グローバルトップ50」を本当に毎日のように聴いているんです。車に乗るとまずそれが流れるようにしていたりしますし。
あとはいまでも本当に70年代の音楽ばかり聴いてたりします。

糸井
心から好きなものだから。

亀田
はい。そして僕はこのあと、2つ分かれ道があると思っているんです。
「このまま好きなものだけで固めていきたい」っていう考え方と、「自分はもう好きなものでできているから、そうじゃない人たちと交わっていきたい」という考え方と。
僕はたまたま自分の土台にブレない好きなものがあるので、全く知らないものとも交わってみたいという思いがあります。とはいえ嫌なことはやらないんですけど(笑)。

糸井
亀田さんには「閉じたくない気持ち」がすごく感じられますよね。

亀田
はい。そして僕はこのあと、2つ分かれ道があると思っているんです。
「このまま好きなものだけで固めていきたい」っていう考え方と、「自分はもう好きなものでできているから、そうじゃない人たちと交わっていきたい」という考え方と。
僕はたまたま自分の土台にブレない好きなものがあるので、全く知らないものとも交わってみたいという思いがあります。とはいえ嫌なことはやらないんですけど(笑)。

糸井
亀田さんには「閉じたくない気持ち」がすごく感じられますよね。

亀田
はい。好きなものははっきりありますけど、やっぱり自分なりに、いまの時代に合わせてアップデートしていったりすることが大事だと思っていますし。
若いアーティストでも本当に素晴らしいアーティストはたくさんいるので、「あとは閉じずに」と思っています。

糸井
はい、はい。

亀田
そして、「自分の終わりのポイントを、自分からはもう決めないでいたい」そう思ってますね。
スポーツ選手と同じで、やっぱり歳を重ねてくると、本当に若い子たちの才能に「若いだけでこれだけいけるんだ‥‥」とまざまざと感じる瞬間とかはあるんです。
だけれども僕は僕で、きっと僕にしかできないささやかな領域があるはずだから、それをしっかりやっていって。「あと何年は頑張る」とかじゃなく、まあ行けるところまで行くような感じで、音楽を作っていきたいなって思います。

──
‥‥まだまだお聞きしたいところなのですが、お時間がきてしまいました。

糸井
よろしければまたぜひ。続きをしていただけたら嬉しいです。今日話されていないことが、まだまだいっぱいあるような気がするんで。

亀田
はい。僕ももっともっといろいろお話をできる気がしているので。今日はどうもありがとうございました。

──
亀田さん、本当にありがとうございました。
(会場から大きな拍手)

(出典:ほぼ日刊イトイ新聞「 僕と音楽。亀田誠治|(10)好きなものでかためるのが最強。」)

亀田誠治(かめだ・せいじ)
1964年生まれ。
これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、石川さゆり、ミッキー吉野、山本彩、Creepy Nuts、アイナ・ジ・エンド、yonawoなど、数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手がける。
2004年に椎名林檎らと東京事変を結成。
2007年と2015年の日本レコード大賞にて編曲賞を受賞。
2021年には映画「糸」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。同年、森雪之丞氏が手がけたロック・オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」では舞台音楽を担当。
近年では、J-POPの魅力を解説する音楽教養番組「亀田音楽専門学校(Eテレ)」シリーズが大きな話題を呼んだ。
2019年より開催している、親子孫3世代がジャンルを超えて音楽体験ができるフリーイベント「日比谷音楽祭」の実行委員長を務めるなど、様々な形で音楽の素晴らしさを伝えている。

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