「アンパンマンを呼んでこい!」の真意とは?映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』戸田恵子×中尾隆聖インタビュー【後編】
戸田恵子×中尾隆聖が映画『アンパンマン』最新作を語る!
6月28日(日)より全国公開中の映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』から、シリーズ不動のキャストである戸田恵子氏と中尾隆聖氏がインタビューに応えてくれた。
「アンパンマンとばいきんまんが、まさかの共闘!?」と公開前から話題を集めている本作。さらにゲストとして上戸彩と岡村隆史も出演しており、プロ声優顔負けの迫真の演技に称賛が寄せられている。
愛と勇気を胸に普遍の物語を描き続けてきた、人気長寿アニメの劇場版最新作。お気に入りのエピソードやシリーズにおける演技の変遷、アンパンマンを映画館で観ることの意義などなど、戸田・中尾両氏がたっぷり語る貴重なインタビューの後編をお届けする。
【👇️インタビュー前編はこちら!👇️】
中尾「(初期ばいきんまんの声は)自分で聴いても『よく出していたな』と思う(笑)」
―ばいきんまんが「アンパンマンを呼んでこい!」と伝えるといった、今までになかったような展開でしたが、これまでの物語でアンパンマンとばいきんまんが力をあわせることや、ばいきんまんがアンパンマンの存在を認めるといったことはあったのでしょうか?
戸田:ばいきんまんがアンパンマンに助けを求めて共闘することはなかったですね。ただ、お互いに認め合ってはいると思います。本作の「アンパンマンを呼んでこい!」という台詞が、ばいきんまんもアンパンマンを認めているんだなと表現してくれていましたね。
アンパンマンも、ばいきんまんに言われたら行かないということもないですし、ばいきんまんのことをいつでも受け入れる態勢ではあると思います。私だったら「あの人に言われたら行かない!」ということもあると思います(笑)。そうじゃない、という世界観が素晴らしいですね。
―本作のように、キャラクターの本質的な魅力を表現したエピソードが過去のアニメや映画にも多く出てきたと思います。戸田さんがアンパンマンのことをより深く知れた作品は何でしょうか?
戸田:アニメシリーズ第1話「アンパンマン誕生」ですね。アンパンマンが生まれて、「ばぶばぶ」と言いながらぎこちなくふらふらと飛んでいるくらいの時で、ジャムおじさんを助けるエピソードが描かれました。アンパンマンがはじめて誰かを助けたときに「ボク、胸のなかがとってもほかほかしてるよ。人を助けるって、こんなに胸があったかくなるものなの?」と言いましたが、すごい台詞だなと。本当にこれに尽きるし、これからアンパンマンはこのためにずっとやっていくんだなと感じました。忘れられないエピソードですね。
―ばいきんまんの演技へのアプローチについては、何か変化がありますか?
中尾:第1話のときは、声を絞り出すような発声だったんですよ。それがだいぶ自分に近いような、自然な発声に変わってきているんです。1話目を観ると、「こんな声を出していたんだ。すごいな!」と思うような、自分で聴いてもよく出していたなと思いますね(笑)。あまり今と変わらないと言われると「そうかな?」と思うくらい違いますね。
―ゲスト声優の上戸彩さん、岡村隆史さんについてお伺いします。上戸さんは、怖がりで勇気を出せないルルンを、岡村さんは圧倒的な存在感でばいきんまんとルルンに立ちはだかる、すいとるゾウを演じられています。お二人との共演はいかがだったでしょうか?
戸田:収録は別ではあったのですが、お二人ともお芝居が上手ですし、それに何より喜んで作品に参加してくれたことが嬉しいです。お二人ともお子さんがいらっしゃるので、アンパンマンファミリーの一員になれたことがすごく嬉しいとお話しされています。お二人が演じていると知らなければ、誰が演じているのかわからないほど、上手に演じられていますね。
中尾:本当にその通りです。お子さんがいると一緒に観られていたりするので、そういった作品に関われるというのがとても嬉しいようですね。「子どもに『アンパンマンに出られる』と言ってきたんです」とお話しいただけて、こちらもとても嬉しく思います。
戸田「アンパンマンの映画は、お子さんの映画館デビューに相応しい作品」
―アンパンマンやばいきんまんを長年演じられていますが、いま改めて振り返られていかがでしょうか。
戸田:これまで仲間を失うこともありましたし、誰かを見送ることもあって、その度に乗り越えてきました。やなせ先生がいなくなったことも大きなショックでしたし、私たちもスタッフもこれからうまくやっていけるのかと不安になることもあったと思います。長くやっているとどうしてもぶち当たる壁なので、中尾さんを含めたファミリーで乗り越えてきた36年なんですよね。みんなの思いが詰まった番組です。36年間、毎週集まって、収録して、ということを続けているんです。ほかの声優さんみんなが体験できることではないので、ありがたいことだなと思っています。
中尾:36年も続けられる番組やキャラクターに出会えるのはなかなかないことだと思いますので、私の声優人生の中で一番ラッキーなことだなと思います。
―この作品が、映画館デビューになるお子さんもいると思います。それによって映画館自体を好きになり、映画が好きになってくれるかもしれません。“映画館でアンパンマンを観る”魅力を教えてください。
戸田:おうちで一人で観るのとはちがう、公共の場で自分と同じぐらいの年齢の子たちや、いろんな人がいる中で一つの作品を観るのは、とても良いことだと思います。いろんなお友達がいろんな感情をもって観るので、僕はここで泣いたとか、彼女はここで笑ったとかを共有して、観てもらいたいなと思います。
アンパンマンの映画は、劇場自体が明るくなっていますし、騒いだり泣いたりしたって皆さん理解してくれますから、本当に映画館デビューには相応しい作品です。映画館に安心して来てもらえたらなと思います。劇場に来て観るという、家族のイベントとして楽しんでもらいたいですね。
中尾:映画館は魔法の小屋ですよね。大人になって、小さい時にアンパンマン観たよねという思い出が残りますし、映画館に来てほしいです。「子どもが笑えば、親も笑う。親が笑えば、子どもが笑う」ではないですけれど、映画館で一緒に感情を共有して過ごす時間というのが大事ですよね。映画館を出て、あれがどうだった、これがどうだったと話ができるかもしれないし、その時間を大切に思って観に来ていただければいいかなと思います。
【👇️インタビュー前編はこちら!👇️】
『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』は大ヒット上映中