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親子関係を圧倒的に改善する【アクティブリスニング】家庭での実践法を一流経営コンサルタントが伝授

コクリコ

親子間のコミュニケーションに焦点を当てた全3回のシリーズ。ビジネスの最前線で多くのリーダーを成功に導いてきた経営コンサルタントの赤羽雄二さんが、信頼関係を築くための徹底的に聞く技術である「アクティブリスニング」を紹介。親子での対話を豊かにする具体的な方法を解説します。

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デジタル機器の普及や日々のスケジュールに追われる昨今、親子関係にも変化が起こっています。親子間の会話や信頼関係が希薄になり、「学校の様子を聞いても、話してくれなくなった」「最近、子どもが反抗的な態度をとるようになった」など、親として心配な事態も。ビジネスの最前線で多くのリーダーを成功に導いてきた経営コンサルタントの赤羽雄二さんは、親子間においてもビジネスで活用されている「徹底的に聞く技術」、すなわち「アクティブリスニング」が有効だと提案します。

アクティブリスニングとは何か、親子で実践できる具体的方法について、くわしく解説します(全3回の1回目)。

徹底的に聞く技術「アクティブリスニング」は親子間のコミュニケーションにも使える!

「アクティブリスニング」とは、ただ話を聞くだけでなく、深い関心を持って相手の言葉に向き合い、質問を通じて理解を深めるコミュニケーション方法です。

単なる「傾聴」とは異なり、相手の気持ちや意図をくみ取りながら問題の核心に迫り、解決策を見つけます。

ビジネスの場で使われているアクティブリスニングですが、赤羽さんは、家庭でのコミュニケーションにも非常に効果的だといいます。

「アクティブリスニングとは、『真剣に、徹底的に相手の話を聞き、質問もしながら理解を深め、信頼されること』を指します。

家庭でアクティブリスニングを取り入れるメリットは、実践することで最終的に親子間に深い信頼関係が築かれるところです。

また、多くの親子問題を未然に防ぐだけでなく、起こった問題を解決し、それまで親子間のコミュニケーションですれ違いが起こっていたならそれも修復します。

実際、反抗的だった子どもにアクティブリスニングを実践したところ、進学について相談をしてくれるようになった例もあります。『今では、なんでも話し合える親子関係になった』との声が、親御さんから寄せられているほどです」(赤羽さん)

「アクティブリスニング」3つの基本で親子の問題を解決

「家庭内での問題や親子関係がうまくいかない原因は、多くの場合、子どもとのコミュニケーションのやり方や不足にあります。

子どもの話を親がしっかりと聞かなかったばかりに、我が子の気持ちに早く気づいてあげられなかった、サポートしたい気持ちがうまく伝わっていなかったなどの問題があることが多いでしょう。こういった対話のズレをアクティブリスニングは救います」(赤羽さん)

親子間でアクティブリスニングを実践する基本には、次の3つがあります。

子どもの気持ちに寄り添うアクティブリスニングの3つの基本

・向き合い方
子どもとコミュニケーションをとるときは、向かい合うか隣同士で座るかといった座る位置は重要ではありません。それよりも、子どもの気持ちや意図をくみ取りながら聞くことが大切です。ただし、お子さんが小さい場合は、上から見下ろすのではなく、子どもの目線まで低くなって話をしましょう。

・話しかけるタイミング
「子どもが遊んでいるときに自然に話しかけたほうが良いか?」という質問をよく受けますが、話しかけることが重要ではありません。大事なのは、子どもが何か言おうとしたときにすぐに手を止め、子どもが親に話したいタイミングで受け入れて、話を聞いてあげることです。

・すべてを聞く
子どもの話は最後までしっかり聞きます。子どもの話を数秒でさえぎり、あれこれと先回りして指示やアドバイスすることはやめましょう。また、表面だけ取り繕って聞いたふりをしても、子どもにはすぐにバレてしまいます。真剣に、子どもの言葉を受け取ることに専念しましょう。

子どもの話は、どんなことでも深い関心を持つことが大切です。  写真:yamasan/イメージマート

親御さんは「話したい欲求」を抑える!

我が子から話しかけられても、子どもがまごまごしていたり、説明が下手だったりすると、親御さんはどうしても口を出してしまいます。

「子どもが話をはじめたら、親御さんはそれをさえぎってはいけません。子どもの話が前後したり、間違ったりしていても、どうか口を出さずにそのまま受け入れてあげてください。親御さんは、自分が話したい気持ちを抑えることも大事です。

聞いている側がしていまいがちな『話をとってしまう』という行動は、アクティブリスニングの考え方では、『自分の話を聞いてほしい』『私のことを見ていてほしい』『私の気持ちを理解してほしい』など、『私視点』のさまざまな欲求に通じていると考えられています。

アクティブリスニングとは、徹底的に相手の話を聞いて理解を深め、相手に信頼されることです。まずは自らの欲求を抑え、子どもの話をすべて受け入れて聞くことを心がけましょう」(赤羽さん)

ママやパパがアクティブリスニングができるようになると、親子関係は次のように変わっていくと赤羽さんは続けます。

「親御さんが日常でアクティブリスニングを行えるようになると、親子関係はとても心地よく、信頼し合えるものになります。親が自然と子どもの話を聞けるようになり、話の腰を折らないので、子どもは心ゆくまで話をしてくれるようになります。

『ママ(パパ)が話をしっかり聞いてくれた、否定せずに耳を傾けてくれた』と、我が子はきっと大満足してくれるでしょう。

こういった満足感や安心感が、親子の信頼関係を強化し、やがて子どもが友だちとのトラブルや勉強の悩み、将来の不安などを抱えても、子どもから本音を話してくれるようになります。

また、親側もすべての話を受け入れることで子どもへの理解が深まり、その場にふさわしい接し方ができます。これは親子関係を良好にする大きな一歩です」(赤羽さん)

徹底的に相手の話を聞くことを実践した家族の中には、内気で口数が少ないと思っていた息子が3時間も自分から話し続けてくれたという例もあります。

アクティブリスニングすることで、子どもと深くつながれる「濃い時間」が生み出せるなら、すぐにでも取り入れていきたいでしょう。

次回は、親子間での「徹底的に聞く・アクティブリスニング」初心者のための実践のコツを紹介します。

─◆─◆─◆─◆─◆─◆

◆赤羽 雄二(あかば ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクター。東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。経営戦略の立案と実行支援、新組織の設計と導入、マーケティング、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードする。1990年にはマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、120名強に成長させる原動力となるとともに、韓国企業、特にLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。近年は、大企業の経営改革、経営人材育成、新事業創出、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいる。著書に『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』『速さは全てを解決する 「ゼロ秒思考」の仕事術』(ダイヤモンド社)、『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』(日本実業出版社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)など国内28冊、海外30冊出版、計138万部。

取材・文 瀧 千登勢

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