【オリンピック自転車トラック競技の歴史】 2024年パリオリンピックでメダルが期待される日本勢だからこそ、ここで歴史を振り返って見る!
オリンピック自転車トラック競技の歴史
2024年パリオリンピックにおいて、日本選手の躍進が期待される自転車トラック競技。過去のオリンピックでは種目なども含めどういった競技であったのだろうか?
実は第1回の1896年アテネオリンピックから実施されている競技であり、陸上、競泳、体操、フェンシングの4競技とともに、第1回から途切れることなく実施されているのである。
今回のオリンピックおいてメダル獲得が期待されるトラック競技歴史を、順を追って見ていこう。
1896年第1回アテネオリンピックでは、「12時間レース」という耐久種目が行われたが、完走者がわずか2人しかおらず、同年限りで廃止された。
1904年セントルイスオリンピックでは、スプリント・タイムトライアルといった従来型の種目はなくなり全種目着順を争う種目へと改められたが、距離が異なるだけで、特定の選手が上位に入るという結果になったため、全種目が1回限り廃止された。
1908年ロンドンオリンピックにおいて問題が発生する。スクラッチ決勝(4人による対戦)で、競技制限時間切れのため不成立という事態が起こる。
また、660ヤード、5km、20km、100kmの各レースは着順を争う種目だったが、それぞれの種目で競技制限時間が設けられたため、上位着順に絡めないと悟った選手が途中から諦めてしまう事態が発生。これらの種目は今回限りで廃止されると共に、1912年ストックホルムオリンピックにおいてトラック競技の実施自体が見送られてしまう。(同年、自転車競技のロードレースが実施されたため、自転車競技自体は途切れることがなかった)
この流れを受け1920年アントワープオリンピックより、長距離系種目は「50kmレース」だけに絞り込まれ、「スクラッチ」「団体追い抜き」「タンデムスクラッチ」を含めた4種目で実施されることになった。しかし、またしても「50kmレース」は不完走者が続出。これによって1924年パリオリンピック限りで廃止され、以後、オリンピックの長距離種目は1984年ロサンジェルスオリンピックの「男子ポイントレース」まで実施されることはなかった。
1928年アムステルダムオリンピックの「50km」に代わり、「1000m」として新種目が採用される(2004年アテネオリンピックまで)。
その後、女子を含めた新種目の追加等を重ねながら推移してきたが、2008年北京オリンピックで新種目としてBMXが採用。その代わりに「男子1kmタイムトライアル」「女子500mタイムトライアル」がそれぞれ除外されることになった。
1996年アトランタオリンピックからプロ選手の出場が解禁され、競輪選手の参加も可能になった。女子は1988年ソウルオリンピックより実施されている。
2012年ロンドンオリンピックでは、IOCから提示された男女同数種目の原則をUCI(国際自転車競技連合)が了承することにより、中長距離個人、中距離ペア種目がほとんど姿を消すという、大幅な種目変更が行われることになった。
ここでオリンピックは、世界選手権で行われている種目の約半数しか実施されないという、新たな問題を抱えることになった。
現在、トラック競技は男女とも「個人スプリント」「チームスプリント」「チームパシュート(団体追い抜き)」「ケイリン」「オムニアム」「マディソン」の種目が実施されている。