「近寄らない、近寄らせない」 秋の行楽シーズンへ クマへ注意呼び掛け
中山間地域を中心にクマの目撃情報が相次いでいる。
今年度(8月末まで)の緑区政策課鳥獣対策班に寄せられたクマの目撃情報は34件(昨年度同時期25件)で、そのうちクマだと断定したのは14件(同15件)。イノシシのわなにクマが掛かる錯誤捕獲は2件(同2件)あった。
神奈川県猟友会津久井支部の小坂義和支部長によると、「本来は山にいるはずのクマが猛暑の影響でエサが無くなり、人里にまで出てきている」と推測する。今のところ区内では大きな人的被害は無いと言うが、小坂支部長は引き続き注意を呼び掛ける。
特に注意が必要なのは、クマが2頭で出没した時。「2頭だと親子の可能性があり、その場合は親が子を守るために襲ってくる可能性がある」と警戒を促す。これまでに大きな被害は出ていないとするが、「1頭で出没した場合もそれが子グマだと、近くに親がいる可能性があるので要注意」と補足する。
箱わなを設置
また、昨年は11月だけで錯誤捕獲が3件、今年度も2件発生している。錯誤捕獲のクマは奥山へ放獣することになっているが、専門業者が到着するまでに時間を要す場合があることや、クマが暴れてわなが外れると人を襲う可能性があるため、現場では緊張感が走る。
それらのことを受けて、同支部では先週から安全に対応できるよう、新たに区内14箇所に箱わなを設置し始めた。箱わなは捕獲した動物を箱ごと運べるのが利点で、さらに通常のくくりわなより動物が逃げ出す可能性が低くなる。麻酔などの際も接近できるので、「より安全性が高い」と小坂支部長は話す。
箱わなに仕掛ける餌は、JA神奈川つくいの中里州克代表理事組合長と相談して飼料を選定。イノシシを捕獲する餌には米ぬかを使うのが一般的と言うが、それではクマは掛からないので、トウモロコシの飼料を調達。同支部が購入し、新たに設置した。
これから秋の行楽シーズンを目前に控え、小坂支部長はクマ対策の前提として、「近寄らせない、近付かないことが大事」と話した上で、「クマは音がすると逃げる傾向にあるので、クマよけの鈴やラジオなどを身に付けるようにしてほしい」と呼び掛ける。