【ネタバレ】『28年後…』ラスト解説 ─ 続編につながる重要展開、「次作ではあの男が大きな存在に」と脚本アレックス・ガーランド
監督ダニー・ボイルと脚本アレックス・ガーランドによるカルト的シリーズ最新作『28年後…』が公開中だ。
人間を一瞬で凶暴化させるウイルスがロンドンで流出し、多くの死者を出した恐怖のパンデミックから“28年後”…。今もなおイギリス本土ではウイルスが蔓延し、人間としての理性を失った凶暴な感染者で溢れ、感染を逃れたわずかな人間たちは強制隔離を余儀なくされている。命を守るため海を隔てた小さな孤島に逃れた人間たちは、見張り台を建て、武器を備え、身を潜めて暮らしていた。
本作は新たな3部作構想における第1作で、すでに続編『The Bone Temple』が2026年1月にUS公開されることが決定済み。ラストでは今後へとつながるクリフハンガーが展開された。脚本家アレックス・ガーランドのコメントと共に解説する。
この記事には、『28年後…』の重大なネタバレが含まれています。
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続編につながる!
あの男は何者か?-->
この記事には、『28年後…』の重大なネタバレが含まれています。
『28年後…』エンディングシーン
28年前に起こった未知のウイルス感染拡大により閉鎖状態となっていたイギリス・ホーリー島の村で、少年スパイクは父ジェイミー、母イスラと共に暮らしていた。母が謎の病で床に伏す中、スパイクは父と共に“本土”にわたり、凶暴化するさまざまな“感染者”の退治を学ぶ。
初めての殺しを経験した旅から戻り、村では帰還を祝う祝福の宴が行われた。そこで父の不貞行為を目撃したスパイクは彼への信頼を失い、“本土”に隠遁する狂人ケルソンが元医者であったという事実を隠されていたことにも不信を抱く。
スパイクはイスラを連れ、本土のケルソンを訪ねる旅を決意。様々な危険を潜り抜け、感染者が産み落とした赤子を連れながら、母を失い、ケルソンと別れ、一度は村の門まで戻る。
しかし、スパイクは赤ん坊を村の門に託し、「心を決めたら帰る」との書き置きを残して、ひとり本土でサバイバル生活を送っていた。とつぜん蚊帳の外となった父ジェイミーは門外に飛び出して絶叫する。
28日後、スパイクは本土の路上で感染者に遭遇する。数が多く、弓矢だけでは対処しきれない。逃げついた先は行き止まり。絶体絶命の瞬間に、逆さ十字架のネックレスをぶら下げたジャージの男が出現する。男の合図で、カラフルなジャージ姿の戦闘集団が登場。慣れた様子で感染者を次々と倒すと、リーダーの男はスパイクに仲間になるかと誘う。
男の名はジミー・クリスタル。映画の冒頭で、他の子どもたちとテレビで子ども番組「テレタビーズ」を見ているところに感染者が襲来し、逃げ込んだ父の教会で「片時も離すな、信条を持て」と十字架のネックレスを託され一人生き延びた少年だ。
おそらくジミーは28年の間、父の言いつけ通りというべきか、独自の「信条」を築き、自らの軍団を束ねてサバイバル生活を送ってきていたのだろう。カラフルなジャージは、幼い頃に見た「テレタビーズ」の再現と思われる。
『28年後…』は、新たな3部作のうちの第1作。すでに第2作『The Bone Temple』が2026年1月にUS公開されることが決定している。第3作はまだ正式決定とまではいかないようだが、1作目や2作目が好評であればすぐに決まるだろう。
脚本のアレックス・ガーランドは米にて、「彼(謎の男ジミー)がどこから来たのかは、ある意味では映画そのものが来たところと同じです」と仄めかす。本作ではレイフ・ファインズによるケルソンが物語の鍵を握る重要キャラクターとなったが、次回作ではこのジミーが「今作におけるレイフ・ファインズのキャラクターのように、大きな存在感を示すことになる」と予告した。
さらにガーランドは、3部作のおおまかな概要について「過去に逆行するような見方になるでしょう」ともコメント。人の記憶がテーマのひとつになるようだ。次のように説明している。
「単純にいえば、ダニーと私は、ある面ですべてが前向きな時代に育ちました。そして現在、ここ10〜15年は、後ろを振り返るような時代になっています。本作はある意味、過去を振り返る時の、記憶が抜けている部分もあるし、思い出補正もあるという部分が大きいです。記憶違いもあるでしょう。
この映画は、それぞれのキャラクターだけでなく、コミュニティや、コミュニケーションに世界構築といった要素を見ても、そういうものの取り集めになっています。忘れられた出来事もある。思い出補正されている出来事も、記憶違いの出来事もある。そういうものが集まって、その中にひとつの回想録があるのです。」
厳しい世界の中で成長したスパイクと、謎のジミー軍団の出会い。そして村に残されている父ジェイミーたちのドラマ。続編ではあちこちで物語が展開されることになりそうだ。
もしかして、父ジェイミーは家父長制が崩壊したことに腹を立て、ダース・ベイダーのように息子を追い、自身のもとに戻ってくるように誘う?本作の取材で筆者がアーロン・テイラー=ジョンソンにそんなことを聞いてみると「それは面白い!それ、アレックス・ガーランドに伝えておきますよ!」と興奮した様子で答えた。「彼らが何を仕掛けてくるのか、楽しみですよね。この映画を見たら、次回作が楽しみでたまらなくなるはず。僕がそうなりましたから。だから、今後のお楽しみですね」。
『28年後…』は公開中。続編『The Bone Temple(原題)』は、2026年1月16日に米公開予定。監督は『キャンディマン』(2021)『マーベルズ』(2023)ニア・ダコスタ監督にバトンタッチ。オリジナル版の主人公も再登場するという。
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