世界に通用する企業を 秋谷に起業家育成拠点
世界で通用するスタートアップ(新興企業)を育成する起業家支援施設がこのほど、秋谷に誕生した。インターネット関連事業を手掛けるデジタルガレージ(東京都渋谷区)が運営。国内外の拠点をつなぐ「ハブ」として、起業家の挑戦を支援する。4日、オープニングイベントが開かれ、関係者が門出を祝った。
起業家支援施設「DGCAMPAKIYAYokosukaCity」は国道134号線沿いに立地。4階建て、延べ床面積は約1700平方メートルで、海を一望する広々とした会議室や宿泊も可能な5室の滞在スペースなどを備える。
同社は2010年から世界中の有望なスタートアップ支援や最先端のテクノロジーを発掘する「オープンネットワークラボ」を開始。これまで150社を超える新興企業を支援してきた実績があり、複数のユニコーン(評価額10億ドル以上の新興企業)や上場企業を生み出してきたという。
横須賀市は「チャットGPT」など生成AI(人工知能)を積極的に活用しており、同社は将来的な連携も視野に渋谷、代官山、サンフランシスコに続く4番目の支援拠点を秋谷に設置した。今後、新たなユニコーンを生み出すことを目標に、ラボの採択企業を対象に3カ月の育成プログラムを通じて「巣立ち」を後押しする。
この日、林郁(かおる)社長は「眺望や立地が素晴らしく、都内からのアクセスも良い。テクノロジーの海に挑む先駆者をここ秋谷から世界につなげていきたい」と今後の展望への意気込みを語った。
同社は来春、音楽家の故・坂本龍一さん愛用の楽器や機材を活用し、音楽や映像の制作を支援する「アーティスト・イン・レジデンススタジオ」を同施設内に開設する。林社長が長年親交があり、遺族から「新旧の機材たち。これらを散逸させることなく、想像の源として新たな命を与えたい」との意向から預かったという。
林社長は「このプロジェクトで坂本さんと共振する新たな才能が生まれることを楽しみにしている」とコメントした。