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Kバレエ カンパニー『海賊』が開幕へ、オンラインライブ配信+映画館ライブビューイングも~熊川哲也コメント到着&ゲネプロレポート

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Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

熊川哲也 Kバレエ カンパニー『海賊』 が2020年10月15日(木)~18日(日)Bunkamuraオーチャードホールにて上演される。10月15日(木)18:30公演、10月17日(土)12:30公演、10月18日(日)12:30公演では、イープラス「Streaming+」ほかにてオンラインライブ配信(24時間アーカイブ配信あり)を行い、10月18日(日)12:30公演はライブビューイング(映画館でのライブ鑑賞)も実施する(キャストは回によって異なる)。ここでは10月14日(水)のゲネプロの模様をお伝えする。

■自慢の熊川版『海賊』で再出発!

Kバレエカンパニーは今年1月下旬~2月上旬に『白鳥の湖』を上演後、3月に『トリプル・ビル』を控えていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止した。4月2日(木)には公式サイトに芸術監督・熊川からのお知らせが公開され、いち早く休業を表明した。ダンサーたちや公演関係者、また、観客を守るためであり、熊川は「決断に迷いはありません」と述べた。そして「この困難を乗り越えた暁に、明るい未来があると願って」と結んだ。それから約半年、前回公演から8か月、待ちに待った公演活動再開である。

熊川哲也 (C)中森真

エーゲ海を舞台にした冒険譚である『海賊』といえば、ガラ公演などで上演されるグラン・パ・ド・ドゥは有名だが、全幕上演は少なかった。だが熊川は2007年、独自の構想のもと音楽も一から洗い直し“男たちの壮大なアドベンチャー”を生み出した。近年世界的に『海賊』の上演が増え、さまざまな演出が見られるが、熊川版はスケールの大きさ、物語展開の上手さと独創性、劇的なドラマにおいて傑出している。舞台美術・衣裳の豪華さも格別だ。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto


■華麗な踊りとスリリングな展開に酔う

プロローグ、舞台幕に七つの海の図が写し出され、やがて紗幕越しに海賊たちの姿が浮かぶ。このカッコいい導入部からして手に汗を握るような興奮の連続を予感させる。首領のコンラッド(堀内將平)と彼に対して忠節を誓う奴隷アリ(山本雅也)の関係は物語の大きな縦糸だ。そこにコンラッドと恋仲にあるメドーラ(成田紗弥)とその妹のグルナーラ(小林美奈)という姉妹、奴隷商人ランケデム(石橋奨也)や海賊の一員だが裏切るビルバント(西口直弥)らも絡んで刺激的なドラマを繰り広げる。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

第1幕第2場(市場)では、商人たちや物乞いも現れ、人々の欲望が渦まく。踊りの見どころはグルナーラとランケデムによるパ・ド・ドゥ。小林の、身体のラインをのびやかに用いた踊りが美しい。ここでは、グルナーラに惹かれたサイード パシャとのやり取りも微笑ましかった。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

第2幕第1場(洞窟)では、海賊たちの宴が展開され魅惑的な踊りが続く。堀内が舞台狭しと大きな跳躍を繰り出したかと思うと、オダリスクの優美な舞が披露され、西口が両手に銃を持ち派手に弾ける。そして、いよいよメドーラとコンラッド、アリによるパ・ド・トロワへ。成田の、すらりとした肢体からつむがれる淀みのない踊りがため息を誘う。山本のしなるようなジャンプや力感あふれるピルエットも迫力十分。超絶技巧が続くが、物語のなかに息づき、音楽に溶かしこんで魅せることによって躍動美が輝くことを実感し心が浮き立った。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto


■熊川が“アリ”に託したものとは

熊川はアリの存在を従来になく高めた。バイロンの原作には現れず、20世紀以降になって全幕の中でメドーラ、コンラッドと一緒にパ・ド・トロワを踊るようになっても初めは名もなかった男である。熊川版のアリは控え目にコンラッドに従い、メドーラやグルナーラをそっと見守る忠臣だが、そこに美学を感じさせる。自由奔放に生きる男たちの中において、主君に能動的に信義を誓い、胸に熱い思いを秘める異色の存在。彼が身を賭してでも守りたいものとは何か、そういったものが果たして我々にはあるのだろうかーー。深い感銘をもたらす舞台だ。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto

アリを演じた山本は今年1月の『白鳥の湖』主演時にプリンシパル昇格を遂げた。2013年、熊川がローザンヌ国際バレエコンクール審査員を務めた際に第3位だったという縁があってKバレエに入った山本は、伸び盛りであると同時に風格も出てきた。熊川の当たり役をしっかりとものにしている。成田、堀内らも含め、若い世代への継承が良き方向に向かっているようだ。初演から13年、『海賊』は上演を重ねて錬成され、完成度をいや増している。新たなスタートにふさわしい充実した公演となるだろう。

Kバレエ カンパニー『海賊』(C)Hidemi Seto


■熊川哲也芸術監督コメント

約半年におよぶ活動休止期間を経て、本公演『海賊』がKバレエ カンパニー再始動を飾ることになります。
社会全体が新しいスタイルへの転換を求められる今、劇場芸術の世界を生きる我々もまた、必要な変化に柔軟な発想をもって対応していかなければなりません。
2007年に初演したこの『海賊』は、僕がそれまでに手掛けたどの古典バレエよりもオリジナリティにあふれ、まさに他に類を見ない、「Kバレエの『海賊』」と誇れる作品と自負しています。
この作品が持つ力強さこそ、カンパニーが踏み出す新たな第一歩にふさわしく、かつてないほどのエネルギーと感動が劇場を満たすはずです。
そのひとときを共にする観客の皆さんにも、この舞台が明日へと向かう大きな活力をもたらすものとなることを願っています。

Daiwa House ⓇPRESENTS 熊川哲也Kバレエ カンパニー『海賊』熊川哲也コメント

取材・文=高橋森彦

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