悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ
小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関する問題を自身のXで明かし、投稿は約500万回閲覧されるほど大きな反響を呼んでいる。
壱原さんは、読者アンケートでは平均7位と高い支持を得ているにもかかわらず、誌面での掲載位置が後方に置かれることが多かった理由として、前担当編集者による度重なる入稿遅延が編集部の判断材料になっていた可能性を示した。
壱原さんによると、原稿は締切の3日前には提出していたにもかかわらず、前担当編集者が締切翌日などに入稿作業を行っていたとのこと。その結果、編集部側は同作を「締切が守れない作品」と認識し、前半掲載がリスク視されていた可能性があるという。
アンケート結果は良好であったにもかかわらず、掲載順が後ろになったり、連載1周年のカラー掲載が巻頭ではなくセンター扱いになったりしたことについて、「読者の方々からたくさん応援いただいているのにそれが反映されなくて」と悔しさをにじませた。
前担当者の問題は入稿の遅れだけにとどまらなかった。壱原さんは補足投稿で、入稿作業の際に作者が確認する写植チェックが校了日当日になっても回ってこないことが何度もあり、さらに一部セリフが無断で変更されていたこともあったと明かす。
この状況に気づいた“新”担当編集者が事情を確認したところ、遅延の理由は「入稿を忘れていた」というものだったといい、悪意ではないにせよ「怒る以外にどうすれば良いかわからないような回答で、流石に心の糸が切れてポストしてしまいました」と、今回投稿するに至った背景の一部を述べた。
壱原さんは、問題の担当者は2名で、すでにサンデー編集部からは別部署へ異動していると説明。担当者個人への過剰な攻撃や特定につながる行為は避けてほしいと呼びかけた。また、今回の投稿はこの件だけが理由ではなく「前担当たちとはあり得ないくらい色々ありました」と、他にも原因があったことにも触れつつ、読者や関係者への不要な心配を避けるため詳細の言及を控えた。
「シテの花」は能楽を題材に据え、多くの能楽関係者の協力を得ている作品であり、壱原さんは「作品の名誉を守らないといけないと思ったこと」「『本当は人気なんです』だけだと伝わらないので掲載順と乖離している理由の一部も添えた次第でした」と投稿の意図を説明した。また、掲載順が後方だと不安になる読者も多いため、正当な評価が伝わっていない状況への危機感もあったという。
現在は新しい担当編集者に引き継がれ、「前向きに頑張っているところです」とし、壱原さんは「どうか変わらぬ応援を」と読者に向けて感謝を述べている。X投稿は一晩で急速に拡散し、作品の制作環境や編集体制への関心を集めている。
<参考・引用>
壱原ちぐささん公式X(@ichichigu)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025111804.html