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フレンチだけじゃない?『フルコース』ってどんな料理のことをいうの?

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フレンチだけじゃない?『フルコース』ってどんな料理のことをいうの?

普段あまり口にすることがない、コース仕立ての豪華な料理。出て来る順番や細かいマナーなど、自由に注文する料理とは趣が異なる。冠婚葬祭などで出される格式高い料理もフルコースが多く、季節によってはいただく機会が増えることになる。和洋それぞれの順番やマナーを知って、スマートにいただけるようになろう。

1. フレンチだけじゃない!「フルコース」の意味

フルコースという言葉は、西洋料理だけではなく和食に対しても格式ある料理に使用することが多い。また、料理以外にもフルコースという言葉はよく耳にする。まずは、本来のフルコースの料理について、さらに英語での表記について見てみよう。

フルコースとは

フルコースとは本来、フレンチを中心とした西洋料理のもっとも格式あるコースを指す。前菜からデザートまで、8~11皿が供されるのが常である。そもそもフランス料理の起源は、16世紀の終わりにイタリアのメディチ家からフランス王家に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスが持ち込んだ食文化にある。イタリアでは、16世紀にローマ教皇や貴族付きの高名な料理人たちが、料理を紙に記すメニューを考案した。これによって、当時の一連の料理が体系化されたといわれている。現在は、和食にもフルコースという言葉が使われるほか、食事以外にもあらゆる品目や種目を含んだものをフルコースと表現することが多い。

フルコースは英語だけど英語圏で通じない?

日本で普及しているフルコースという言葉は、実は和製英語である。本来は、英語のフルコース(full course)は形容詞として使われる。そのため、フルコースの食事は英語では「Full Course Dinner」と表現されるのである。

2. どんなメニュー?フレンチのフルコース料理の順番とマナー

最も格式高いもので11品ある。欧州のテーブルマナー発祥はフランスなのだが、フルコース料理はイタリアが先にはじめた形式だ。このため、イタリアに対抗して品数が多くなり、マナーも複雑化した。17世紀、太陽王ルイ14世の時代にヴェルサイユ宮殿で供される料理はヨーロッパ各国の王侯貴族の食卓の規範となり、より複雑に品数も増えていったという経緯がある。それでは、メニュー表の順番にそれぞれの皿の特徴を見ていこう。

アミューズ

コース料理の一番最初に登場するアミューズは、日本語では小前菜と訳される。いわゆる突き出しのようなものである。1口で食べるという意から「アミューズブーシュ(amuse bouche)」「アミューズグール(amuse gueule)」の別称もある。

前菜

前菜はオードブルとも呼ばれる。食前酒とともに供されて、旬の食材などを用いた料理が多い。前菜の存在理由は、のちに続く料理を食するために食欲を刺激することにあるとされている。

スープ

前菜のあとには、コンソメやポタージュなどのスープが供される。メイン料理を食べるために、準備として体内を温めることを目的としている。スープをはじめ、フランス料理では音を立てずに料理を口にするのがマナーである。

魚料理

メインディッシュとして最初に供されるのが魚料理である。これは、一般的に魚のほうが肉料理よりも淡白であることが理由である。ポワレやムニエルなど、日本人の舌になじんだ魚料理が多い。魚用のカトラリーを使って食べるのが常である。

ソルベ

メインの魚料理と肉料理の間に登場するのが、ソルベである。ソルベとはシャーベットの意で、通常はレモン風味などのさわやかなものが多い。量も少量であるが、口の中の魚臭さをソルベによって除去し、次の肉料理に進むという意味がある。

肉料理

フランス料理のフルコースにおいて、メイン中のメインとされているのが肉料理である。フルコース料理の一環であるから、その量は多くない。牛肉や羊などの赤肉を、赤ワインで色付けしたものが多い。肉料理によって、体内を酸性に変えるという意味もある。フォアグラや美しく料理された野菜類とともに供されてくる。肉は、それに対応したナイフを使うことになる。

サラダ

フルコースにおけるサラダは、供される順番がまちまちである。肉料理のあとに登場することもあれば、スープのあとに運ばれてくることもある。サラダを食べることによって、身体をアルカリ性にする作用があるとされている。

チーズ

メイン料理を心ゆくまで満喫したあと、会食者とおしゃべりを楽しみながらワインを楽しむために運ばれてくるのがチーズである。独特の風味のあるチーズをほんの一口、ワインとともに楽しむのはフランス料理の醍醐味である。あまりマナーは気にせず気軽に楽しみたい。

デザート

フランス語でデセールと呼ばれるデザートは、そもそも料理を「片付ける」という言葉に由来している。文字通り、フルコースの最後を締めるフランス菓子文化の粋といったところである。一説によれば、デザートの糖分はフルコースで食べたものを胃から腸へと押す役割もあるという。ワゴンで運ばれる場合は、食べられる量を節度をもって選ぼう。

フルーツ

デザートのあとには、季節のフルーツが運ばれてくることがある。すでに満腹感を実感している頃合いであるため、ほどよい量を口にして口中をさっぱりさせるとよいだろう。

カフェとプティフール

フルコースの締めはカフェである。日本でもおなじみのアイスコーヒーやアメリカンではなく、フランス式の濃いめのものがデミタスカップなどで少量運ばれることが多い。コーヒーによって消化を促し、満腹感によって喚起される眠気を覚ます目的がある。たまに、カフェとともにプティフールと呼ばれる小さな菓子が運ばれてくることも。プティフールには、焼き菓子と冷やして食べるタイプの2種がある。

3. フレンチ以外のフルコース

フルコースの料理といえばフランス料理が筆頭にあがるが、和食やイタリアンにもフルコースは存在する。それぞれのフルコース料理にはどんな特徴があるのだろうか。フランス料理とは異なるそれぞれの個性を紹介する。

イタリアンのフルコース

実はイタリアンがフルコースの元祖。品数が少ないため、メインが序盤から登場する。アンティパスト(前菜)
プリモ・ピアット(第一メイン、パスタ)
セコンド・ピアット(第二メイン、魚か肉)
サラダまたは温野菜
チーズ
デザート
コーヒー(エスプレッソが一般的。カプチーノはイタリアでは朝食に飲むもので、料理に対する不満の意味になるので選ばないこと)

和食のフルコース・懐石

懐石は茶懐石ともいい、茶道に由来する。お茶をいただく前に空腹を満たすため、お茶をより美味しくいただくために考えられた。侘び・寂びの概念のもと、旬の素材を使っておもてなしすることが目的だ。基本は一汁三菜で、量はごく少量。ごはん(一口ほど)
汁物(味噌汁)
向付(むこうつけ。刺身かなますが多い)
椀物(懐石のメインで、具沢山)
焼物(焼き魚。ここまでで止めることもある)
強肴(しいざかな。ちょっとした料理)
小吸物(箸を清め、口を漱ぐ意味で一口)
八寸(一辺八寸の器に海のものと山のものが盛り合わされる)
湯桶(ゆとう。おこげにお湯をかけたもの)
香物(漬物)
この後、主役である濃茶と主菓子、締めに薄茶と干菓子が出される。

会席は酒のための宴席

会席は結婚式などの祝いの席で、宴会するのが目的だ。細かい決まりは少なく、酒を飲むことが前提である。先付(さきづけ。食前酒と供される)
吸物
向付(刺身)
煮物
焼物(この後口直しで酢の物が出ることも)
揚物、蒸物(順が前後することがある)
ごはん、味噌汁、香物(これが出たら酒をストップ)
水物(季節の果物。水菓子ともいう)

4. フルコースを自宅で楽しむには

プロのシェフたちの力量がいかんなく発揮されるフルコースのフレンチ。果たして、フルコースのフランス料理を自宅で味わうことは可能なのであろうか。近年は、自宅でも楽しめるフルコースの料理がオンラインで販売されていることもあり、自宅で堪能することも可能なのである。また、手作りでフルコースにトライする場合のコツも紹介する。

フルコースのお取り寄せ

自宅の皿で、本格的なフレンチのフルコースを楽しむのも洒落ている。高名なレストランが発信するお取り寄せフルコースのいくつかを紹介する。千葉県ではよく知られたフレンチの名店ラ・カルティリヨンでは、フルコース料理がお取り寄せできる。価格も6500円からと手ごろでありながら、看板のフォアグラのテリーヌや赤ワインをふんだんに使った肉料理を中心に堪能できる。大阪の老舗ホテルのフランス料理が、自宅で楽しめるのは嬉しい。メイン料理が中心だが、ビーフシチューやサーモンの料理など、フランス料理になじみがない子どもたちでも食べられそうな料理がセットになっている。

手作りフルコース

自宅でフランス料理のフルコースを作る場合には、逆に素人らしさをウリにしてもよいかもしれない。前日から準備ができるテリーヌや煮込み料理、数週間前から作ることができるコンフィなどを配し、キッシュなどの家庭的な料理を前菜に用いてもよい。また、彩りのよい野菜をオーブンで多めに焼き、会食者と取り分けるなどしてもよいだろう。フルコースのマナーには反するかもしれないが、こうしたオーブン料理はホスト側の立ったり座ったりが軽減するというメリットがある。デザートなどはもちろん、手作りであることが好ましいが、無理をせずに購入できるものはそれで済ませるのも手である。

結論

フランス料理のフルコースといえば、普段はあまりなじみがなく、そのため敷居の高さを感じるのが常である。ユネスコの世界遺産ともなったフランス料理は、格式の高さを感じるとはいえ、会食者と会話を楽しみながらとる食事という意味では通常の食事と変わらない。これは、イタリア料理でも和食でも同じである。それぞれの食文化に思いを馳せつつ、ぜひフルコースを最初から最後まで堪能してほしい。

投稿者:井澤佐知子
監修者:管理栄養士 黒沼祐美

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