第36回倉敷っ子なかよし作品展(2025年1月21日〜26日開催) ~ 倉敷市内で特別支援教育を受ける子どもたちの作品が市立美術館に大集結!
倉敷市内の小中学校の特別支援学級や特別支援学校で学んでいる子どもたちによる「第36回倉敷っ子なかよし作品展」が、倉敷市立美術館で始まりました。
子どもたちが日々の活動のなかで積み重ねてきた足跡や、そこにある努力が見られる作品が一同に集まった作品展です。
2023年12月に関東から倉敷へ移住してきた私は、元特別支援学校の教員。昨年度はじめて作品展を鑑賞して、子どもたちの想い溢れる作品たちに大変感銘を受けたので、今年度も会期初日の2025年1月21日(火)に鑑賞してきました。
「第36回倉敷っ子なかよし作品展」とは
倉敷っ子なかよし作品展は、特別支援教育への理解と協力の輪を広げようと、毎年開かれている展覧会で、2024年度で36回目を迎えました。
今年度は、2025年1月21日(火)から1月26日(日)までの6日間、倉敷市立美術館において開催されています。
参加しているのは、倉敷市内の小中学校に設置されているすべての特別支援学級および倉敷市立倉敷支援学校(以下、倉敷支援学校と記載)です。
特別支援学級
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級(文部科学省)
特別支援学校
障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校(文部科学省)
展示のようす
1階には中学校の特別支援学級および倉敷支援学校の作品、2階には小学校の特別支援学級および院内学級の作品が展示されています。
入場無料なので、どこからでも鑑賞をスタートできますが、一階の受付に子どもたちお手製のお土産があるので、ぜひ受け取ってください。
お土産は、本などに挟む栞(しおり)。
倉敷っ子なかよし作品展に出展している子どもたちからの「ありがとう」といったメッセージやかわいらしいイラストに、思わず頬が緩んでしまいます。
私は、食パンを留めるプラスチックのクロージャ―を圧縮して作られた栞をゲット。ほかにもペットボトルを圧縮したもので作られた栞もあります。展示作品と関連があるのでしょうか。
教科学習の軌跡が伺える中学校生徒の作品
まずは、一階の展示室から鑑賞しました。こちらには、中学校や倉敷支援学校の子どもたちの作品が展示されています。
中学生の作品からは、教科学習の足跡が見られました。
国語科の書道作品に、家庭科の縫製作品、技術科の木工作品、美術家の造形作品など、一年間子どもたちが各教科の学習を頑張ってきた姿が思い浮かびます。
どれも生徒が個々に作った作品が並びますが、学校ごとに一つの大きな作品のように展示されているのが特徴的です。
私が鑑賞していた時間帯は、校外学習で鑑賞に来ていた小学生の男の子が「中学生、すげーー!」と憧れのまなざしで作品を眺めていましたよ。
体験活動とリンクした倉敷支援学校の子どもたちの作品
一階展示室の奥には、倉敷支援学校の子どもたちの作品が展示されていました。
倉敷支援学校は、小学部から高等部までの児童生徒が学ぶ学校なので、作品も小学部から高等部まで幅広い年齢の子どもたちの作品が並びます。
小学部低学年は「のりを使う」など学習課題に応じた作品が、高学年になると芋掘りや修学旅行などの体験学習をもとにした作品へと、発達段階に応じたていねいな学習のようすが伝わってきます。
高等部は「イニシャルをモチーフ」にしたステンシル版画作品。
幅広い年齢層の子どもたちの作品が壁一面に並ぶことで、小学部から高等部まで一貫した教育のなかでの子どもたちの成長を垣間見られました。
地域や校内の交流学級とともに子どもたちが学ぶ姿が見える小学校の展示
二階の展示室には、小学校の特別支援学級および院内学級の子どもたちの作品が並びます。
小学校の特別支援学級の作品は、各学校それぞれのスペースに大きな作品を展示するのが特徴です。
一つの大きな作品に見えますが、そのなかに「紙を巻く」「絵を描く」「字を書く」「花紙で花を作る」「ペットボトルやストローなどのプラスチック製品を紙に貼る」など、さまざまな作業が取り入れられています。
6学年、さまざまな実態の子どもたちに合わせて制作活動をし、ひとつの作品として展示される作品は、圧巻です。
地域のお祭りを紹介したり、学校のマスコットキャラクターを紹介したりと、作品展の鑑賞者に学校の紹介をしてくれているような作品も多くありました。
児島商工会議所から譲ってもらったというデニム生地を使用した作品を、鑑賞しに来た中学生が興味深そうに眺めている姿もありましたよ。
また、作品展終了後に校内での展示を予定している学校や、交流学級での学習をもとに作品制作に取り組んだ学校もあるようです。
交流学級
障害のある子供と障害のない子供が一緒に学ぶ学級 (みんなの教育技術)
プラスチックカップに水性ペンで模様を描き、トースターで熱した材料を使ってクジャクを作っていたのは、倉敷市立菅生小学校でした。
大原美術館の出前講座をいかした院内学級の作品
二階展示室の一角には、院内学級の作品も展示されていました。
院内学級
院内学級は、ケガや病気のため、入院しなければならない児童・生徒のために 病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級
※現在、倉敷中央病院および川崎医科大学附属病院に倉敷市立小中学校の院内学級があります。
院内学級は、大原美術館の出前講座をいかしたモネの《睡蓮》をモチーフにした作品や《ファラオ像彫刻》をモチーフにした作品などが展示されています。
院内学級の作品は、第36回倉敷っ子なかよし作品展の展示終了後の1月27日(月)~2月2日(日)に倉敷えびす商店街にある仁科商店iroiroにて、特別展示会をおこなう予定です。
詳しい内容は、以下の画像を確認してください。
おわりに
会期初日から、校外学習で作品展を訪れる子どもたちで賑わっていた倉敷市立美術館。
展示室内でも、自分の作品を見つけた児童が、うれしそうに「ぼくは、この【は】を書いたんだよ!」と得意げに友達や先生に自慢しながら鑑賞する姿もあり、大変かわいらしかったです。
展示期間中は、校外学習で倉敷っ子なかよし作品展を訪れる特別支援学級も多いのだとか。美術館に飾られた作品をうれしそうに眺める子どもたちを数多く見られるのも、この作品展の特徴です。
子どもたちのはつらつとした姿や一生懸命作り上げた作品が、一人でも多くの人の目に留まってほしいと思います。