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100年の歴史、受け継いだ手綱 相模石油・小泉光哉社長、木村運送・木村塁取締役インタビュー〈平塚市〉

タウンニュース

100年の歴史、受け継いだ手綱

1924(大正13)年5月7日に創業した相模石油と木村運送。小泉光哉社長は4代目、木村塁取締役も現社長の後継として4代目に就く予定だ。数奇な運命で引き寄せられるかのように、100年の歴史を刻んできた両社。経営の手綱を握る2人に話を聞いた。

東日本大震災、コロナ禍を経て

小泉どちらもしんどかったですね。震災直後の計画停電で、駐車場経営は大混乱。停電すると車が出庫できませんから、「今から壊して出ていく」という電話がかかってきました。コロナ禍の2020年には5月だけで1億円以上の赤字となり、これは半年続いたら大変なことになるなと。

それでも、営業の自粛はしませんでした。一人でもお客様が来てくれるのであれば、カート場もバッティングセンターもレンタカーも、店を開ける。それは、従業員の雇用を守るためでもありました。「レンタル移籍」として、アクアクララやエネルギーなどインフラ系事業部の仕事を手伝ってもらうこともありました。コロナ禍に一人の退職者も出さずに済んだのはうれしかったですね。

物流業界の大転換

木村35年前に物流の法律が変わり、自由競争が激化しました。当時は平塚の工業団地からも多くの仕事を頂いていましたが、運賃の叩き合いで大変だったと聞いています。大手自動車メーカーとの取引もありましたが、1分1秒でも遅れたら信用を失うシビアな仕事でした。人材教育研修のコスト増で採算の見通しが立たず、徐々に運送事業の縮小を余儀なくされた歴史があります。

私が入社した10年前にも、得意先の仕事が無くなり正直儲からない時期がありました。不動産賃貸事業で何とかつないでいた状況です。それでも、新規顧客獲得のためにウェブマーケティングを推進したことで、徐々に拡大路線に入ることができ現在に至ります。

経営者の心得

小泉バランスシート(貸借対照表)を”デザイン”することです。戦争も地震もコロナ禍も、経営にとってはピンチなわけですが、バランスシートが強ければ生き延びることができる。

経営者として、全ての物事を決める立場であるというプレッシャーもあります。自分の価値観が間違っていたとしたら、社員が路頭に迷うことになりますからね。当社には『今日の誓い』というものがあって、従業員は70年以上、毎朝欠かさずに唱和しています。私にとっても、価値観の柱、価値観の源泉のようなものです。

木村学生時代にバドミントンをやっていたこともあり、競争に勝ちたいという気持ちは強いですね。社会人になると、愚直に誠実に動いて地域を牽引する存在になりたいという思いも芽生え、縁あって会社の後継者に立候補しました。

当社では『和して同ぜず』という言葉を大切にしていて、トップや会社の理念に従いつつ、一人一人が主体性を持って仕事に取り組もうという意思統一が図れていると思います。

ストロングポイント

小泉現在は16事業を展開していますが、常にほかの会社と違うことをしようと考えています。どうやったら業界内で一番になれるのか。売上規模や利益の額ではなく、一番優れたビジネスモデルを自分たちが築けるかどうかを追求しようと言い続けています。

木村『凡事徹底』の言葉通り、派手さはなくても、当たり前のことを地道にやり続けていれば必ず成功する。これまで大きな拡大はできなかったかもしれませんが、浮き沈みすることもなく安定経営を続けてこられたのは、そんな考えが浸透していたからだと感じています。

次代に向けて

小泉従業員には常々、「次の100年なんてないよ」と伝えています。必ず次の1年しかないと。おかげさまで他社よりも速く走れる自信はあるので、長期的な視野で会社をマネージするよりも、短期的に収益を最大化しつつ、それを連続化することを重視して経営を続けられたら。

木村「2024年問題」の影響で、運送業界の廃業数は今年過去最多になるといわれています。労働時間が抑制され、運賃水準の見通しも不透明な状況ですが、当社はそれをチャンスととらえています。現在、従業員の残業時間は月40時間ほどで輸送能力に余力があります。他社で請け負えない仕事が舞い込むことも増えつつある中、効率的な輸送体制と採算の取れる運賃という両輪をしっかりと回し、さらなる成長につなげていきます。

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