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瀬波温泉で70年以上続いてきた老舗の寿司店「寿し銭」。

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瀬波温泉で70年以上続いてきた老舗の寿司店「寿し銭」。

村上市にある瀬波温泉は新潟最北の温泉地で、海に面していることから夏場には多くの海水浴客が訪れて賑わいます。そんな瀬波温泉で長く営業している老舗の寿司店が「寿し銭」です。メインストリートから路地裏に入った場所にある、まるで隠れ家のようなお店におじゃまして、四代目の藤田さんからお話を聞いてきました。

寿し銭

藤田 英明 Hideaki Fujita

1967年村上市生まれ。「寿し銭」四代目店主。東京の寿司店で6年間修業した後、村上に戻って「寿し銭」に就業。若い頃はもっぱらスキーを楽しんでいた。

ルーツは新潟市の下古町にあった寿司店。

——こんなところにお寿司屋さんがあったなんて知りませんでした。いつから続いているお店なんですか?

藤田さん:はっきりとはわからないんですけど、70〜80年前だと思います。最初は寿司屋じゃなくて置屋(おきや)の傍ら和風バーをやっていたようです。

——「置屋」っていうと……芸者さんを抱えていたんですか?

藤田さん:芸者さんやホステスさんをお酒の席に派遣していたようです。全盛期には60人の芸者さんが瀬波温泉にいたそうですよ。

——へぇ〜、そんなにいたんですか。お寿司屋さんになったのはいつからなんですか?

藤田さん:二代目が新潟市の古町通11番町にあった「寿し銭」という寿司店のご主人から、60年前に暖簾分けしてもらったそうです。

——そうだったんですね。それにしても「寿し銭」って変わった店名ですよね。

藤田さん:ご主人が古銭を集めるのが趣味だったと聞いています。

——それで「寿し銭」(笑)。二代目は寿司職人だったんですか?

藤田さん:職人ではなく経営者ですね。寿司は握れなかったので、古町の本店から迎えた職人が私の父だったんです。

——いわゆる「出向」みたいな感じでしょうか?

藤田さん:そうですね。父は養子になって三代目として「寿し銭」を継ぎました。今は私が四代目として父と一緒にお店を営業しています。

——藤田さんは他の道に進もうとは思わず、最初から「寿し銭」を継ぐことにしたんですか?

藤田さん:ずっと四代目として「寿し銭」を継ぐよう洗脳され続けてきたので、当たり前のように継ぐ方向で考えていましたね(笑)

——じゃあ、昔から継ぐつもりで「寿し銭」で働いていたんですね。

藤田さん:その前に6年ほど東京の寿司店で修業しました。そのお店は日本で初めてフィルム式の手巻き寿司を開発したお店なんですよ。見栄えがいいように寿司の大きさをきちんと揃えることを厳しく叩き込まれたおかげで、今も見た目には気を配っています。

——修業は厳しかったですか?

藤田さん:今とは違って厳しいのが当たり前の時代でしたからね。でも定休日には従業員みんなで大洗海岸に出かけて、バーベキューを楽しんだりしていました。青春でしたね(笑)

瀬波温泉の魅力や地魚の美味しさを伝えていきたい。

——お寿司やお料理には、どんなこだわりがあるのか教えてください。

藤田さん:「瀬波温泉」という観光地で営業していて、遠方からのお客様もたくさんお越しになりますので、できるだけ地元の食材を使ったお料理を提供するように心掛けています。

——例えば、どんな食材を使っているんですか?

藤田さん:ネタには地元の岩船港や寝屋港で上がった魚介類、シャリには朝日高根地区のお米を使っています。塩は笹川流れの海水から作ったものを使っているんですよ。

——では、この辺りで捕れる魚介類のオススメを教えてください。

藤田さん:春や秋にはサクラダイやサクラマスが美味しいですね。秋になると三面川に鮭も遡上してきます。これから8月中旬までは、なんといっても岩ガキが美味しい季節を迎えますので、ぷりっぷりの食感をお楽しみいただきたいですね。

——村上は鮭と並んで岩ガキも美味しいですよね。お寿司以外の人気メニューはあるんでしょうか?

藤田さん:「甘海老のクリームスープ」は女性を中心に人気があります。地元のフレンチレストランで提供していた、海老のスープにヒントを得てはじめました。海老の頭を1日煮込んで作る濃厚な味わいのスープなんですよ。

——それは間違いないやつですね(笑)

藤田さん:いつか村上牛を使った料理も、提供できたらいいなと思っています。

——それも楽しみですね。お寿司を握るときに、気をつけていることはあるんでしょうか?

藤田さん:シャリが口の中でほぐれるように、握り方には気をつけています。あと生ものを扱っているので、衛生管理には気を配っていますね。特にこれからの暑い季節には管理を徹底するようにしています。

——これから夏を迎えて海水浴シーズンになると、瀬波温泉も賑わいそうですね。

藤田さん:夏になると長野や埼玉、群馬といった「海なし県」を中心にお客様がたくさんおいでになります。最近はインターネットの影響もあって、海外から来られるお客様も増えましたね。

——ちなみに瀬波温泉には、何軒くらいお寿司屋さんがあるんでしょうか?

藤田さん:以前は5軒あったんですけど、今ではうち1軒だけです。いちばんわかりにくい場所にある店が残ってしまいました(笑)。最近はインターネットのおかげで探してもらいやすくなりましたので、とてもありがたいです。これからも瀬波の魅力や村上で捕れる魚介類の美味しさを伝えていきたいと思っています。

寿し銭

村上市瀬波温泉2-3-19

0254-53-3712

11:00-21:30

不定休

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