冷え切った“仮面夫婦”の老後のリアル #6「ひどい妻なのだろうけど…」
互いに関心も愛情も向けない「仮面夫婦」。それでも何とか生活してきたけれど、子どもたちが独立して自分も年を取り、その間もずっと他人のような存在感だった夫/妻とはふたりきりの老後を迎えます。
関係に愛着のない配偶者と過ごす老後とはどんなものなのか、仮面夫婦のままやってきた人たちのリアルを実録で紹介します。
「義実家とはずっと折り合いが悪く、図々しくこちらの生活に踏み込んでくる義母が嫌いで、年始の挨拶も行かない状態でした。
夫が私より自分の母親を優先して、母の日などに『何か贈れよ』と言ってくるのが本当に嫌で、『自分ですれば』と返して何もしてきませんでした。
子どもがふたりいるしシングルマザーでの生活は大変だし、愛情を感じない夫と離婚しなかったのは、ひとえにお金と体面のためです。
夫は離婚したかったと思いますが、結局バツイチで実家に戻るより家事や育児などをやる私がいる家庭のほうが楽だと、これも打算で言わなかったのではと思っています。お互いさまですよね。
次男が巣立ったら離婚しようと思っていたのですが、このタイミングで義母の病気が発覚し、長男の夫はその対応で大変になり、それどころではなくなりました。
夫が電話で身内と話すのを聞いてうっすらと事情は把握していますが、私には当然何も言ってこないので、関係ありません。
それよりも夫が家を空けることが増えたので本当に快適で、ひとりの時間を満喫しています。
世間から見れば『ひどい妻』なのだろうと思いますが、こんなときでもアテにされないのは助かりますね。
自分の作った家族よりずっと親の機嫌を優先してきた夫には、義母の介護などが最後までつきまとうだろうし、それは夫の問題です。
私はまだ離婚の可能性を考えていて、ひとりの老後のために貯金の確保をして仕事をがんばっています」(女性/50代/公務員)
こちらのケースでは、「自分の作った家族よりずっと親の機嫌を優先してきた」という女性の言葉が印象的でした。
それでも離婚をしなかったのは自分の選択であり、それに責任を持つことを、女性は考えていました。
夫には自分とは違う夫の現実がある、と割り切る姿勢は、仮面夫婦だからこそ生まれるのかもしれません。
(ハピママ*/弘田 香)