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【後編】千葉県の県境はぜんぶ川らしいので歩いて確かめてきた

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※前編からの続きです

千葉県野田市

14:26 川間駅

いつの間にか千葉県野田市に入り、いよいよ江戸川沿いの県境の旅は佳境に入りつつあった。いままでのルートはこちら。

一気にワープを決めたのはいいものの、ここからは千葉県の先っぽの戦いだ。赤で示したチーバくんの鼻の先を目指すことになる。この領域はワープに使えそうな鉄道路線が皆無なので、かなり厳しい戦いになりそうだ。ちなみに、鼻先まで行くと江戸川に別れを告げて、今度は利根川を銚子に向けて下っていくことになる。めちゃくちゃ長い。到達できるのか、これ。

川間駅はとてもとても静かな印象がする駅だ。川間って地名は、たぶん鼻先が近くて江戸川と利根川に挟まれているからだと思う。駅前は綺麗に整備されていて、落ち着いた雰囲気、ちょっと頑張って電車に乗れば都心に出ることができる。将来はこういうところに住みたいんだよ。

さて、駅前の小さな通りを抜けて川を目指す。

当たり前だが、そこに川があった。県境もここにある。ずいぶんと川幅が狭くなり、殺風景さが増したように思えた。

ちょっとわかりづらいが、海から45 kmらしい。ずいぶんと来たものだ。

子供たちが木に引っかかった何かを取ろうとしていた。実にのどかな風景だ。

堤防の高さ自体はもうそこまでではなくて、そのかわり道が広くなっていた。普通に、車同士がすれ違えるくらいの広さがある。

と、思ったら、なにもここまであからさまにしなくても、というレベルで突如として道が狭くなる。ここまで急激だと何かあったんじゃないかと心配になってくる。

そろそろ日が傾いてきた。これは由々しき問題だ。先ほども示したように、これから歩いていくゾーンは千葉県の先っぽ、チーバくんの鼻の先だ。これからは鉄道がない地帯に入り込んでしまう。そこで日が暮れてしまうとかなりやばい。宿泊場所がない可能性が高いからだ。

これが、鉄道が存在する地帯ならなんとでもなる。まず駅前とかにホテルがある可能性が高いし、ないとしても適当に移動してしまえばいい。ただ、これが鉄道不毛地帯となると、何もない、移動も不可という状態になってしまうのだ。それだけは避けたい。できることなら、日が暮れる前にこの先っぽ地帯を駆け抜けてしまいたい。

見慣れぬ乗り物が数多く停めてある施設を発見した。なんか翼を畳んだみたいな形状をした不思議な乗り物が複数ある。なんだろこれは。

どうやら関宿滑空場という施設らしく、主にグライダーなどが離着陸する場所みたいだ。停まっているのがグライダーなのかなー、と思いながら見ていたら、

いた。あれがグライダーなのかな。プロペラついているから違うか。とにかく、空から行けば県境を見張るのも楽なのにな。乗せてくれんかな、とか考えていたら、これが県境を見張る旅だってことを思い出した。ただただ無意味に歩かされている旅だと勘違いし始めていた。

延々と、延々と、何もない殺風景な景色の中をただただ歩く。気が付くと、人とすれ違うこともなくなっていた。

しばらく歩くと、何かおかしな建造物が目の前に現れた。めちゃくちゃ分かりづらいけれども、はるか遠くに城が見える。

調べてみると、どうやらこれは関宿城跡という施設らしい。なるほど、ここには城があったのだ。川に囲まれた先っぽだし、なんとなく要所っぽいものな。つまり、これが出てきたということは、ついに千葉県の鼻先に到達したということだ。地図で表すとこんな場所らしい。

ついに千葉県の先っぽに到達した。といっても、あの城はまだまだ先にあるので、まだまだ歩いていかねばならない。

海から59 km。ずいぶんと遠くまで来たものだ。太陽は完全に夕暮れのそれに変わり果てていた。

完全に太陽が沈む。千葉の鼻先に到達する直前でこんなことになってしまった。非常にヤバイんだけど、非常に美しい夕暮れだ。

なぜか、城跡に到着すると無骨な重機みたいなものが展示されていた。表記を見るに、建設省時代のものらしい。おそらく川砂を掘る重機なのだと思う。ここ千葉の鼻先は江戸川と利根川が分かれる分岐点がある場所で、分岐点だけに砂が溜まりやすい。それを掘って取り除く重機じゃないだろうか。なんにせよ、こういう展示が出てきたということは分岐点、千葉の鼻先が近い。

アフリカのサバンナみたいな写真が撮れてしまった。なんということだろうか。千葉の鼻先はサバンナだったのだ。

さて、ついに千葉県の鼻先に到達したのだけど、ここで特に城跡を見ることもなく、堤防から降りて河川敷部分を歩いてみた。何の変哲もない草むらと道路の写真と思うかもしれないが、ここには衝撃的な事実が示されている。どうか心臓を叩いたうえで聞いて欲しい。

まずはこちらの地図を見ていただきたい。

言うまでもなく千葉の鼻先の拡大図、今いる場所の地図なのだけど、衝撃の事実が示されている。わかりやすいように拡大してみよう。

あーーー! 陸地に県境がある!

そう、ずっと江戸川上を走っていた県境の点線が、突如としてカーブしてきて陸地にかかっているんですよ。そして、それがこの位置なんです。

これは完全に陸地にある県境でしょ。千葉県の県境は陸地にもあるって証でしょ。

※編集部追記 埼玉県と表記されている部分は実際には茨城県です

さらに進んでいくと、ここにもしっかり県境がある。

いやー、これは完全に陸地にある県境でしょ、って思ったのですけど、やはりここは川の中なんですよね。立派な道路があると言っても堤防下の河川敷ですから、例えば川が増水したら川の中になってしまうわけです。

というか、ここはおそらく川だったんでしょう。ただ、川が分岐するポイントなので、先ほどの重機からも分かるように、ここに砂が溜まっていった。そしてこんな陸地ができたんじゃないでしょうか。

※編集部追記 埼玉県と表記されている部分は実際には茨城県です

おまけに、やはり県境というと「ここから千葉県だぜ」「おいでませ千葉県」みたいな看板とか表記があるべきなんですよ。そういう物がないとちょっと地図の妙みたいなイメージは拭えません。

ということで、ここでの県境は三角印、陸地の県境としてはちょっと微妙、ということでどうでしょうか。

夕暮れに浮かぶ城が美しい。

まだまだ県境監視の旅は続くけど、真っ暗になってしまったので監視もクソもなく、ただただ暗闇の堤防を歩き続けました。

途中、ちょっと町の方に降りてみたら、闇の中から突如として巨大なカエルの石像が現れて、驚きすぎて腰が抜けるかと思った。

といったところで1日目の旅はおしまい。

旅の行程はこちら。

総移動距離 70.65 km 

ついに千葉の鼻先に到達し、江戸川に別れをつげて利根川になったものの、まだまだ先は長い。果たして2日目で銚子市に到達できるのか。陸地の県境はあるのか。不安な気持ちを抱えながら2日目に続く!

2日目

千葉県野田市

めちゃくちゃ足が痛い。けっこう積極的にワープを使っていたので、そこまで歩いていないと思うのだけど、それでもこの痛さだ。おそらく編集部の言葉どおり、歩く取材をしてこなかったツケが来ているのだろう。

さて、昨日は千葉の鼻先に到達し、なんとか陸地の県境と思われる地点を確認した。けれども、そこは相変わらず川の中だったし、あまり県境的なものではなかった。つまり納得いくものではなかった。ということで、引き続きしっかりと監視を続けなくてはならない。

鼻先を通過したことにより、パートナーとなる県境川が江戸川から利根川に変わった。

昨日は暗くて確認できなかったが、しっかりと利根川である。

利根川とは日本最大の流域面積を誇る川である。長さも信濃川に次いで2位となっている川だ。とにかくでかい。銚子の河口までまだまだ距離があるというのに、この段階で川幅が広い。とんでもないスケールと言わざるを得ない。

さて、ここまでずっと県境を見張りながら千葉県側を歩いてきたのだけど、ここで編集部の指示により橋を渡ることになった。つまり、対岸の茨城県側に行くことになったのだ。そうか、見張る川が利根川に変わると、県境の向こうも茨城県に変わるのか。

芽吹大橋、千葉県野田市と茨城県坂東市を結ぶ橋のようだ。かなり立派な橋だが、昭和33年に完成したらしく、かなり古くなっている。この先が茨城県だ、なんだかワクワクする。

茨城県坂東市

遠くから見ると歩道のない橋のようにみえて、また歩行者を労わる気ゼロの地獄のような橋かと恐怖したが、近づいてみると車用と歩行者用で橋が分かれていた。これは安心。

やはり、かなり年季の入った橋だ。車用の橋の方はガンガンとトラックとか走っているが、こちらのほうはまったくもって誰も使っていない。

おっと、こんなところにしっかりと県境の表示があった。きっちりと橋の中間地点にこの表示があったので、やはり川の中心が県境なのだろうと思う。

たぶんこんな感じ。

橋を渡り切り、茨城県入りする。こんどはこちら側の川沿いを県境を監視しながら歩いていく。

先ほど渡ってきた橋がこれ。かなり長い。

川沿いの景色は千葉県側も茨城県側もそう変わらない。右手に川を見るか左手に川を見るかの違いでしかない。淡々と歩いていく。

海から104キロらしい。昨日の江戸川では、海からの距離がすなわち移動してきた距離だったが、今日はもう利根川に変わっている。つまりこの表記は河口までの距離ということだ。つまり、ここから104キロ川が続く。長い。遠い。これは今日中に終わらないだろ、どこかで大胆なワープを決めるしかない。

ちなみに、茨城県に入っても薄っすらとだけど富士山が見える。すごいな、富士山。日本中どこからでもみえるんじゃないか。

足、いてえなあ、もうゆっくりとしか歩けないよ、と思いつつ堤防の道路を歩いていると、はるか後方で異常事態が巻き起こっていた。

利根川に入ってから基本的に生身の人間に遭遇していないのだけど、はるか後方に初の利根川人間として犬の散歩をするおっさんが登場してきた。おそらく下の集落に住んでいる人で、日課の散歩なのだろうけど、その連れている犬がケルベロスのごとき勢いで猛り狂っていた。

完全に獰猛な犬なのだけど、まあ、はるか後方なので安心だろうと思っていたら、そのケルベロスの慟哭が異常なスピードで近づいてくる。ちょいちょい振り返って確認するたびに、おっさんとケルベロスの姿が大きくなっている。おっさん、ちょっと小走りになってた。明らかにおかしいペースで近づいてくる。散歩というより狩りみたいな動きだった。誰を狩るんだ。僕か!?

冗談じゃない。あんな魔犬に喰われてたまるか、とこちらもペースアップする。それでもおっさんとケルベロスはどんどんスピードアップする。気が付くと、足が痛いのに、猛ダッシュで逃げる僕、おいかけるおっさんとケルベロス、という訳の分からない状態になっていた。

それでも、しばらくするとケルベロスは堤防の下へと降りて行ったので、ホッと安堵した。茨城県に入ったらこれだ。ほんと、恐ろしい場所だよ。

安堵しつつ、呼吸を整えながら歩いていると、河川敷に瓦礫みたいなものが積みあがっている光景を目にした。おそらくではあるけど、昨年の台風か豪雨の時に増水して、樹木にひっかかってたまった瓦礫だろうと思う。

利根川は、日本三大暴れ川に挙げられるほど洪水や水害が多いとされた河川だ。実際に洪水が起こるとああいう状態になるんだなあとゾッとした。

ただ、歩いていると、それ以上にゾッとする光景が目の前に広がっていた。

これである。

なんてことない光景じゃん。堤防上の道、普通じゃん、というひとは反省して欲しい。これぞ僕が一番恐れていた光景だ。

そう、なんと、川と共に伸びていた通路が、通路だけ左に曲がっていったのである。では、そこには何があるのか。図解をするこうなる。

どうやらここ、飯沼川との合流地点のようなんですけど、その合流地点にかかる橋がない。どう好意的に解釈しても橋がないんですよ。するとどうなるか、飯沼川の上流まで行ってそこにある橋を渡らないといけないわけなんですよ。

調べてみたら、上流の橋まで3kmありました。地獄かこれ。

しかも橋を渡ってそれで終わりではなく、同じ距離を下って利根川に戻ってこなくてはならないですからね。計6kmです。地獄かこれ。

ただ川を渡るだけで6kmの遠回り。普通に歩くと人は1時間に4km歩きますから、単純計算で1時間半のロスです。地獄かこれ。

それでも、泳いで渡るわけにもいかないので、泣きそうになりながらも歩くしかありません。

ただでさえ大回りのルートなのに、さらに突如としてゴルフ場が登場してきて、ダメ押しの大回りをさせられるので、県境を見張る人の気持ちも知らないで呑気にゴルフしやがって、と意味不明な怒りが沸き起こりつつあった。

なんだよ、飯沼川って、川なのか沼のかはっきりしろよ、とよく分からない八つ当たりをしつつなんとか上流の橋へと到達しました。ガチで1時間近く遠回りした。心が折れそう。

ちなみに、飯沼川も市の境になっているらしく、この橋を超えると茨城県坂東市から常総市になります。

茨城県常総市

鬼門である飯沼川を渡り、利根川に向かって歩いていると、車を停めて写真撮影している人がいた。はるか遠くにまだ富士山が見えるらしくそれを撮影している。すごいな、富士山。みんな富士山のこと好きすぎだろ。

利根川へとつづく真っすぐな道を歩く。すると、予想だにしない光景が目に飛び込んできた。

なんだこれ!?

それは、もう利根川に到達するという場所で突如として現れた。

これ県境じゃないの!? え!? 県境じゃん。県境!?

思いっきり陸地の県境があるじゃん。しかもこの県境表示、なんか真新しい。

地図でみるとこんな感じ。なぜか茨城県側にポコッと千葉県が入り込んでいる。その境がしっかりと県境として提示されている。

っていうか、なんでこんな千葉県が侵食してくることになっているんだろう。

実際の風景に県境を入れ込むとこんな感じになる。ぽこっと茨城県に侵略してきた千葉県だけど、その中に人が住んでいる集落があるというわけではなく、そこにはただ畑があるだけだ。

ただ、こういう形状で県境があるということは、もう一つ、同じような千葉県から茨城県に戻る県境があるはずだ。そこまで歩いてみよう

千葉県野田市

茨城県に侵食している千葉県、その中に牛が放牧されている一角があった。ただ、この部分には牛が生活するような施設はなかったので、おそらく茨城県から毎日ここに運ばれてきているのだと思う。もしかしたらこの牛たちは日本一、県境を移動する牛なのかもしれない。

侵食してきた千葉県内を順調に歩いていると、突如として行き止まりが出現してきた。これだから川沿いの道は恐ろしい。おそらく、調整池がある関係で、水の出入りのためにここで堤防が途切れるのだと思う。こりゃ、また遠回りか。

一瞬だけ危惧したけど、行き止まりのすぐ横には河川敷に降りる階段があったので、そこから降りて河川敷を通過していく。ヘドロみたいなのが堆積している場所を通過する必要があるらしく、なかなか過酷な感じになってきた。

この部分が堤防より少し低い堰のようになっていて、調整池に水が入るようにしているんだと思う。逆に言うと、洪水時はさっきの侵食してきた千葉県部分がほとんど水に浸かるんじゃないだろうか。そうやって利根川の水位を調整するわけだ。だから調整池。もしかするとこの調整池で水に浸る区域がそのまま侵食している千葉県になるのかもしれない。

なんとか、逆側の堤防まで上ることができた。

そして、逆側の県境もしっかりと登場してくる。2つめの明確な陸地の県境だ。

千葉県はしっかりと、明確に陸続きで、陸地の県境があったのだ。

ちなみに海まで100キロを切った。

茨城県守谷市

県境を越えて再度、茨城県に入ると常総市から守谷市へと変わる。

なんだよ、ちゃんと陸地の県境あるじゃねえか、けっこう衝撃だな、と思いつつ歩いていると、即座にそれ以上に衝撃的な光景が目に飛び込んできた。

ちょっとわかりづらくて申し訳ないが、まっすぐかと思われた道路が、はるか先でググっと左側にカーブしている。大きくカーブしている。僕はこの不自然なカーブに記憶がある。忌々しい記憶がある。けっこう真新しい記憶がある。

地獄かよ。

また、利根川と鬼怒川の合流があるらしく、これまた3km上流にいくまで橋がないっぽい。地獄かよじゃない、明確に地獄だ。

また合計6kmの遠回りだけはなんとしても避けたい。そこで考えましたよ。みなさんはちょっとこちらの地図を見てください。

そう、橋を目指すために川から離れるならば、そこからバスによるワープを目指せばいいのです。川沿いはなかなかバスが望めませんが、3kmも上流にある橋の付近ならかなり可能性が高くなります。なにせそこを通るしかないので、絶対に大きな道路です。そこには必ずバスがある。

さらに、位置関係から考えるに、そのバスは「守谷駅」行きである可能性が高い。つまり、あまり川から離れることなく移動できるわけです。そして、そこから鉄道に乗って一気に取手駅を目指す。これもまあ、あまり川から離れない路線。そう、一気に大ワープできる可能性がある。

つまり、大回りが余儀なし! みたいなピンチと見せかけて、それを大ワープのチャンスに変えるのです。ピンチをチャンスに変えるのです。

そうと決まれば橋を目指して歩くのみ。

トボトボと歩いていると、やたら攻撃的なエンジン音が響き渡ってきました。なんだろうと上空を見てみると、赤い飛行機が颯爽と飛んでいました。どうやら、なかなか本格的な航空機ラジコンのようで、みるからに高価なんだろうなってものがブンブン飛んでました。川沿いにはいろいろな人がいるね。

北海道あたりではそう珍しくないけど、ここまで延々と真っすぐな道路を見ることは、関東ではなかなか珍しい。

よくよく見ると、河川区域図なる看板があって、しっかりとこの辺の一部分は千葉県野田市だぞって地図付きで案内されていた。

死ぬ思いをしながらなんとか上流の橋に到達。思った以上にしっかりとした橋だ。予想した通り道路もでかい。

これが忌々しき鬼怒川だ。

さて、僕の予想が正しければ、橋を渡ってすぐの場所にバス停があるはずだ。若干、希望的予測ではあるけど、間違いではないはず。きっとバス停はある。

あった。

しかも守谷駅行き。完全に予想通りだ。怖いくらいだ。こういった旅ばかりしていると、こんな勘ばかり研ぎ澄まされてくるのだ。

バスに乗って守谷駅を目指す。はるか向こうに見えるあの建物、歩いているときにすごく遠くに見えていた建物じゃないかな。ワープってすごいな。一気に進めてしまう。

守谷駅に到着。予想していた以上に大きくて立派な駅だし、なにより駅周辺も栄えている。めちゃくちゃ人がいて何やらイベントをやっている感じだった(1月下旬の取材です)。

守谷駅はつくばエクスプレスの駅と関東鉄道の駅があるようなのだけど、取手を目指すために関東鉄道の方を利用する。

駅の外観は近代的で真新しい感じだったのに、中に入るとレトロな雰囲気の駅だった。あと、異様に暗い。

こんなホームで取手行きの電車を待っていたら、なぜかホームにいた女性が踊りだした。おそらく、ヘッドホンで聞いているご機嫌なナンバーに身を委ねる形で、ついつい踊りだしてしまったのだろうけど、なぜかそれを見ていた無関係そうな青年まで踊りだした。

これはもしかしてフラッシュモブが始まるのでは!? みんなが次々に踊りだして、その中に幸雄(だれ?)の姿もあって、幸雄がプロポーズしてくるわけですよ。道子(だれ?)も両手を口に当てて驚きの表情。小さく頷く。また狂ったように踊りだす民衆。幸雄と道子を取り囲むようにして踊るその姿は、まるで花びらのようでもあった。

ということが始まると思ってある程度覚悟していたのですが、何事もなく、中途半端な感じで女性も踊るのをやめ、そのうち電車が来ました。なんだったんだ。

茨城県取手市

11:51 取手駅

取手駅までワープしてきたところで、ここまでの経路はこちら

総移動距離 108.77 km

取手駅に来たのはいいものの、早めに川を目指し、千葉県側に移動する必要がある。なぜならば、2度苦しめられ大回りを余儀なくされた「川の合流」だ。あれは、よくよく考えると茨城県側だから起こった惨事だ。

大きな川は、茨城県よりさらに北の方の山から流れてくるわけだ。それらが利根川に合流していく。そうなると、合流地点に橋がなくて大回りとなるわけだ。

逆に考えると、千葉県側は房総半島以外は山がほとんどないので、そこまで大きい川が利根川に流れ込むわけではない。つまり、利根川の茨城県側はめちゃくちゃ合流があるけど、千葉県側はそんなにない。そういうことだろうと思う。

取手駅から利根川は比較的に近いみたいで、歩いていたらすぐに川にかかる橋に出た。いつのまにか川幅はめちゃくちゃでかくなっているし、河川敷も広くなっている。さらに、その河川敷ではずらりと並んだおっさんたちによってゴルフの打ちっぱなし練習が行われていた。

久々の利根川だ。めかなり川幅が広くなっている。向こうにかかる橋は常磐線が通る橋だ。

千葉県我孫子市

死ぬほど長い橋をなんとか歩き終えて久々の千葉県入りとなった。

ちなみに、千葉県側の河川敷でもめちゃくちゃゴルフの打ちっぱなしやっていた。両サイドで狂ったように打ちっぱなしていたし、千葉県側なんてその奥にゴルフ場まである。江戸川沿いでは狂ったように野球やっていたけど、利根川沿いは狂ったようにゴルフをやっている。その辺は文化の違いなのかもしれない。

呑気にゴルフしやがってと怒りながらゴルフ場を横目に眺めつつ、いやいや、呑気にしてるわけじゃないだろ、言いすぎだろと、思い直してまた堤防の上の道を歩いていく。

本当に呑気にゴルフしやがって。

しばらく歩くと、異様なものが視界に飛びこんできた。

あれ? なんだ?

よく分からない看板表示が出現してきた。遠くて分からないけれども、もしかするともしかするぞと急いで駆け寄る。

うおおおおおおおおおおおお。県境だ! 県境だ!

千葉県側を歩いていたのに、突如として茨城県になった! 陸地の県境だ!

なんでこんなことになっているのか、地図で見るとこんな感じだ。

えらく大胆に取手市が侵食してきている。おまけに、さきほどの千葉県の侵食地帯は畑と牛しか存在しなかったけれども、今度はこの侵食領域にバンバン車が通る道路があるし、人も住んでいる。

茨城県取手市

県境なので、逆から見るとこんな表示もある。

完全に県境だこれ。陸地の県境だ。

ローソンまである。このローソン、利根川の千葉県側にあるのに、しっかりと「取手小堀店」になっている。

侵食してきた取手市内には、航空専門学校まである。学校関連で何となく思ったのだけど、例えばこの侵食地帯の中に小学生とかいたらどうなるのだろうか。住所的には茨城県取手市なので、取手市の小学校に通うべきだ。けれども侵食地帯内に小学校はない。越境して我孫子市の小学校に通うのか、はたまた僕が歩いてきた橋を渡って取手市の小学校に行くのか。それはめちゃくちゃ遠い。

ただ、侵食地帯内には渡し船があるようで、これが今でも絶賛運行中だ。これによって取手市の本体とのつながりがあるので、通学に利用するのかもしれない。

ただ、ごみの収集はどうなってるのか、水道はどうなってるのか、疑問が尽きない。

では、どうして県境がこんなことになってしまっているのか。なぜ茨城県が侵食してきているのか、調べれば簡単に分かることだろうけど、あえて調べず、現地で感じた雰囲気から予想してみる。

まず、県境から眺めたこの風景を見て欲しい。これは利根川とは反対方向なのだけど、こちら側にも水面が見えると思う。どうも、この水面に向かって県境が伸びている感じだ。書き入れるとこんな感じ。

地図をみると分かりやすい。

完全にこの湖というか沼と県境が一致している。そして、その沼の名前が「古利根沼」だ。これはもう、名前の通り、かつてはこの沼が利根川だったんだろう。そう、はるか昔は変わらず利根川に沿って県境があったということではないだろうか。

こんな感じ。

ただ、川が曲がっているというのはかなりのリスクだ。それに利根川は三大暴れ川に挙げられるくらい洪水の多い川だった。洪水時は川が曲がっているところから削れていく。かなり被害も大きかったんじゃないだろうか。

だから、川を真っすぐに直した。新たに掘り、埋め立てて今の形にしたのではないだろうか。ただ、川を直したのはいいものの、県境を変更するのはそう簡単な話ではない。結果、川の流れが変わったのに県境だけはそのまま残された、ということではないだろうか。

千葉県我孫子市

もちろん、侵食地域なので、先に進んでいけばまた県境があって、千葉県に戻る。

総移動距離113.47 km

さて、ここまで移動経路を見て欲しい。そして、これからの行程を見て欲しい。そう、めちゃくちゃ先が長い。銚子の先っぽまで行かなければならないので、気の遠くなる長さだ。下手したら、ワープを駆使して1日半かけたのに、まだ半分にも到達していないのかもしれない。そして制限時間はあと半日しかない。

もう陸地に県境があるのわかったし、あとは銚子までワープでいいのでは? と思ったがさすがにそういうわけにはいかない。そこで、陸地に県境がありそうな場所をピンポイントで攻めようと思う。それがここだ。

これ絶対になんかあるでしょ。これを確認しないとダメでしょ。よって、この近くの駅まで一気にワープを決め、ここを確認しにいくことにした。

具体的には、ここから歩いて「湖北駅」まで行き、「成田駅」を経由して「佐原駅」までワープする。途中、ちょっと「あまり県境から離れないこと」ルール的に怪しいゾーンがあるが、まあ、そんなことは編集部に黙っておけばいい。川から離れていないと自分で判断して完全に合法である。

途中、完全に山越えだろみたいな過酷なルートを経て「湖北駅」へ到達。そこから列車を乗り継いで「佐原駅」へと到着した。

千葉県香取市

これまでは淡々と利根川を下っていったのだけど、今度は気になる地点を確認するためにピンポイントで移動するので、逆方向に歩いていかねばならない。それも、魔の茨城県側に行かねばならない。

地図で見ると近いように感じるかもしれないが、これはもっと早い段階で言うべきことなのだろうけど、あえてここで言わせてもらうと、こう、近そうに見えるじゃん、これ歩くとめちゃくちゃ遠いから。本当に、遠いから。これ、歩くと遠いのよ。マジで。

文句ばかり言っていても始まらないので歩き始める。佐原の町は大きな道路沿いを中心にけっこう栄えていた。とりあえず、茨城県側に渡る橋を目指す。

ヒーヒー言いながら歩くと、やっとこさ利根川に到達した。おそらくこの画像に見える対岸の、ちょっと奥の方に県境がある。

ここでは川の真ん中に県境があるので、橋の途中で茨城県稲敷市に変わった。

茨城県稲敷市

橋にもちょろっと県境表示がある。

イヤッホー! 千葉ああ! みたいなノリでジェットスキーに乗っている人がいた。イヤッホー! 千葉ああ!みたいなノリだが、これに県境を入れ込むとこうなる。

一貫して茨城県側で遊んでいる。

茨城県側に渡り、問題の地点を目指して歩き続ける。ずいぶんと日が傾いてきて夕暮れの雰囲気が出てきたが、それでも歩き続ける。

ここまで連続で陸地の県境らしい県境が登場してきた。ここにもアッと驚く県境があるはずだ。

そしてついに問題の個所に到達した。

どうやら、県境の場所には公園があるっぽいのだけど、なんというか、県境らしい表示が一切なかった。けっこう車が通る道路もあるのに、さっきの県境みたいにはなっていない。ここに県境があるなんて嘘なんじゃないかという佇まいだ。

僕の見立てが正しければ、こういう感じで斜めに県境があるはずなのに、何の変哲もない感じだ。公園内も二つの県にまたがってる公園のはずなので、そういった表記があると思ったが、全くもって存在しなかった。ちなみに、この公園がある場所、ここもスーパー堤防らしい。

おかしい、何か県境らしい何かがあるはずだ。何かあるはずだ。何もなかったら来た意味がないじゃないかと悶絶しながら探しましたよ。

あった。

ラジオペンチでしょうか。なんでこんな場所に落ちているのか分かりませんが、なぜか県境にまたがって落ちてました。たぶんこういうことでしょう。

もうこういうことでいいよ。よく見たらラジオペンチも2つで1つみたいな構造だし、日本で唯一、県境にあるラジオペンチでいいよ。

さて、このあたり一帯も、おそらく昔は川が曲がっていたのでしょう。そこに堤防を築いて川を真っすぐにした。そして県境だけがかつての川の形に残ったということではないでしょうか。

さて、ここから先ほどの橋の場所まで戻ります。なぜかというと、ずっと利根川と共にあった県境ですが、なぜかここで突如としてバグります。

何をトチ狂ったのか、県境が突如としてカーブして、小さな川に入っていきます。そしてそのまま川を通って常陸利根川が県境になっていきます。そう、こうなったらそれを見届けなければならない。

これね、地図で見ると常陸利根川までけっこう近いじゃんって思うかもしれませんけど、この際だから言わせてもらいますけど、これ、歩くとめちゃくちゃ遠いですからね。ほんと、遠いですからね。

小さな川に出た。県境を担ってるとは思えないか細い川だ。横利根川というらしい。

それでもしっかりと県境が通っている。

この横利根川と共に県境を監視しながら歩き続ける。

めちゃくちゃ日が暮れてきたけど歩くしかない。常陸利根川を目指すしかないのである。足が痛かろうと歩くしかないのである。県境とはなんと過酷なものであろうか。

そんな感じでトボトボと歩いていると、謎のコミュニティバスがやってきた。はっきり言って大チャンスである。たぶん、バスのルート的にこの横利根川に沿って運行するはず。

乗り込んでみると、僕以外に乗客はいなかったので、どこまでバスに乗れるか運転手さんに訊ねてみた。

「すいません、このバスって県境から離れていきますか?」

「はあ?」

「いや、この川って県境ですよね」

「ああ、そうだね」

「その県境からこのバスが離れていかないのかなって思って」

「そんなこと考えたこともなかった」

確かにその通りだと思う。ここで暮らす人はここに県境があって当たり前なのだ。

「実はずっと県境を監視しながら浦安から旅してきまして、県境からあまり離れると困るんです」

「なんでそんなことを?」

「(それは僕にも分からない)」

結局、バスは県境から離れていくらしいので、1区間くらいしか乗れなかった。

バスを降りて歩き出す。もうすっかりと日が暮れてしまった。暗くなると県境もクソもなくなるのでかなりのピンチだ。

もう完全に日が暮れてしまったが、ついに常陸利根川に到達した。ここからしばらく、この常陸利根川が県境を担っていく。この水門みたいなところで横利根川と常陸利根川が合流しているので、県境はこんな感じになる

千葉県香取市

完全に日が暮れてしまって深淵なる闇を歩いているのだけど、こちら千葉県側はポツポツと民家がある程度だが、向こう側の茨城県側は大きな道路が通ってそうで、煌びやかで明るい。

というか、いままでさんざん堤防の上を歩いてきたのに、ここは堤防がないんじゃないかってレベルで低い。すぐそこに川の水面が見える。

延々と歩いたけど、ガチで暗闇だし、多分、県境があっても何もなさそうだし見えなさそうなので、ここから駅を目指して行って一気に銚子までワープすることにした。

ちなみに、この先はけっこうな勢いで県境がバグる。常陸利根川から利根川に移動するのにところどころで陸地を通るようだ。

こんな感じ。けっこうな勢いで陸地に県境がある。でもまあ、いいんじゃない。地図で確認すれば。

千葉県銚子市

というわけで、ついに銚子駅に到達した。長かった。

ちなみに、銚子駅から利根川の河口まではそこそこに距離があるので、痛い足を引きずりながら最後の気力を振り絞って歩いた。

利根川、めちゃくちゃでかい川になっとるやんけ。

県境を書き入れるとこんな感じ。

ちなみに、GoogleMapで見ると、

https://www.google.com/maps/place/%E9%8A%9A%E5%AD%90%E9%A7%85/@35.7359057140.830612315.15z

なぜか利根川の途中で県境が終わってるので

こんな感じ。

これにて、千葉県、県境監視の旅、おしまい。

まとめ

旅の全行程はこちら

総移動距離225.44 km 

・千葉県は孤島ではなかった。陸続きの県境は複数存在する。

・中には思いっきり県境として表示されている場所もあるが、そっけなく存在する場所もある。

・ラジオペンチが県境にまたがって落ちている場所もある。

・川と県境がずれている場所は、かつてそこが川だった可能性が高い。

・江戸川は野球、利根川はゴルフが盛んである。

・久々の歩き取材はこたえる。

・千葉の県境は総延長が200 km以上あるので、とても2日では移動しきれない。

・なにも歩いて県境を監視しなくとも、地図を見ればだいたいわかる。

以上のことが分かった。いいか、千葉県はしっかりと陸続きだぞ。

おわり。

ライター:pato

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