布団とは「ほどよく仲良く」。快眠のための夜の過ごし方7【睡眠専門医が指南】
なかなか寝付けず、布団のなかで悶々としたり、眠りが浅くすぐに目が覚めてしまうことが続いても「歳だから仕方がない」とあきらめていませんか? 実は寝るまでの夜の過ごし方を少し変えるだけでも快眠につながることはたくさんあります。今回はそんなポイントを睡眠専門医の渥美正彦(あつみ・まさひこ)先生に教えていただきました。
照明、入浴... 夜 は「整える時間」に
(1)夜ふかし15分
不眠になると、睡眠時間を多く確保しようと少しでも早く布団に入りたくなりますが、これは逆効果。結局眠れず、布団の中で苦しむ時間が長くなってしまいます。少し遅めに布団に入ることにより、布団に入ってから眠りが訪れるまでの時間を短縮することができます。特に寝つきが悪い「入眠障害」に効果的です。
(2)21時以降はムーディー照明
これも特に「入眠障害」の人におすすめの習慣。光のコントロールは、快眠にはとても重要です。私たちの体は、夜に暗くなってから少なくとも2~3時間経過すると、眠気を感じるようになっています。だいたい21時以降は照明を暗めに調節し、夜になったことを体内時計に教えてあげましょう。入浴時の間接照明もおすすめです。
(3)カフェインカット6時間
コーヒーに多く含まれるカフェインは、睡眠に大きな影響を与える物質です。強い覚醒作用があり、体に取り込んでから短い人で約3時間、長い人で約7時間、覚醒作用が持続し、眠りを妨げます。緑茶、紅茶、ウーロン茶、エナジードリンクなども同様です。アルコールやタバコも同じ理由で夜は控えるのが理想です。
(4)悩みは明日の私にプレゼント
考え事などをして布団の中で悶々とするときは、紙に書き出しましょう。頭で考えるより言語化する方が気持ちが整理されることがあります。書いた紙は枕の下に入れ、明日の自分へのプレゼントに。夜は前頭葉の機能が低下してネガティブな思考になりがちなので、翌朝見ると意外と大したことなかった、なんてことも。
(5)スマホのアプリも味方
スマートフォンは、上手に使えば快眠の助けにも。渥美先生は睡眠を計測・記録するゲームアプリ「Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)」を活用しています。睡眠を計測してデータを蓄積することでポケモン達の寝顔を集められる他、睡眠計測中に届いた連絡に応じようとすると「計測中」と表示される機能も。「いま睡眠中であることを思い出させてくれ、睡眠に専念できます」
(6)2時間前入浴
スムーズな入眠には、内臓の温度(深部体温)をコントロールすることが有効。湯船に入って深部体温を上げ、入浴後約60~90分経過して深部体温が低下し始めると、眠りやすい状態に。40℃前後のお湯にゆっくり入りましょう。熱すぎるお湯は皮膚が刺激されて交感神経の働きが高まり、逆に目がさえてしまいます。
(7)布団とはほどよく仲良く
眠れないときは、思い切って布団から離れ、場所を変えましょう。渥美先生曰く「人間関係と同じく、ベタベタしすぎるのはよくありません」。また、布団は何かをするところでなく、「眠る場所」として体に覚えさせることも大切。眠れない状態でずっと布団にいると、布団が「目が覚める場所」として認識されてしまいます。
※この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2025年10月号に掲載の情報です。
構成・取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/来迎純子