<ビックリ!遺品ハイエナ>親戚たちが群がり争奪戦……!?義祖母の家を整理するために【まんが】
私は50代のミカです。結婚したあと夫の地元に引っ越してもう十数年が経ちます。近所には親戚が多く、歩いているだけで声をかけられるなど普段から付き合いが密です。冠婚葬祭にもしょっちゅう呼ばれるので、もう何度参列したことか……数えきれません。ただ私が知っているやり方とあまりに違うので戸惑うこともあります。これからお話するエピソードは、私が今まででいちばんビックリした夫の地元での風習です。
義両親と同居していた90代の義祖母が亡くなり、葬儀の数日後のことです。義母に頼まれて遺品整理のお手伝いをすることになりました。義実家へ行くと、義祖母の遺品がところせましと置かれていました。しばらくすると、どこからともなく人がたくさんやってきて……。
品評会さながら、ウキウキした雰囲気の親戚たち。義祖母が亡くなったばかりだというのにとても楽しそうにしています。あっけにとられる私を見て、義母が「親戚の恒例行事」だと教えてくれました。ある親戚は壁からはずして賞状をそこらへんにぽいと捨て、額縁だけ持って帰っていきました。「まさに争奪戦だったわね……ほんと遠慮のかけらもないわよね」親戚たちがいなくなると、義母はため息をつきながら言いました。義母自身も昔、遠方から嫁いできて、初めてこの光景を見たときはとても驚いたのだそうです。
私は実家の母と電話をしたとき、遺品整理の様子を話しました。遺品の争奪戦が、夫地元での恒例行事となっていることを話します。「好きなものを好きなだけ持っていっていいんだって。びっくりだよね」「考えようによっては合理的かもね……みんなで遺品を役立てれば、故人も喜ぶと考えているのかもしれないわね。あまりイメージはないけれど……」
すると母にこんなふうに言われ、私は思わず苦笑します。「それって、遺品整理とか形見分けっていうより……」
義祖母の遺品にハイエナのように群がり、根こそぎ持っていった親戚たち……。これまで抱いていた遺品整理のイメージとのあまりのギャップに驚かされます。故人の持ち物をいただくときは、ありし日をしのんでしみじみ行うものだと思っていましたが……。あまりに衝撃を受けた私は、しばらく遺品争奪戦の光景が脳裏から離れませんでした。
故人をしのぶ方法は人による!義母の「形見分け」は私なりに
「気持ちはわかるけど……少しでも物を減らさないと。業者に処分してもらうのもお金がかかるし」そう夫に言われ、私は仕方なく折れました。そして後日、夫は「遺品整理する」と親戚たちに声をかけたのでした。時間になると待ってましたとばかりに、大勢の親戚がわらわら義実家に入ってきました。みんなわれ先にと、価値がありそうなものに目をつけています。めぼしいものを見つけては……。 「これ私の!」「これもいいな」と大盛り上がりです。
「え……まずはお悔やみとか言うもんじゃないの?」分かってはいても、目の前で繰り広げられる遺品争奪戦に少々いたたまれない気持ちになります。義母には申し訳ないけれど……。ここにいる親戚にとって遺品整理は「ほしいものを無料で得られるチャンス」でしかないのかもしれません。やがて親戚たちはそれぞれの車に大量の遺品を積み込んで去っていきました。
これで良かったのかは分かりません。ただ遺品の量はかなり減ったし、一気に片付くメリットも確かにありました。その後わずかに残ったものは業者に処分を頼み、義実家の片づけは終わりました。
私は親戚一同の争奪戦がはじまる前に、スカーフをそっと1枚だけいただいておきました。これは義母が晩年よく首に巻いていたものです。私にとってはこれがいちばんしっくりくる「形見分け」のかたち。優しかった義母をしのびながら、今でもたまに使わせてもらっています。