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復興支援という新たな役割を担う「SSTR2024」への想いを冒険家 風間深志氏に聞いた

MOTOINFO

ゴールの千里浜なぎさドライブウェイ(石川県)を目指して全国津々浦々からライダーが集結するビッグイベント「サンライズ・サンセット・ツーリングラリー(SSTR)」の当初の開催予定は2024年5月18日(土)~26日(日)で、2024年1月からエントリー受付が始まる予定でした。しかし2024年1月1日に発生した能登半島地震の影響から、開催日が再考されることに。


そして先ごろ、10月5日(土)〜20日(日)での開催が発表されました。この大地震の被害から再び立ち上がる能登半島の復興支援を担う「SSTR」は、千里浜なぎさドライブウェイにやってくる全国のライダーにどんなことを伝えたいのか。主催者である冒険家 風間深志氏(以下、風間さん)にお話を伺いました。


風間 深志

オートバイ冒険家 / SSTR総合プロデューサー / 石川県観光大使



1950年生まれ、山梨県山梨市出身。


二輪専門誌の編集者を経て、オートバイ冒険家として日本人初のパリ・ダカールラリー出場や、史上初めてオートバイによる北極点および南極点到達など、数々の偉業を達成した。現在はSSTRの総合プロデューサーとして活動するほか、野外遊びを通じて自然への理解を深めることを目的とした「NPO法人 地球元気村」の代表も務める。

SSTRとは

SSTRは風間さんが発案したツーリングイベントです。ルールは、日本海と反対側の海岸を日の出とともに出発し、日没までに国内で唯一砂浜が公道になっている能登半島の千里浜の特設会場を目指して走るというもの。つまり、ライダーは各々が決めたスタート地点から石川県・千里浜という共通のゴールを目指します。


ただし、途中道の駅や高速道路のサービスエリアなどに立ち寄ることで、規定のポイントを獲得しなければなりません。基本的にルートは自由ですが、こうした最低限のルールがあることで、ツーリングにイベント性が加わります。そして、水平線から上る太陽とともにスタートし、日本海へ沈む太陽を見ながら砂浜を走る……この経験が他にはない感動を生み出すのです。


SSTRがはじめて開催されたのは2013年で、参加台数は約130台。翌年は約550台で、さらに翌年は約1000台と、年を追うごとに参加者はどんどん増えました。そして昨年(2023年)は約12000台の参加を記録し、すでにエントリーを締め切った今年は約14000台の参加を予定しています。今や国内随一の規模を誇るバイクイベントに成長しました。


SSTRの特筆すべきポイントは他にもあります。それが地元自治体や地元住民との連携・歓迎です。バイクイベントというと、どうしても拒否反応を示す人がいることは否めません。しかし、風間さんは開催当初から羽咋(はくい)市や宝達志水(ほうだつしみず)町をはじめ、石川県の各所に足繁く通い、関係者や地元の住民との信頼関係を築いたといいます。今では多くの地元住民がボランティアスタッフとしてイベント運営に関わっています。そういった点でも、SSTRは国内随一といえるのではないでしょうか。


そんな11年目を迎えるSSTRでしたが、2024年1月1日に起きた能登半島地震によって、状況は一変しました。

能登半島地震

記憶に新しい能登半島地震が発生した2024年1月1日、風間さんは山梨県のご自宅にいました。

「山梨もけっこう揺れましたよ。それでテレビをつけたら、能登半島が震源地だというニュース一色で、すぐさま親しくしていた輪島市のお寺の住職に電話しました。最初は繋がって安否を確認できたんですけど、次にかけたら繋がらなくなりました。これは大変かもしれないと思っていたところ、被害の大きさを伝える情報がテレビから入ってきて、事態の大きさが分かるようになってきました。数日経って、『5月のSSTR開催は難しいかもしれない』と考えるようになりました」

1月中旬には羽咋市をはじめ、能登地域の関係する自治体へお見舞いを持って行ったという風間さん。現地の状況を目の当たりにし、さらに各自治体の首長や住民と接するなかで、5月の開催を断念したそうです。しかし、決まったのは中止ではなく、あくまでも延期でした。

「特に羽咋市長には『むしろやってもらいたい』と言われましたね」

SSTRによる経済効果は今や約20億円に及ぶといわれます。復興のためには、開催こそが望ましいとのことでした。バイクイベントが被災地を大きく盛り上げるのに一役買っているのです。


そうして3月には延期が正式決定し、10月の開催となりました。しかし、10月まで何もしないわけではありません。風間さんは毎月のように被災地に赴き、4月からはスタッフや有志とともに現地でボランティア活動に励んでいました。


「4月28日〜29日に始めて、それから毎月最終週の土日はボランティアに行っています。僕の周りにはツーリングだけではなく、ボランティアにも手を貸してくれる大勢のライダーがいるんです。彼らに声をかけて毎月出向いています。7月は輪島の倒壊家屋の撤去を手伝いましたよ」

ボランティア活動だけでなく、風間さんは義援金も積極的に寄付しています。2020年のコロナ禍をきっかけに風間さんがプロデュースした「にっぽん応援ツーリング」を主催する一般社団法人日本ライダーズフォーラムから約450万円、SSTRからは約1500万円を募り、さらに風間さん個人も100万円を寄付したとのこと。

「能登の皆さんには10年間お世話になりっぱなしでしたからね。その恩返しです」

SSTRの新たな役割と参加ライダーへ伝えたいこと

「SSTRを途切れさせずに継続すること」、これが何よりの支援だと風間さんは言います。

「地震が起こってから半年が過ぎて、最近は能登半島地震のことがニュースで扱われなくなってきていますよね。そうすると世間から忘れられてしまうんです。我々の役目は、能登半島や地震の被害を忘れられないようにすること。そのために何をするかといえば、能登に関心を持ってもらわなければなりません。


能登には素晴らしい海や素晴らしい街、それらが織りなす素晴らしい景色があるんです。SSTRに参加するライダーには、能登半島の匂いや雰囲気をぜひ地元に持ち帰って欲しい。そして、感じたことを周りの人たちやSNSで広げてもらいたいんです。


能登に来てもらうためにもSSTRを継続させなければならないし、重要なイベントだと考えています。会場では義援金も募集します。無理のない範囲で協力もお願いしたいと思っています」


復興支援という新たな役目を背負ったSSTR2024は、これまでとは違った特別な催しとなるでしょう。風間さんのお話にあるように、すでにSSTRにエントリーしている皆さんは能登の復興という気持ちを胸に訪れられることでしょう。今年のエントリーは終了していますが、来年、再来年とSSTRへの参加とともに継続的な支援をしていきましょう。

SSTR2024 概要

開催期間:2024年10月5日(土)〜10月20日(日)
※出走は10月19日(土)まで、10月20日(日)はイベントのみ


開催地
スタート地点:参加者が選択した地点(日本海と逆側の海(太平洋など)の、日の出が見えるポイント)
ゴール地点:千里浜なぎさドライブウェイ(石川県)
ゴール受付時間:12時〜18時


定員数:合計14000台
※エントリーの受付は終了しています。


お問い合わせ先:SSTR 、にっぽん応援ツーリング

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