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北欧で躍動!パリ五輪世代の元清水エスパルスMF鈴木唯人はなぜA代表に招集されたのか

アットエス


森保一監督は6月に行われるW杯2次予選のミャンマー戦とシリア戦のメンバー26人を発表。元清水エスパルスの鈴木唯人(ブレンビー)も選ばれた。2022年1月に、20歳で国内の代表候補合宿に追加招集されたが、公式戦の正式なメンバーとして招集されたのは初めて。デンマークでの大活躍が高く評価された形だ。

森保一監督は「彼のことはJリーグでプレーしている時も、フランスでプレーしている時も、現在のデンマークでプレーしているところも継続して見させてもらっている」と前置きしながら、今回の選出にいたった評価を次のように説明した。

「日本とはまた違ったサッカーの中で、国際試合でより力を発揮する力をつけている。彼のよさである得点に絡むプレー、攻撃のよさを局面、局面で激しく闘う中でも発揮する。今の実力でも十分に戦力になってくれると思いますが、さらにこれから6月の活動を終えて、成長してもらえることを期待しています」

鈴木は千葉県の市立船橋高校から清水に加入し、ルーキーイヤーから2列目や2トップのFWとして主力に定着。2年目、3年目と存在感を高め、2022年の夏にフランスのストラスブールへの期限付き移籍を実現させた。トップチームでは3試合1得点にとどまり、翌年の7月に清水へ復帰したが、1カ月弱で海外移籍を前提とした準備のために再び欧州へと旅立ち、のちにブレンビー移籍が発表された。

森保監督が考える起用法

デンマークのスーペルリーガは欧州のリーグランキングで17位だが、選手のフィジカル的な能力は高く、戦術面も組織的なクラブが多い。

ブレンビーは同国を代表する名門クラブの1つだが、2021−22シーズンは4位、2022−23シーズンは5位と不甲斐ない結果に終わっていた。2023−24シーズンは新加入の鈴木が9ゴール8アシストという活躍で攻撃をひっぱり、優勝間近まで迫ったが、プレーオフの最終節で敗れて悲願のタイトルを逃した。

それでも鈴木に対する評価が下がることはないだろう。ブレンビーとは4年契約を結んでいるが、英国のプレミアリーグなど欧州5大リーグの強豪クラブが鈴木の獲得に強い興味を示しているという報道もある。

森保監督はそんな鈴木の起用について「4−2−3−1ならトップ下、4−1−4−1ならインサイドハーフだったり。3−4−3で戦うのであればシャドーのポジション。彼は今3バック(3−4−2−1)のシャドーのポジションでやっている」と語る。

パリ五輪出場の可能性は…

周知の通り、同時期のインターナショナルマッチウィーク(IMW)には大岩剛監督が率いるパリ五輪に向けたU-23日本代表のアメリカ遠征も行われるが、A代表の常連である久保建英(レアル・ソシエダ)と鈴木がA代表に招集されたということは、彼らのパリ五輪参加が極めて難しくなったことを意味する。

男子のオリンピックはサッカーの総本山であるFIFAが定めるインターナショナルマッチデー(IMD)から外れており、W杯やアジアカップなど大陸選手権とも異なり、代表チームに選手の拘束権が無い。

つまりクラブ側の同意が無ければ、選手が希望してもオリンピックに招集することはできないのだ。Jリーグに関しては1クラブに2人まで招集が可能ということで見込まれているが、海外組の選手は夏の移籍の可能性も含めて、まだ流動的であることが山本昌邦ナショナルチームダイレクターからも伝えられている。

その中でも久保は不参加を表明。鈴木も五輪出場が極めて難しいことが、A代表招集の要因でもあるようだ。しかしながら間違いないのは森保監督も認めるように、鈴木が実力と評価で、A代表のチャンスを勝ち取ったということだ。

すでに2次予選の突破が決まっているが、アウエーのミャンマー戦と、広島の新スタジアムで行われるホームのシリア戦。そこで清水から世界に羽ばたいたヤングスターが、いかに起用されて、ピッチで躍動するか。

2年半前の代表候補合宿では「まだ自分は実力でA代表に選ばれたとは思っていない。世界を見ても20歳は若くない。実力も、勢いも、もっともっと出さないといけない」と語っていた。正真正銘のA代表戦士として、まずは今秋スタートする最終予選につながる活躍を期待したいところだ。

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