中高年社員の7割が「仕事の質が低下」と回答 ミッドライフ・クライシスの実態とは?
野村総合研究所(東京都千代田区、NRI)は10月16日、全国の正社員2060人(男女)に、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」の発生状況や要因、仕事に与える影響などを調査し、結果を発表した。40歳代・50歳代の過半数に、ミッドライフ・クライシスの自覚があることが明らかになった。
同調査ではミッドライフ・クライシスについて「中年期にさしかかると、家庭や職場における役割の変化や加齢による身体的変化が生じ、中年期特有の悩みや葛藤、不安などを抱くこと」と説明している。調査において自覚がある人のうち、約4人に3人(74.5%)がミッドライフ・クライシスによって、仕事のパフォーマンスが低下していると答えた。
仕事への影響は見えにくい? 約6割にプレゼンティーイズム
ミッドライフ・クライシスに直面していると感じている人の割合は53.0%に達する。そこで、自覚がある40歳代・50歳代正社員に、発生状況について質問。ミッドライフ・クライシスが原因で、病気による欠勤である「アブセンティーイズム」があると答えた人は14.1%だった(「よくある」「たまにある」の合計、以下同)。
一方、出勤していても業務遂行能力や生産性が低下している「プレゼンティーイズム」が発生している人は57.3%に上り、同調査はミッドライフ・クライシスの仕事への影響は、周囲に見えにくいという特性を指摘する。
ミッドライフ・クライシスの要因、4割以上が『親の介護や健康状態』を挙げる<!-- paywall -->
ミッドライフ・クライシスの自覚がある人において、実際に介護を必要とする家族がいなくても、「親の介護や健康状態」を要因として挙げる人が多いことも明らかになった。半数近くが「親の介護や健康」を発生要因として挙げている(44.7%)が、実際に介護を行っている人は6.8%にとどまる。
また、「子育て・教育、子供の将来」を選択した人は21.7%だった。親の介護と比較して割合が比較的少ない点について同調査は、回答者の子供の年齢が高いことによる影響を示唆する。
介護手前の親の健康維持や生活への支援が対策の一つになる可能性
調査の結果を受けてNRIは、ミッドライフ・クライシスの原因として、将来を含む自分の健康問題・健康不安を挙げる人が多いことに加え、「親の介護や健康のこと」が原因の一つになっている人が少なくないと分析する。
親世代の健康状態の悪化や、それに伴う不安や生活サポートの必要性が、自身の業務パフォーマンスに影響をもたらしていると推測。周囲からその発生状況が見えづらいことも考慮し、社員へのミッドライフ・クライシス対策の検討が必要だと指摘している。具体的には、本人の健康問題・健康不安への対応に加えて、「離れて暮らす親の見守り、家事代行サービス導入の補助」といった、介護を必要とする手前の親世代の健康維持や、生活を支援する環境整備が有効であるとしている。
当メディア「総務リーダーを強くする情報アンテナ」では、ミッドライフ・クライシスが仕事に与える影響や、総務担当者が取り組むべき支援策や制度作りについて詳しく解説している。
「就労者のミッドライフクライシスに関する調査」は、2025年1月17日と18日にインターネットアンケートで実施。調査対象は、全国の就労者(正社員)40歳代~50歳代の男女2060人で、内訳は、年代(40歳代・50歳代)×性別(男性・女性)の4セグメントを515人ずつ回収した。発表の詳細は同社公式リリースで確認できる。