名将の下で野球を学び、監督として日本一の下地を作った4年間! 阪神タイガース矢野燿大前監督が登場! 【「ラブすぽ」トークショーレポート】
星野仙一と野村克也、二人の名将の下で野球を学んだ阪神タイガース・矢野燿大前監督!
東京のファンの前でぶっちゃけ過ぎるトークを展開!
プロ野球のオフシーズンは現役選手を中心に、シーズン中はOBの方をメインにゲストをお招きして毎回盛況のリアルイベント『ラブすぽ』トークショー(以下『ラブすぽ』)!今回のゲストはドラゴンズで7年、タイガースで13年にわたってキャッチャーとして活躍された矢野燿大さん。引退後は日本代表のバッテリーコーチやタイガースの二軍監督を務め、2019年タイガース一軍監督に就任するとチームを4年連続Aクラス入りに導きました。
そんな矢野燿大さんは『ラブすぽ』初登場とあって、始まる前は、関西ではなく関東のしかも“東京”でのソロイベントに少し不安だったとのことです。しかし蓋を開けてみたら100名を超えるタイガースファン9割、ドラゴンズファン1割の矢野燿大さんファンが大勢詰めかけてくれました。やはり矢野燿大さんといえばタイガースのイメージが強いようです。
司会を務めるのはお馴染みDJケチャップさん。お二人とも関西出身ということもあり、午後7時のプレイボールから関西弁でのトークが炸裂。現役時代、タイガースの前はドラゴンズで7年プレーしていており、入団時の監督は星野仙一さん。「星野監督はいかがでしたか?」といきなりのケチャップさんからの先制口撃に、矢野さんも当時を思い出し言葉を選びながら“丁寧”に答えてくださいました。
闘将、星野仙一の指導とは?
ここでは詳しく書けない厳しい指導だったとのこと! まぁファンの方なら想像できると思われますが、手が出る「ザ・昭和」の野球だったそうです。ベンチでは熱い星野流指導が何度も炸裂するので、星野監督時代、レギュラーキャッチャーだった中村武志さんはベンチに帰ってきてもマスクを取らなかったという話では場内大爆笑。
それでも、その指導の裏には愛を感じたそうです。選手を思う気持ちがあるからこその激しさ、それがあるからこそ選手は星野さんを尊敬していたし「あんなカリスマ性のある人は今後現れないやろなぁ」と語っていました。
そんな星野さんの言葉で印象に残っているのが「グラウンド内で、相手チーム選手や先輩と挨拶するな!」とか、雨降ってる試合では「お前らはええのぉ。屋根がついてるベンチにいられて。外野スタンド見てみろ、ずぶ濡れになりながら応援くれてるぞ」。ファンの方たちに対して選手はどういう気持ちを持つべきか、ということを絶えず考えている方だったとのことで、この星野イズムは後の選手時代も監督になってからも非常に影響を受けたそうです。
そして興味深かったのがドラゴンズからタイガースへのトレードの話。自身は当時常勝軍団ドラゴンズの2番手キャッチャー。チームから必要とされていると自負していた中で、暗黒期を迎えていたタイガースへのトレード。
今でこそ日本もトレードがポジティブに捉えられてきましたが、当時は「俺はチームに必要ないんか?」と正直悔しかったと当時の心境を吐露してくださいました。
このトレードにはタイガースファンのケチャップさんも、矢野さんに謝りながらも「関川、久慈出してなんで“矢野?”大豊?」と当時の思いのたけをぶつけると、矢野さんも「関川選手がドラゴンズで初年度いきなり首位打者争いの大活躍を見せたこともあって、当時のタイガースファンからは相当野次られた」と思い出を語っておられました。
名将、野村克也とのコミュニケーション
タイガース移籍後、今度は野村克也監督の下でプレーすることになった矢野さんですが「同じキャッチャーとしてレベルが違い過ぎる、全て見透かされていると感じ」という印象を受けていたようで、野村監督とは普段言葉を交わすことはほとんどが無かったそうです。
ただ、野村さんから試合前の打撃練習中にぼそっと言われた一言が今でも心に残っているとのこと。「タイガースのピッチャーは球遅いやろ。(そのピッチャー陣をリードして勝利に導く重要な役割)それがお前を成長させるんや」ですって。筆者この段階で涙流れました。
野村さんにとっては何気ない一言だったかもしれませんが言われた方は一生覚えてますよね。後に矢野さんがタイガースの監督に就任することが決まった時には、野村さんのご自宅までご挨拶に伺ったそうです。報告だけしてすぐ帰ろうかと思っていたそうですが、その時の野村さんは喋る喋る、夜遅くまで語り合ったそうです。なんかすごくいい話じゃないですか?
野村さんお考えに影響を受けて、投手と対峙した際「配球の読み」で勝負するようになってから、自身初の3割を打つことが出来たそうです。矢野さんはトークショー中にもかかわらず、野村さんのお陰だと天に向かって感謝していました。
ですがその後、野村さんの後継で星野さんが再びタイガースの監督に就任した際、心の底から「勘弁してくれー」と思ったそうです。これには会場中が爆笑に包まれました。動の星野さんと静の野村さん。2人の名将の下でのプレー経験が今の自身を作っているという矢野さんでした。
この2人の監督との思い出話に、ケチャップさんも「お二人を『ラブすぽ』にお呼びしたかったです」と天に向かって叫んだ後、「それで矢野さんは結局、星野派?野村派?」とズバリ質問! 会場が固唾を飲んで静まり返るシーンもありました。今回のトークショーはぶっちゃけ過ぎでお客さんは大盛り上がりでしたが、書けないことが多過ぎでしたね(笑)
そして恒例の2ショットタイム!
その後は『ラブすぽ』恒例の2ショット撮影タイム。今回『ラブすぽ』初参戦の方も多い中、皆さんのご協力で滞りなく終えることが出来ましたが、そんな中、矢野さんがお一人お一人に「来てくれてありがとうございます」と丁寧に声をかけていたのがとても印象的でした。
そして後半戦は矢野さんへの質問タイムを交えながら更なるトークが展開されます。ドラフト会議のこと、コーチ陣の人事、ベテラン勢の起用の難しさ、MLBに行ったあの選手の話、期待の若手、自身が考えるチームの理想像などなど沢山語っていただきました。ここでも「そんなにぶっちゃけていいの?」と突っ込んでしまうくらいサービス精神旺盛の矢野さん。話が技術論に及ぶと、バットを手に身振り手振り説明してくださいました。あの懐かしのダウンスイングを披露した際は、一斉にフラッシュが焚かれていました。
ケチャップさんから、矢野さんが監督退任された翌年にタイガースはリーグ優勝、日本一になったことについて、「矢野さんが種を撒いて下地を作った選手たちが躍動した日本一だったとみんな思っています」と伝えると最初は謙遜していましたが「もっと言って!」と思わずおねだりも(笑)
在任中は苦しいことが多かったという監督業も、ユニフォームを脱いで少し時間が経つと不思議にもう一度やりたくなってくるんですと話す矢野さん。ケチャップさんから「タイガース? ドラゴンズ?」と聞かれると「タイガースは順番待ちが多いからなぁ」ですって。自分の培った技術を、下の世代に継承していくことに関心をお持ちでした。
実際に矢野さんのお話を伺うと、振舞いや考え方のスマートさが印象に残りました。何よりも次世代に野球の良さを伝えていきたいという強い野球人としての思いに、筆者も素直に感動。あっという間の2時間、とても楽しく深みのあるトークイベントでした。
それにしても会場に詰めかけてくださったタイガースファンの方の熱量は、やはり半端ないですね。『ラブすぽ』も今度ぜひ大阪や広島、名古屋でご当地の選手を呼んでやりたいと心の底から思いました。
矢野さんは現在、解説の他野球教室なども精力的に行っているようです。今後の矢野さんの活躍がますます楽しみです。
今後のトークショー予定
「ラブすぽ」今後の開催予定は以下の通りです。皆さん、ふるってご参加ください。
9月2日(月)高田真希さん(パリ五輪女子バスケットボールキャプテン)
10月7日(月)工藤公康さん(元プロ野球選手・監督)
10月25日(金)銀次さん(元プロ野球、東北楽天)
下村泰司
(しもむら やすし)
フリーアナウンサー
小学校3年生で野球をはじめ、高校時代は3年夏に主将として甲子園出場。地方局アナウンサーを経てその後はスポーツ業界に長年身を置きスポーツマーケティング会社やプロ野球球団のスタッフとして仕事に従事。3年前にフリーランスに転身し現在は主にMLBの実況などを担当。『『ラブすぽ』』スタッフ歴は約3年でアスリートの話に毎回刺激を受けながら肉体改造を誓うも日々増量中・・・