菜園付き物件を購入して20種類以上の野菜の収穫を楽しむ! 育てた野菜で食卓も気持ちも豊かに【島根県雲南市】
まったく見知らぬ田舎へ移り住んでも、自家野菜に囲まれた菜園生活はできるのか。その疑問に答えてくれる若い移住者夫妻を島根県雲南市で発見。家庭菜園を楽しむ日常生活の一端を紹介しよう。
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掲載:2025年4・5月合併号
島根県雲南市(うんなんし)
雲南市は日本で初めて「農地付き空き家」制度を始めた自治体で、空き家バンクが充実。市では、移住希望者にオーダーメード型の1泊2日の移住体験「雲南つながる体験プログラム」を実施。また、「子育て世帯定住宅地購入補助金」など、子育て世代への支援も手厚い。雲南市中心部まで、出雲縁結び空港から車で約20分、JR松江駅から車で約40分。
菜園で人脈が広がり、田んぼや豆畑にも挑戦
小谷さん夫妻が、150万円で手に入れた農地付きの売り家。敷地は農地込み238坪。築50年の家はピアノを置く床の補強と水回り改修に、約200万円かけた。畑は手作業の耕うん・畝立てで有機栽培を実践。今年から土の本来の力を活かす自然農法にも挑戦する予定だ。
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移住して菜園を楽しんでいる小谷祐介さん(右)。妻の沙耶香さん(左)はピアニスト。ネコが飼えるのも物件探しの条件だった。野菜の栽培は主に祐介さんが担当している。「手をかければ、野菜はきちんと育ってくれます」と祐介さんは話す。
「コロナ禍で外出できず、人にあまり会わずにできる健康的な趣味を探していたら、以前に住んでいた東京都練馬区でシェア畑の看板を見つけたのが、土いじりを始めたきっかけ。1畳分くらいでしたが、野菜が収穫できて面白かったですね」と小谷祐介(おだにゆうすけ)さん(34歳)。
教育系団体への転職で島根県に移住することになり、物件探しを開始。県庁所在地の松江市から少し離れた雲南市で150万円の40坪の菜園付き空き家と巡り合い、2022年秋にピアニストの妻・沙耶香(さやか)さん(30歳)とともに移り住んだ。
翌春に畑を耕し、十数本の畝を立てた祐介さん。種蒔きと苗植えを始めようとしたら、「隣のおばあちゃんが『ここは寒冷地だからまだ早いよ。ゴールデンウイークが過ぎたころでいい』と教えてくれました。行きつけのカフェの人ともよく畑談義をしますし、周りの畑を観察するだけでも勉強になりますね」と話す。
畑ではナス、キュウリ、トマトなどの夏野菜のほか、ダイコン、ハクサイ、シュンギクなど常に20種類以上の野菜を育てている。特にナスは沙耶香さんの大好物なので、失敗できない。よく手入れしており、出来がいいそうだ。
沙耶香さんも、収穫には参加する。
沙耶香さんが好きなナス。大切に育てているので、夏には艶やかな実がなる。
畑で収穫した野菜。タマネギ、ナス、白ナス、緑のナス、ピーマン、ミニトマトなど。
「出勤の30分前の農作業で、気持ちがリフレッシュできます。昨年の秋は暖かい日が多く、有機栽培なので虫が大量に発生。ハクサイやコマツナが虫食いだらけになってしまいました。失敗はいっぱいありますけど、野菜は手をかければかけただけ育ってくれます。もうスーパーで野菜を買うこともなくなりました。何より、収穫したばかりの野菜はおいしい。友人とバーベキューや天ぷらで食べるときが最高ですね」
隣家の人が誘ってくれたので、今年から田んぼもやることになった。これまではクワやカマやショベルなどの道具しか使っていなかったが、自治会の機械を借りられることになったので、操作方法を教えてもらうつもりだ。味噌づくりを教えてくれた女性との出会いがあり、味噌やしょう油づくりなどを目的に豆畑も始めるという。小谷家の農的暮らしは、挑戦することがますます増えていきそうだ。
収穫した野菜を天ぷらでいただく。この瞬間が最高のひとときだ。
地域の皆さんと田植えの様子。菜園や田んぼでの交流が広がる。
祐介さんから、菜園を始める人へのアドバイス
「失敗を恐れないこと。枯れてしまっても仕方ないくらいの気持ちでやればいいんですよ。自分だって芽が全然出ないこともありましたから。菜園を通して、植物の力や自然の力を感じて感謝することも大切です」
文/山本一典 写真提供/小谷祐介さん