【中学受験】カリスマ家庭教師が明かす 「成績が伸びない子」の親が無意識にやっている“3つのNG行動”
教育ジャーナリスト・佐野倫子さんによる中学受験伴走連載、カリスマオンライン家庭教師・小堀正博先生に取材。家庭教師と保護者の関係と、家庭学習で伸びる家庭について(全3回の2回目)。
【▶画像】【中学受験】「地理」「歴史」社会科に強くなる学習漫画3選教育ジャーナリスト・佐野倫子です。「中学受験伴走(サポート)」連載、大人気カリスマ家庭教師・小堀先生に家庭学習についてインタビュー。2回目では「家庭教師と保護者の関係」、「成績が伸びる家庭の共通点」について、語っていただきました!
(全3回の2回目)
小堀正博(こぼり・まさひろ)
アメリカ合衆国ワシントンD.C.出身。関西学院中学部・高等部を経て、関西学院大学法学部卒業。中学受験生を中心に、小学生から高校生まで全科目に対応。オンラインでの家庭教師として絶大な人気を博す。俳優としても活躍中。高等学校教諭一種免許状(公民)所持。
オンライン授業の最大の魅力は「どこでも、いつでも!」
──小堀先生はオンラインという形で全国の生徒を受け持っていらっしゃいます。改めて、オンラインで学ぶメリットについて教えてください。
小堀正博先生(以下小堀先生):最大のメリットは「どこでも、いつでも」できることです。
集団塾だと特定の場所に行く必要がありますが、オンラインなら移動時間がゼロ。自宅でリラックスしながら受けられます。これはご家庭にとっても生徒にとっても大きい利点です。
ただし、低学年の子はオンラインで長時間座っているのが難しい場合もあります。その場合は、やはり対面のほうがおすすめです。
──先生はオンライン家庭教師のほかにも、オンラインで集団授業を開催していらっしゃいますよね。そこではイメージするオンライン授業と一線を画し、「インタラクティブ」を大切にされていると聞きました。
小堀先生:はい。私が一方的に延々と話しても、生徒はその場で出た問題は解決できませんから。
生徒が自由に質問や発言をできるように工夫しています。これはオンラインに限らず、対面の塾の授業も同じです。塾を選ぶ際には「発言しやすい」「質問しやすい」授業をするところを選ぶようにしてください。
保護者は何でも家庭教師に伝えて“最大の味方”に
──では、もし家庭教師に指導を依頼する場合、先生と家庭の関係性について気をつけるべきことはありますか?
小堀先生:心を開いて、ぜひ何でも先生に言ってください。私は年間で約45家庭、スポットでは20家庭以上を見ています。これまで家庭教師や塾講師時代として500人以上の生徒を見てきましたが、保護者の方と講師の信頼関係はとても大切です。
保護者の方が先生に対して不信感を持っていると、それは子どもに必ず伝わります。逆に「この先生になら任せられる」と思えたら、子どもものびのびと安心して学ぶことができるでしょう。
また、保護者の方が積極的に情報や状況、困っていることを伝えれば、その分家庭教師も課題をピンポイントで解決できます。最大の味方と心得て、どんどん心を開いて相談してみましょう。
保護者が「ガミガミ言いすぎない」家庭の子どもは伸びる!
──大手塾に通いながら、苦手な単元や科目をカバーするために家庭教師を検討するご家庭も多いかと思います。塾と家庭教師を併用する場合、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
小堀先生:私の今受け持っている生徒も9割が大手塾と併用されています。基本は「塾を優先」でいいと思います。
ただし、塾の説明を聞いても理解できない場合に、補助的にサポートするのが家庭教師の役割だと思っています。どちらの先生にも状況を正直に伝えて、ぜひ有機的なタッグを目指してください。
──小堀先生は、これまでたくさんのご家庭を見てきて、「成績が伸びる家庭」に共通点はあるのでしょうか? そして反対に、「ここを改善すれば生徒が伸びるのに」というポイントは?
小堀先生:これがあるんですよ! まず保護者の方が「ガミガミ言いすぎない」ご家庭のお子さんは伸びやすいですね。
──今、ギクッとなりました(笑)。耳が痛いです。つい、ダラダラしているのを見ると口を出してしまいがちです。
小堀先生:「宿題やったの? まだなら早くやりなさい!」と絶えず言われて、やる気が出る子はいません。これは残念ながら逆効果だと思います。
小堀先生:次に「親が何でもやりすぎない」こと。毎日毎日、子どもの横に、親が選んだやるべき教材を積み上げて、ただ問答無用でやらせるという形はあまりおススメしません。
実際、過去にそのパターンで残念な結果になったご家庭がありました。家庭教師や集団塾のアドバイスよりも、保護者の方が選んだ教材を独自の計画で子どもに押し付けている様子を見て、とても気を揉みました。
少しずつでもいいので、自分で何をするべきか、どこが弱点か、そのために何をするべきかを考えたほうがいい結果になります。
そして「子どもの自己肯定感を大切にする」。自分を信頼でき、「やればできるんだ」という自信がある子は、最後にぐっと伸びていく子が多いですね。子どもの自己肯定感が高いと、自分で考えて動けるようになるからです。
また、「家庭教師や塾に“全権委任”」しているご家庭も伸びやすいです。餅は餅屋。講師はたくさんの子どもに接していて、中学受験の相場観を摑んでいます。プロのアドバイスを柔軟に取り入れ、自己流にこだわりすぎず、客観的な視点を持てれば申し分ありません。
また、家庭学習では予習より復習を重視してください。自己流で未修単元を長時間勉強するよりも、塾で学んだことをしっかり定着させるほうが効率的です。良い復習を積み重ねていければ、成績を上げることができます。
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小堀先生の取材は、終始穏やかで、インタビューしている側が自然にあれこれと相談したくなるような雰囲気でした。それは先生が話す相手に対して敬意と興味を持ち、心を開いてくださっているからだと感じました。
「講師」という仕事は教え、導くことがミッションですから、どうしても諭す場面が多いもの。こちらの話を大事に聞く、という徹底した姿勢を感じ、子どもたちもとても安定した気持ちになるのだと推察します。この雰囲気は、親としてもぜひ心がけたいと思いました。
次回3回目では、小堀先生に家庭での学習方法について詳しくお聞きします。
撮影/日下部真紀
取材・文/佐野倫子
『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)