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光の春、音の春、気温の春。3ステップで変化する季節の歩みを散歩で実感してみて

さんたつ

うめ

まだまだ寒い日はありますが、暦の上ではもう春です。春は「光」から始まるといわれています。そして「音の春」から「気温の春」へと段階を経て、徐々に本格的に暖かくなっていくのです。散歩をしながら春本番へと続く季節の歩みを感じてみませんか?

「光の春」がやってきた!季節によって体感が変わるのはなぜ?

肌に触れる空気は冷たいものの、外を歩けば太陽の光が日ごとに力強くなってきていると感じることはありませんか? 冬の間は雪や雨が続く地域でも、晴れ間のある時は日差しのぬくもりにほっとできることでしょう。

寒い冬が終わりを迎えると暖かい春がやってくる……。当たり前のことですが、そもそも季節によって体感が大きく変わるのはなぜでしょうか。この素朴な疑問について考えるには、宇宙から地球を見るダイナミックな視点が必要です。地球は一年をかけて太陽の周りを公転していますが、北極と南極を結んだ「地軸」を約23.4度傾けた状態で回っています。このため、季節によって太陽の光が当たる角度が変わります。すると、地球の表面が太陽のエネルギーを受け取る量も変わるので、体感が変化して四季が生まれるのです。

地球は地軸を傾けて太陽の周りを公転するため、四季が生まれる。

北半球の日本では北極が太陽の方向に傾く夏に、光を受ける角度が直角に近くなり温まりやすく、一年で最も暑くなります。冬は光を受ける角度が小さく、斜めから日が差すため温まりにくく寒くなるのです。春や秋は、夏と冬の中間の季節になります。

春は冬から夏に向けて徐々に光が強まっていく期間に当たります。本格的な暖かさを感じるのはまだ少し先ですが、まずは日差しから春を味わってみてください。

あなたの周りでもあるかも。耳で感じる「音の春」って?

春の変化は耳からも感じることができます。古くから代表的な「春の音」として知られるのは、雪解けが進む音や、うぐいすなどの鳥の鳴き声です。日差しが強まると、それまで凍っていた雪が解けて、水がしたたる音や増水した川の流れる音が聞こえるようになるといわれてきました。

現代はなかなか自然の音を気軽に聞き取るのは難しくなりましたが、街中でも散歩をしながら感じられる春の音はたくさんあります。たとえば、ひだまりの中でじゃれ合うネコたちの鳴き声、卒業式や入学式でにぎわう子供たちのきゃっきゃとしたかわいらしい声も春がやってきたことを知らせてくれます。あなたの周りでも春だからこそ聞こえる音はないでしょうか?

耳を澄ませば新しい季節の音に気が付くかも。

南から暖かな空気が流入。ポカポカ陽気の「気温の春」へ

光の春、音の春に続いて、最後は「気温の春」を迎えて本格的に暖かくなっていきます。冬の間、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置になることが多く、大陸で蓄積した寒気が日本へ流れ込むため冷え込みますが、太陽の光が強まってくると陸地が温められるので寒気の勢いが続かなくなっていきます。このため冬型の気圧配置を維持できなくなります。

さらに、冬に日本付近を流れていた偏西風が少しずつ北へ位置を変えていきます。偏西風とは北側にある寒気と南側にある暖気を分けて蛇行しながら吹く風です。北へずれるということは、南の暖かな空気が運ばれやすくなるので、ぐっと気温が上がっていきます。

1月20日に発表された気象庁の3か月予報によると、2月は全国的にほぼ平年並みの気温となりますが、3月から4月は広い範囲で暖かくなる見込みです。偏西風は、予報期間の後半を中心に平年より北に偏って流れやすいため、寒気の影響は受けにくくなり、季節は順調に進んでいくでしょう。

本州付近では3月下旬から4月上旬あたりには春本番のポカポカとした陽気を感じられ、各地で桜の開花が進みそうです。散歩をしながら春らしい景色を楽しめるようになります。

気象庁発表3か月予報。2月はこの時期らしい寒さに(画像=ウェザーマップ)。
気象庁発表3か月予報。3月は北日本・東日本で平年より高い気温に、西日本も平年並みか高い(画像=ウェザーマップ)。
気象庁発表3か月予報。4月は北日本から西日本で気温は平年より高い(画像=ウェザーマップ)。
偏西風は、日本付近では期間の後半を中心に平年より北に偏って流れやすい(画像=ウェザーマップ)。
服装も足取りも軽やかになる春が待ち遠しい。

光、音、そして気温と3つのステップを踏んで進む春。次第に薄着でも出歩けるようになり、散歩がしやすくなる季節を迎えます。春の訪れを心待ちにしながら、五感で外の変化をじっくり楽しみましょう。

文・画像=片山美紀

参考:

荒木健太郎、太田絢子、片山美紀、津田紗矢佳、佐々木恭子『天気予報が楽しくなる 空のしくみ』朝日新聞出版、2024年5月

気象庁 向こう3か月の天候の見通し全国 (2月~4月)※1月20日発表
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M

片山美紀
気象予報士
大阪府出身。大学卒業後、地方放送局を経て気象予報士となりNHK総合やTBSなどで解説。街歩きをしながらお天気ネタを探すのが趣味。著書に『気象予報士のしごと‐未来の空を予想して‐』(成山堂書店)、『地球環境を守るレシピ』(日本橋出版)などがある。

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