成田山書道美術館で学ぶ書の世界!収蔵優品展「篆(てん)・隷(れい)・楷(かい)・行・草・仮名―書体をめぐる書の表現」4月20日まで開催【成田市】
成田山には、全国でも珍しい書道の美術館があります。静寂の中で書を見ていると心が休まります。散策の途中に寄ってみませんか。
成田山公園の一角。収蔵優品展を開催中
成田山書道美術館では、展示替え期間を挟みながら、さまざまな企画展を開催しています。
現在は、収蔵優品展として、豊富な収蔵品の中から、篆書・隷書・楷書・行書・草書・仮名の優品を選び、展示中です。
成田山新勝寺には、貴重な作品が寄進されることも多く、そうした作品の管理も重要な役割となっている同館の収蔵品は、充実しているといいます。
書体による書法や筆法の違いを楽しむ
篆・隷・楷・行・草の五書体は、すでに中国北魏の時代には確立されており、その後、漢字の草書をさらに簡略化した日本固有の仮名が生まれました。
篆書や隷書など今日では読みにくいものでも、書の表現を豊かにする一要素として使われています。
「書体はそれぞれに筆法が異なり、用具用材にも工夫が見られます。それぞれの書体の歴史を知ると同時に、各書体の魅力を感じていただければ」と、学芸員の田村彩華さんは紹介してくれました。
特に注目したい作品は3点あり、「眼中之人」は常に心で思っている人、親しい人を表す言葉です。
縦長に構えた「眼」と「中」をまるで一文字かのように接近させ、それに対応するように、左上の小さめな「之」の下に足の長い「人」を配置しています。
造形美を意識した作品です。
「大字法華経化城喩品第七断簡」は奈良時代の作。
奈良時代には写経所で、仏典の書写を専門とする人々が養成されました。
通常の写経よりも大ぶりな楷書で、すみずみまで神経が行き届いた力強い線が見どころです。
「書心画」は、「書は心画なり」という前漢の学者揚雄(ようゆう)の言葉です。
書には書き手の心が表れることを意味します。
越南が好んだ墨跡の風を感じさせ、勢いよく思うままに筆を運び、力のこもった作品です。
4月1日から1階展示場は、第41回成田山全国競書展となり、学生・児童の、若さあふれる作品が展示されています。(取材・執筆/倫)
収蔵優品展 篆・隷・楷・行・草・仮名ー書体をめぐる書の表現
併催:第41回成田山全国競書展(4月1日~)
会期/~4月20日(日)
会場/成田山書道美術館
住所/千葉県成田市成田640 成田山公園内
休館日/月曜日(休日の場合は翌平日)
入館料/大人500円、高・大学生300円、中学生以下無料
開館時間/午前9時~午後4時(最終入館は午後3時30分)
問い合わせ
電話番号/0476-24-0774(成田山書道美術館)