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出店者とお客が出会って結婚?移住? 人が繋がるコミュニティを覗いてみた。

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千葉県鴨川市の里山で、毎月新月の日に開かれるマーケットがある。 「これから私たちが暮らしていく場所を、もっと心地よく、安心できるところにしていきたい。新しい(nova)安房(あわ)を、みんなで創造していけたら、どんなに楽しいだろう!」 ※安房とは、南房総エリアのこと そんな思いから、2010年にスタートしたawanova(あわのば)は、オーガニック食材の量り売り、南房総で作られたおいしいもの、手しごとのものたち、マッサージや占い、本など、さまざまなお店が出店している。 ここにどんな人たちが訪れ、どんな出会いが繰り広げられているのか。awanovaに集う人たちに話を聞いてみた。

出店者とお客が出会って結婚。「藁珈琲洞 〜コーヒーと季節のおいしいもの〜」

注文を受けてから豆を挽き、ハンドドリップで淹れる生田さん。

awanovaがスタートした当初から、「藁(わら)珈琲洞」として出店していた生田茂之さん。コーヒー豆が手をつないで混ざり合うブレンドコーヒーにこだわり、前夜に焙煎して当日の朝にブレンドしたものを、今日だけのコーヒーとして販売している。

料理教室の講師をしていたつかささんが、オーガニック食材を買いにawanovaを訪れたときに2人は出会った。「コーヒーを飲んで帰宅したあと、コーヒーの余韻がずっと残り続けていた」というつかささん。コーヒーを学びたいと生田さんに連絡をしたのがきっかけで交流がはじまり、結婚に至ったという。

左から2番目がつかささん。楽器を演奏しながら歌を歌いはじめると、より一層柔らかく楽し気な空気に満たされる会場。

現在は生田さんのコーヒーに、つかささんの「季節のおいしいもの」がプラスされてawanovaに出店し続けている。1人が2人になり、子どもが産まれて3人になり……。

生田さんは楽に語る「楽語(らくご)」を披露し、つかささんは仲間とともにウクレレを演奏してawanovaを盛り上げている。

Awanova 2世たちの活躍

awanovaを仲間とともに立ち上げた米山美穂さんの娘、樹(いつき)さんは小学校低学年のころからawanovaを手伝っている。米山さんが作る料理やお菓子の販売を樹さんが行い、ときには揚げ物担当として活躍することも。

右側に座っているのが樹さん。カウンター内の左にいるのが米山さん。

樹さん「身内でワイワイやっている雰囲気で、遊んだりしながらゆるくやって楽しい」

留学していた高校時代も、年に一度は帰国してawanovaに出ていたという樹さん。現在はニュージーランドの大学に籍を置き、リモートで授業を受けているためawanovaにも参加できている。

藁珈琲洞の娘にこちゃんは、この日「カフェ海遊魚(かいゆうぎょ)」で猪鹿バーガーの販売を楽しんでいた。バンズにケチャップでにこちゃんマークを描いてみたり、お釣のやりとりや看板犬に引っ張られながら散歩したりする姿が微笑ましい。すでに、自作のお菓子で出店・販売した経験もあり、将来有望だ。

カフェ海遊魚で猪鹿バーガーを販売するにこちゃん。

車中泊の旅で始まった出会いの連続がきっかけで、鴨川へ移住した2人 

田んぼで苗取りをする大谷徹さんと里奈さん

2021年2月、大谷徹さんと里奈さんは車に乗り込み、移住先を探す旅に出た。鴨川市内で車中泊をしているときにawanovaのことを聞いて、3月のawanovaを訪れた2人。

里奈さん「カルチャーショックでした。たき火を囲んで歌っている人や踊っている人がいて、雰囲気がゆるくて自由な感じ。出店者は自分で作ったものを売っていて、話しかけたらみんな優しくて、親身になって連絡先を教えてくれました」

と当時を振り返る里奈さん。大谷さん夫婦は、安房地域の面白い人をゲストに招いて話を聞く「安房ギャザリング」に登壇し、awanovaを訪れたときのことを写真とともに紹介した。

awanovaで出会い、食事に招いてもらったり家に泊めてもらったりとその後も交流を深めていった大谷さんたち。冒頭の苗取りの写真は、awanovaで出会った人の田植えを手伝ったときのものだ。

車中泊をしながら鴨川に滞在し、地元のスーパーを訪れたとき、awanovaに来ていた人と偶然再会した大谷さん。鴨川が気に入って、家を探していることを相談すると、すぐに家を紹介してくれたという。今住むその家は、山の上にある築300年の古民家だ。

里奈さんの誕生日である4月に入籍したときは、awanovaで知り合った人が証人のサインをしてくれたそうだ。大谷さんたちはawanovaでの出会いを糧に、縦へ横へと広がりながら鴨川に根を降ろし、新たな暮らしをはじめている。

新月の日に開催するのはなぜ?

米山美穂さん「月に1回、みんなが会える場があるといいよねって話してた。イメージはアジアの市が立つところに、少数民族が手づくり品を持ってきて、情報交換してっていう感じ。自然のリズムを大切にしたくて、新月開催にした。新月がひと月の始まりだから」

当初は、「決まった曜日でないと分からないとか、いろいろ言われた」というが、今ではたまに新月でない日に開催すると「新月の日に行ったのに、と言われるようになった」とみんなの変化をうれしそうに話す米山さん。

「あなたにとってのawanova」について、訪れている人たちに聞いてみた。

人も犬も、心地いい場所を知っている。自然と木陰に集まって、おいしいものを食べながらのお喋りがはじまる。

「1人で来ても、誰かしらに会えて安心する。価値観が似ている人が多いから心地いい」

「勝浦市に住んでいるので、ここに来れば館山や南房総の人たちにも会える房総のヘソみたいな場所」

「誰一人知り合いがいないまま、都内から引っ越してきて初めて来たのがawanovaだった。ここで知り合ってずっとつながっていける人たちと知り合えた。新月を気にせず生きてきたけど、自然と密接に関わった作業や食を考えるスタートになった」

「東京だと知らない人に声をかけると怪しい人。ここだと垣根が低くて『こんにちは』からはじまるのが気に入っている」

「2021年木曜日の新月は今日だけ。木曜日が休みの仕事で、移住する前からずっとawanovaに憧れてた。今日やっと来れた!!」

聞けば聞くほどキラキラした言葉が飛び出してきて、とても紹介しきれない。

情報交換や近況報告、子どもたちの成長ぶりをみんなで見守り、共有することができる場所。awanovaの輪は、安房の大地に吸収されながらどんどん浸透しているようだ。

awanova:毎月1回新月の日にopenするオーガニック・マーケット&カフェ
住所:〒296-0231 千葉県鴨川市釜沼1009 古民家したさん内
ブログ:https://www.awanova.com/

文:鍋田ゆかり
写真:鍋田ゆかり
取材協力:awanova

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