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「できる」依存症社会 京大名誉教授の富田さんが書籍出版 名張

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書籍を手にする富田さん

 京都大学名誉教授の富田直秀さん(69)=三重県名張市木屋町=が、書籍「『できる』依存症社会:Art-Science Link Worker(マスオさん)の時代」(講談社エディトリアル)を自費出版した。医療工学の研究や後進育成などに尽力してきた富田さんが、子どものころから抱え続けた気持ちを言葉として刻んだ一冊だ。

 富田さんは幼少期、「できる」を誇示する大人たちに強い違和感を覚えた。心の中に生まれたのは、「おとなはバカだ」という感覚だった。

 長年、その感覚を言葉にしようと試みながら、葛藤の末に何度も筆を置いた。しかし、京都大学を定年退職後に京都市立芸術大学の客員教授として学生たちと一緒に学ぶうち、執筆への思いが形になっていったという。

 著書で富田さんは、現代社会では言葉による先入観が先行し、身体で「みる」「きく」感覚が失われていると指摘。そんな状態を「できる依存症」と表現し、表面的な理解に頼る姿勢を童話の「裸の王様」に例える。「みえているつもり」「わかっているつもり」で進む社会に警鐘を鳴らす。

 副題は、福祉用語のリンクワーカーとアニメ「サザエさん」のマスオさんのことで、新しい価値を生み出すキーパーソンは学者や芸術家よりも、「わかろうとする」「おもしろがる」姿勢を持つ人だと説いている。富田さんにとってのマスオさんは、ともに支え合ってきた妻のまり子さんだという。

 子どもでも読みやすいよう、ルビを振ったり、キャラクターを登場させたりした他、読者が考えを描き込めるスペースも用意した。

 富田さんは「難解な言葉もあるが、わかろうとしてみてほしい。『やっぱりおとなはバカだよね』と読者と頷き合えたら」と思いを語った。

 著書はB6判100ページ、880円(税込)。アマゾンと楽天ブックスで購入できる。

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