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女系家族と芸術一家のカオスな日常~鈴木砂羽さん

TBSラジオ

ファッションデザイナー:コシノジュンコが、それぞれのジャンルのトップランナーをゲストに迎え、人と人の繋がりや、出会いと共感を発見する番組。

鈴木砂羽さん
1972年、静岡県浜松市生まれ。1994年に主演デビュー映画「愛の新世界」で第37回ブルーリボン賞新人賞を受賞した後、TVドラマ「相棒シリーズ」をはじめ、映画、舞台、バラエティ番組に出演するほか、舞台演出や漫画の執筆など多岐にわたって活躍しています。

出水:「ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯」という、ジュンコさんのお母様を描いた映画が5月23日から公開なんですよね。

JK:それで鈴木砂羽さんは私の役をやってくれます! すいませんね、大騒ぎする子ですから(笑)でも性格似てるから、信用できる。

鈴木:ありがとうございます。(笑)

出水:映画の撮影に入る前に、事前に顔合わせがあったりしたんですか?

鈴木:そうですね、衣装も先生のメゾンで選ばせていただいたり。ちょっと恐れ多いんですけど、すごい最初はドキドキして。

JK:そうなの? 全然ドキドキしてるように見えなかった。

鈴木:そういうきらいはありますけども(^^;)でも本当にコシノ・ジュンコ先生にお会いできるってことと、大丈夫かなっていう気持ちで。

JK:私は会ったっていう気持ちがなかったの。なんか気楽で。「女優さんですか」って感じしなくて、繋がってる感じがしたから不思議。

鈴木:こういう風体なんで(^^;)今日も先生に「ジム帰りみたい」って言われちゃった。

出水:映画のポスターのビジュアルを拝見しますと、お母ちゃんの小篠綾子役は大地真央さん。それを囲むように3姉妹が並んでるんですけれども、長女のヒロコさん役は黒谷友香さん、次女のジュンコさん役が鈴木砂羽さん、三女のミチコさん役が水上京香さん。

JK:それぞれの役の衣装はそれぞれが担当する。だから姉は姉、妹は妹。私は自分が着てるものを渡してるから、別にイメージを作ったわけではなくて、そのまんまですね。もうそっくりショウみたいな感じ(笑)

鈴木:ちょっとコシノ・ジュンコのコスプレみたいな感じになっちゃって(^^)ジュンコ先生っていうアイコンがあるので、こう言っちゃなんですけど、見た目は入りやすかったです。

JK:私って分かりやすいのよ、いろいろ飾らないから。めんどくさくない。スッと1分で決まります。

鈴木:30秒じゃないですか?(笑)おっしゃるようにジュンコ先生はとってもはっきりしてる方なので、私もどっちかっていうと早いし、はっきりしてる方なので問題ないですね。

JK:100年前から会ってるみたいです。前世から?! なんか違和感ないというか。「え、この人? ちょっと違うんじゃない?」とかいう疑問は一切ないです。なんだろうね? これは縁ですね。

出水:大地真央さんは15歳から92歳まで演じ分けられたそうで。

JK:だからちょっとね、宝塚場面みたいなところが1か所あるね。

鈴木:あります、あります。ミュージカル風。

JK:宝塚の階段から降りてきてっていう場面が瞬間あります。

鈴木:大地さんは私が子どもの時に初めて見た宝塚の方で。静岡県の浜松市に地方公演で来てくださって、その時に真央さんと黒木瞳さんのペアを見ることができて。すごい黄金カップルじゃないですか! すごい光栄でしたね! その方が目の前で自分のお母さん役をやってくださるってことが夢のようで、始終ポーッとしてました、私。スタアって感じですよ。

出水:大阪弁は苦労しなかったですか?

鈴木:キャストの中で、私だけ関西人じゃなくて。浜松って中間だから、いつもイントネーションは苦労しますね。中途半端なところに住んでたんで、どっちかに引っ張られるというか。皆さんに合わせるのが必死でしたけども。

出水:ジュンコさん姉妹を見てると会話のテンポがものすごいじゃないですか。隙間がないといいますか・・・そのやりとりもどう再現されてるのかたのしみです。

JK:3人でTVでも出たら同時に喋るから(笑)うちの親がいるときは「あんたは黙り」とかやってくれたけど、その人がいなくなっちゃったから。

鈴木:オンのセリフもあるんですけど、ちょっとオフっぽいセリフで三姉妹が何気ないシーンでずっとおしゃべりしてた。さっきジュンコ先生がおっしゃられたように、監督もみんながいつも同時に喋ってるっていうイメージを作りたいらしくて、だから大地さんの顔を映してるときも後ろでバックで三姉妹が喋ってたりというお芝居はありました。オフであんまり聞き取れはしないんですけど。

JK:賑やかな家族でしたね。みんな喋るんですよ! それも自分のことだけ! 人のことは全然聞いてないの。わかるでしょ?

鈴木:三姉妹の皆さんに岸和田でお会いしたんですけど、パワフルで! 本当にそれぞれのお話ししてました(笑

出水:昭和から平成を駆け抜けたデザイナーの草分け的存在、小篠綾子さんですけれど、綾子さんの生き様を砂羽さんはどのように感じましたか?

鈴木:やっぱり激動の時代を生きていらっしゃったんだなって。その中でどうやったって生き抜いていかなくっちゃ、っていう生命力というか力強いものをすごく感じて。その中でミシンという出会いがあって、綾子さんはそこに生命をかけているようなすごく熱いソウルを感じたんですけれども。

JK:うちの母は4姉妹の長女で、私は3人でしょ。おばあちゃんたちも姉妹2人で本当に典型的な女系なんですよ。そこでうちの父が戦死で亡くなって、おじいさんが早々と亡くなって、本当に女系の中の女系。うちの母が先頭を切って走る以外ないの。仕事仕事仕事で朝3時まで仕事をしてて、仕事しているイメージしかなかったですね。そうかと思うと結構遊びも好き。お酒が好き。人も大好き。何でも大好きでやっているパワフルな親でしたね。砂羽さんもご両親画家で、そういう世界で育ってるからアート家族じゃないですか?

鈴木:うちはクセが強かったですね(笑)どっちもクセが強かったんで・・・あらためてこの年になって親のことを振り返ったときに、親っていうよりも1人の個人として、未成熟な部分がたくさんあるけど、それでも私が生まれて必死でここまで育ててくれたんだなっていう感じはします。人間的にはちょっとどうなのかな?と思うところがたくさんありますね(笑)

JK:たとえば? 自分のことしか考えないとか?

鈴木:大人になるまで朝ごはん知らなかったり・・・親が寝てるんですよ。

JK:あら、ちょっと普通の親とは違うわね。お弁当とかは?

鈴木:お弁当はすごいバタバタしながら作ってくれたり。一生懸命親をやろうとしてくれてたんですよね。「ネグレクトなんじゃないですか」とかよく言われるんですけど、そういうことではなくて、本当に愛情いっぱいで育ってて、たまたまぐーたらさんなところがあったり夜遊びが好きだったり(笑)でも子どもの時からレコードをいっぱい聴かせてくれたり、ロックとかいつもかかってたり。

JK:芸術家一家だからしょうがないね。

鈴木:爆発してたんで、クセは強いです。だからバランスを保とうとしてましたね。両親のバランスを取ろうとする子どもだった気がします。ちょっと反面教師的なところもあるのかもしれません(^^)

出水:家の中に画材とかトルソとか、アートのものがたくさんあったり?

鈴木:そうですね、美術図鑑とかずらっと並んでて、子どもの時に朝早く起きるとまだ両親が寝てるからだいたいそういうのを読んでるんですけど、わりと早くに女性の裸体に早くに触れ合うとか。面白いんですよ、女の人の体が椅子になってたりソファになってたりするような現代アートチックなものを見るのが好きで、わりと裸っていうものが近いところにあった感じでした。

出水:今お母様は、おいくつで? まだケンカしたりとか?

鈴木:76かな? もう本当に嫌になる! 喧嘩したくない! とくにお正月とか喧嘩するんですよ!!「あんた東京の荷物ボンボンボンボン家に送ってくるけどさ、うちはゴミ箱じゃないのよ!」「じゃあいいよ、わかったよ、捨ててくるよ!」とか。地方なんで、ゴミの駅というか収集する場所があるんですね。そこに全部ビニール袋に服を突っ込んだり、東京で持ってきたごちゃごちゃした本とかも全部車で持ってって捨ててきて、「ほらキレイになったでしょ?」「そういうやり方することないんじゃない?」「だって捨ててこいって言ったじゃん!」・・・もうくだらない!

JK:女同士でそういうとこあるんですよ(笑)言いたい放題。本当はそこまで思ってないけど口が言っちゃうの。

鈴木:いや、私も我慢するんですよ。ギリギリまで我慢するの。ぐちゃぐちゃ言ってても、途中まで「うん、わかった、うん、そうだね、はいは~い」とか・・・でもそのうちタンクがブワーってなって、「わかったよ!! 捨ててくりゃいいでしょ!」ってなっちゃうんです。ああ、今回もちょっと我慢できなかったなぁと、私もちょっと悪いなと思ってます(^^;)

JK:親の子だからしょうがないわね(笑)うちのお母ちゃんもね、「あんたたちは私が産んだのよ」って。どっちが偉い、どっちがどうどうだって喧嘩するでしょ。そうすると「この指、どの指取っても痛いんやで」って言うの。うまいことごまかされる。親も育つのよ、喧嘩で。

出水:お母様は砂羽さんの作品を見て、感想とか寄せたり?

鈴木:見てると思いますよ。若い時はしょっちゅう「あの時のあの芝居はこうだったけど、もうちょっとこうした方が良かったんじゃないの「とか「あのインタビューの答え方は良かったわ」とかすごい言われたんですけど、今は一切言わないですね。たぶん私が怒るから。「うるさい、大人だからほっといて!」みたいな。その代わり最近は私の友達に電話してるみたいで、「こないだ砂羽さんのお母さんから電話かかってきたけど、1時間くらい話しちゃった」とか。本当すいませんって感じ(^^;)

JK:でも聞いて欲しかったのね。いくつになっても気になるし、イコールかわいいのよ。

(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)

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