米シカゴに「フェアトレード博物館」誕生 身近な商品に隠されたストーリーから環境を考える
世界初のフェアトレード博物館
「朝目覚めたときにどんな服を着ようかと考えたり、朝食に何を食べようかと考えたり。そこには私たちが消費しているものを知り、よりよいものを消費するチャンスがあるのです」
そう語るのは、シカゴのアップタウンに誕生した「フェアトレード博物館」でエグゼクティブ・ディレクターを務めるキャサリン・ビッセル・コルドバ氏だ。
この博物館は、私たちが日常的に使用・消費している商品の背景にある、搾取的で持続不可能な取引慣行について、より多くの人に知ってもらうことを目的に誕生した。
博物館を運営する団体「シカゴ・フェアトレード」は、以前からリンカーン・パークでポップアップ・ミュージアムとショップを運営し、成功を収めてきた。そしてこの度、満を辞して常設展示をオープンさせた。
コーヒーやファッションなど身近な商品から学ぶ
館内には、バナナやココア、砂糖、コーヒーなどの世界的な生産者と、その生産に関連する社会・環境問題に関する展示がある。また別の展示では、大手ファストファッションブランドで働く労働者の体験にスポットライトを当てている。
「私たちは、スーパーやオンラインでほしいものが何でも手に入ることを当たり前だと思っています。サプライチェーンや、製品をつくるために多くの時間と労力を費やしている人々がいるのに、私たちの社会はそれらと切り離されているのです」
そう語るのは、同博物館のアウトリーチ&エンゲージメント・ディレクターであるナンシー・デムース氏。展示を通して、自分たちが使っている製品をつくる世界中の人々とのつながりについて、来場者がより強く感じられるようになることを期待しているという。
ほかにも来場者は、国際貿易の歴史、一般的な食品や衣料品の生産、グリーンウォッシング、フェアトレードラベル、エシカルブランド、シカゴの労働権運動について学べる。
地元のフェアトレード・ビジネスにも貢献
シカゴ・フェアトレードでは、教育やアドボカシー活動に加え、60以上の企業とのネットワークを通じて、地元のフェアトレード・ビジネスを促進している。また不要になった洋服の交換会やお直し教室も開催。シカゴの歴史的建造物が公開されるイベント「オープン・ハウス・シカゴ」や、ファッションイベント「シカゴ・ファッション・ウィーク」にも参加する予定だ。
ビッセル・コルドバ氏によると、フェアトレードとは、従来の搾取的で環境破壊的な世界貿易を覆す代替ビジネスモデルである。「私たちは、人々が何を消費しているのか、そしてそれをより持続可能で、健康的で、公正な方法に変える方法について、もう一度考えてもらいたいのです」
博物館の展示だけでなく、地元企業との交流やイベントなどを通して、シカゴ・フェアトレード博物館は、さまざまな形で来場者に語りかける。
※参考
Chicago Fair Trade
Chicago Fair Trade Museum Aims to Highlight Overlooked Stories Behind the Products We Use Every Day|WTTW